私の好きな考え方❸「物語×統計」
我が家では、記念日や思い出に残るような日に絵本を買う習慣があります。
絵本というと子供向けと思うかもしれませんが、案外親向けにつくられているものも多く、親の「苦労と愛情」をキャラクターに投影させ、親が共感するように作られた絵本も割とあります。
絵本は、私の中でざっくり4つのパターンに分類しています。
- 課題解決型 : 悩みを持つ主人公が解決方法を見つける話
ex) 小さな魚は群れを作ることで大きく見せた - 一人称体験型 : 主人公が出会いや発見をしていく
ex) 押入れに閉じ込められたら不思議な世界に繋がっていた - フレーズリフレイン型 : 印象的なフレーズを複数のページで何度も繰り返す
ex) 魔法のジョウロを手に持ち「大きくなーれ」と水をかけて色々巨大化させていく - ゲーミフィケーション型 : 読者が参加する遊びが組み込まれている
ex) 間違い探しや、部屋に描かれたアイテムから誰の家かを推理する
このように絵本を分類して眺めているうちに、物語のフレームを活かしたサービスは作れないかと考えるようになりました。
目次
ストーリーテリングの効果
物語×統計
物語(絵本)は記憶に残りやすい
統計(インフォグラフィック)は納得を生みやすい
2つを絵本の中で組み合わせる
[課題解決型] 10ページ構成
[課題解決型] キャラクター設定
おわりに
ストーリーテリングの効果
絵本をビジネス用に練り直す中で、一つの調査結果に辿り着きました。
それは、Harvard Business Schoolに掲載されている、巧みに語られた物語や逸話は人々の記憶に長く残る一方で、統計データは即座の判断や行動を促す力が強いと紹介されている記事です。
参考: Harvard Business School "Looking to Leave a Mark? Memorable Leaders Don't Just Spout Statistics, They Tell Stories"
参考(一次研究): Thomas Graeber, Christopher Roth, Florian Zimmermann "Stories, Statistics, and Memory," The Quarterly Journal of Economics, vol.139(4), pp.2181–2225, 2024.
「物語は永く記憶に残りやすく、統計はその場の納得を生みやすい」
弊社の主力事業は、統計データを分かりやすく視覚化するインフォグラフィックです。絵本の中で自然にグラフなど数値を示す情報や、ビジネスライクな図解を組み込むことで、「瞬発的に伝わる」と「記憶の定着」が掛け合い、万能なビジュアルコミュニケーションツールが作れるのでは。
物語×統計
物語(絵本)は記憶に残りやすい
絵本は、大部分をイラストが占め、文章も短く構成されているため、読むまでの心理的ハードルが非常に低い媒体です。また、登場人物、場面、会話、比喩など、表現の選択肢が豊富であることから、伝えたい内容に合わせて信頼感や親しみやすさ、遊び心などのニュアンスを細かく調整できます。
例えば、イラストや地の文は落ち着いた表現にしつつ、登場人物のセリフだけを親しみやすい話し言葉にすることや、難しい課題や重たいテーマを動物のキャラクターに置き換えて表現することも可能です。
さらに、物語は「問題提起 → 解決方法の提示 → ベネフィット(導入後の姿) → ハッピーエンド」という流れで展開できるため、読者は製品やサービスの価値を説明として理解するだけでなく、主人公の体験として追体験できます。その結果、導入後の姿を具体的に想像しやすくなり、サービスへの期待感や導入後のイメージを自然に描きやすくなります。
特に、物語全体がハッピーエンドという結末で一つの体験としてまとまることで、サービスに対するポジティブな印象とともに記憶へ定着しやすい点は、イラストを主体とした絵本ならではの強みだと考えています。
統計(インフォグラフィック)は納得を生みやすい
一方で、統計には、物語にはない強みがあります。それは、情報を客観的な根拠として伝えられること。
数字やグラフは、感覚や印象だけでは伝わりにくい事実を短時間で整理し、「なぜそう言えるのか」という理由を示します。そのため、複数の選択肢を比較したり、意思決定を行ったりする場面では、高い効果を発揮します。
物語が読者を主人公の体験へ引き込み、記憶に残る表現だとすれば、統計は客観的な事実を整理し、リアルタイムでの理解と納得を支える表現です。
2つを絵本の中で組み合わせる
私が面白いと感じているのは、この2つを往復させることです。
グラフィカルなインフォグラフィックであれば、絵本の世界観に一体化させることも可能ですが、全体が算数の文章問題のようになってしまっては、物語の強さも数字の効果も弱まってしまうと思います。
そのため、自然体で読める物語から、図解や統計へと明確にスイッチが切り替わることで、腑に落ちる瞬間をつくれると考えています。
例えば理念浸透を目的とした絵本であれば、物語によって読者の共感を生み出し、要所で図解や統計を挿入して納得を促します。そして再び物語へ戻り、最後はハッピーエンドを迎えることで、一冊の体験として記憶に残すことができます。
[課題解決型] 10ページ構成
[課題解決型] キャラクター設定
おわりに
本当は「好きな考え方」を気軽に書いていこうと思っていたのですが、絵本サービスは最近プレスリリースを出したこともあり、語りたいことが多く、少し営業のような内容になってしまいました。
とはいえ、この記事を通して、私が「なぜ企業向け絵本をつくっているのか」は少し伝えられたのではないかと思います。
絵本制作のほかにも、イラスト、インフォグラフィック、ロゴデザインなど、情報を「わかる」に変えるデザインを幅広く手掛けています。ご相談がありましたら、お気軽にご連絡ください。
- PR TIMES : 【物語×図解】企業理念や顧客体験を10ページの絵本で伝える新サービスを開始
- 可視化研究所コーポレートサイト : https://kashika-lab.co.jp/