■ はじめに:「待つ側」から「創る側」へ
#### ■ はじめに:枠に収まるのをやめ、自分の城を作ると決めた
製造業で10年間、精度管理や工程設計の現場に携わってきました。そんな中、生成AIとの出会いをきっかけに映像制作の面白さに目覚めました。
当初は「AI映像を仕事にしたい」と就職や採用の道を探したこともありました。しかし、どこかの枠に収まるのを待ったり、誰かの指示で動く環境を探すうちに、「それよりも、自分が面白いと思うものをゼロから自分の手で形にして世に出す方が、何倍も刺激的で自分らしいのではないか」と気づきました。
「枠がないなら、自分の工房を作ればいい」。
そうして立ち上げたのが、YouTubeチャンネル『AIタイマン工房』です。AI任せの出力に甘えず、人間とAIが真正面から1対1(タイマン)で向き合い、本物の作品を世に問う挑戦をスタートさせました。
■ 第1作:重厚な政治サスペンス予告編『AI総理』
初期はSORA 2などで手探りのショートドラマを作っていましたが、AIの出力任せでは「動いているだけの粗削りな映像」になり、人の心を動かすクオリティには届かないと痛感しました。
そこで制作フローを根本から刷新。メインツールにFlovaやVEO 3.1を採用し、実写映画の演出理論(レンズミリ数の指定、ショットサイズの分散設計、カメラの前進・後退による心理誘導)を徹底的にプロンプトと編集工程に落とし込みました。
そうして完成させたのが、架空映画予告編『AI総理』です。冷徹な国会前と青く発光するAIホログラムの対比、緊迫したカット割りを追求し、企画から脚本、映像生成、音響編集まで全工程を単独で形にしました。
■ 第2作:エンタメ性と構成力を試した『108番出口』
次に挑戦したのが、短尺プラットフォームでのエンタメ性と視聴維持率を意識したショートシネマ『108番出口』です。
名作ゲーム『8番出口』の「異変を見つけて引き返す」ルールに着想を得つつ、「107回連続で異変を回避した男が、最後の108番目に現れた美女の誘惑(煩悩)に負けて0番へリセットされる」というユーモアとサスペンスを掛け合わせた全9カットの短編を設計しました。
単なる思いつきの動画ではなく、
- 主人公と美女のキャラクターシート設計(一貫性の保持)
- 暖色から一瞬で極寒の青白さへ急変するライティング演出
- リセットの瞬間に美女の瞳からハイライトが消え、電源の切れたロボットのように完全硬直するホラー演出
など、実写映像の絵コンテ理論を取り入れ、緻密な工程管理のもとで1カットずつ生成・編集しました。サムネイルもCTRを意識して「最後の異変、引っかからない男いる?」と大衆心理を突くデザインを自作し、YouTubeへ公開しました。
■ 製造業10年が教えてくれた「ものづくりの再現性」
AI動画生成は、一見すると「プロンプトを入れて待つだけ」に見えるかもしれません。しかし実際は、1カットごとの構図、光の当たり方、動きのベクトル(マッチカット)を緻密に計算しなければ、1本の映画作品として成立しません。
ここで生きたのが、製造業で10年間培ってきた「工程設計」「品質管理」「再現性へのこだわり」でした。 「偶然いい絵が出た」で終わらせず、「なぜこのプロンプトでこの構図が出るのか」「どう繋げば違和感なくストーリーになるのか」を言語化し、ワークフローとして管理する。この泥臭い積み重ねこそが、私の映像制作のコアになっています。
#### ■ おわりに:仕事のためじゃない。創りたいから創る。
「どこかの採用枠に収まるのを待つ必要なんて、最初からなかったんだと思います。」
仕事が欲しくて作ったわけでも、誰かに評価されたくて始めたわけでもありません。ただ純粋に、頭の中にある「これ絶対に面白い」「人の心を揺さぶる映像にしたい」という情景を、AIと1対1(タイマン)で向き合いながら、自分の手で形にしたかった。それだけです。
1カットの光の当たり方にこだわり、何度もプロンプトを練り直し、音とカットを1フレーム単位で詰めていく。この泥臭く孤独な制作プロセスの先に、動画が完成した瞬間の手応えは何物にも代えられません。
『AI総理』も『108番出口』も、まだ私のモノづくりのスタートラインに過ぎません。
これからも『AIタイマン工房』を拠点に、妥協せず、自分が一番ワクワクする映像を愚直に作り、世の中に放ち続けていきます。もし私の作った映像を見て、鳥肌が立ったり、クスッと笑ったり、何か心が動く瞬間があったなら、創り手としてこれ以上の喜びはありません。