【高橋正次・髙橋正次】カレーを混ぜない人が仕事で勝てる理由
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ランチタイムにカレー屋へ入ったとき、私はいつも隣の席の食べ方を観察してしまいます。最初からルーとライスをすべて混ぜ合わせてしまう人と、一口ずつ丁寧に合わせて食べる人。実はこの些細な違いの中に、ビジネスで成功するための決定的な思考プロセスが隠されていることに気づきました。
私は編集者として、多くのプロジェクトを形にしてきました。編集の仕事は、バラバラの素材を組み合わせて一つの価値を生み出すことです。しかし、ここで最も重要なのは、素材を混ぜ合わせることではなく、それぞれの持ち味を最大限に引き出した状態で共鳴させることです。
仕事においても、何でもかんでも一つの大きな塊として捉え、最初からかき混ぜてしまうのは危険です。問題が発生したとき、原因と結果、そして感情をすべて混ぜてしまうと、どこから手をつけていいか分からなくなります。まるで、すべてが茶色に染まってしまったカレーのように、それぞれの要素が持つ本来の輝きが消えてしまうのです。
一方で、一口ずつ味わうタイプの人、つまり仕事を細分化し、それぞれの工程の個性を理解している人は強いです。彼らは、今取り組んでいるタスクがスパイスの役割なのか、土台となるライスの役割なのかを明確に理解しています。各ステップを独立した価値として尊重しつつ、最終的に口の中で完璧なハーモニーを完成させる。この段階的な構築こそが、高いクオリティを維持する秘訣です。
私がインタビューしてきた成功者たちは、例外なくこの個別の味を大切にする人たちでした。彼らは大きなビジョンを持ちながらも、目の前の小さなディテールを決して疎かにしません。混ぜすぎて混沌とするのではなく、境界線をあえて残すことで、新しい発見や予期せぬ化学反応を楽しむ余裕を持っています。
ビジネスの現場では、スピードが重視されるあまり、すべてを急いで混ぜ合わせて平均的な結果を出そうとしがちです。しかし、本当に誰かの心に刺さるものを生み出したいなら、まずは素材をじっと見つめ、混ぜるタイミングを見極めるべきです。
もしあなたが今、複雑な仕事に圧倒されているなら、一度スプーンを置いてみてください。すべてを一度に片付けようとせず、まずは一口分の「美味しい」を作ることに集中してみる。その丁寧な積み重ねの先に、誰もが驚くような最高の一皿、つまり素晴らしい成果が待っています。日常の食事の中にさえ、私たちのキャリアをアップデートするヒントは静かに潜んでいるのです。