こんにちは!前嶋拳人です。
工房の隅でゆっくりと熱を冷ましていく焼き立ての陶器の表面に触れながら、エンジニアとして歩んできたこれまでの道のりに思いを馳せる。
やわらかな泥のかたまりが職人の手によって形を整えられ、激しい炎にさらされたあとに美しい器へと生まれ変わるそのプロセスは、私たちが日々取り組むシステムづくりの世界と驚くほどよく似ている。
かつて大きな組織の中で決まりきった設計図をただひたすらに追いかけていた頃の自分は、決められた型にきれいに収まることばかりを考えていた。
しかし一歩外の世界へ飛び出し、個人の力で荒海のようなWeb業界へと漕ぎ出し、様々な現場や予想外のトラブルに直面するようになってから、ものづくりに対する捉え方は大きく変わった。
その場にある新しい技術や思いがけない出会いという熱を受け止めながら、手元にある道具を組み合わせ、手探りで自分だけの表現を形にしていく。
ただ流されるだけでは崩れてしまうからこそ、自分の中にある確かな技術や誠実さという揺るぎない芯だけはしっかりと持っていなければならない。
変化の激しい業界をしなやかに泳ぎ切りながら、まだ誰も見たことのない景色を探し求める姿は、どこかこの窯元で器と向き合う職人の営みそのものだといえる。
パソコンの画面に向かい、キーボードを叩く指先から生み出される小さなコードの積み重ねもまた、誰かの暮らしに新しい彩りを添えるエネルギーへと変わっていく。
見えない未来を過度に恐れるのではなく、目の前で混ざり合う色彩や温度を全身で感じ取りながら、柔軟に自分のルートを調整していくことの面白さをこの道で教わった。
これからも好奇心の炎を絶やさず、自分だけのキャンバスに自由で豊かな物語をどこまでも描き続けたい。