こんにちは!石田大顕です。
スマートフォンの画面を指先でなぞる時、私たちの心は知らず知らずのうちに、ある乗り物に乗っているような感覚を味わっています。それはまるで、どこまでも広がる大空を自由に飛び回る熱気球のようです。心地よい風に乗ってスムーズに進んでいる時は誰も何も言いませんが、ひとたび気流が乱れたり操作が重くなったりすると、乗客は途端に不安を感じて、その乗り物から降りたくなってしまいます。
多くのスタートアップ企業が、新しく素晴らしいサービスを世に送り出そうと日々奮闘しています。世の中を便利にしたいという熱い想いや、画期的なシステムはどれも素晴らしいものばかりです。しかし、どれだけ中身が優れていても、ユーザーが最初に触れる画面の使い心地がほんの少しぎこちないだけで、その想いは相手に届かなくなってしまいます。
デザインの現場にいると、画面の見栄えを良くすることばかりに目を奪われがちです。ボタンの色を鮮やかにしたり、流行りのアニメーションを取り入れたりしたくなる気持ちはよく分かります。しかし、本当の使いやすさとは、そうした飾り付けではなく、ユーザーの目に見えないストレスを取り除くことにあります。
私が以前、ある企業のアプリ画面を改善したとき、意識したのは熱気球の重りを少しずつ捨てていくような作業でした。画面の中に溢れていた余計な情報や、迷わせるような選択肢を思い切って削ぎ落としたのです。その結果、ユーザーは迷うことなく目的の場所にたどり着けるようになり、問い合わせや申し込みの数字が大幅に向上しました。
これは、ただ画面をきれいにしたからではありません。ユーザーが今どんな気持ちで画面を見つめ、次にどこを押したいのかという心の動きを徹底的に観察し、その道筋を優しく整えたからこそ生まれた結果です。
デザインとは、企業の想いとユーザーの心を繋ぐ、目に見えない架け橋のような存在です。そしてそれは、一度作ったら終わりではなく、使い手の声を聞きながら何度も調整を重ねていく、生き物のようなものでもあります。
これから新しい挑戦を始めようとしているチームの皆さん、あるいは今のサービスをもっと多くの人に届けたいと悩んでいる皆さん、ぜひ一度、自分たちの画面を見つめ直してみてください。そこには、ユーザーを心地よい旅へと連れていくためのヒントが必ず隠されています。見た目の美しさを超えた、数字と地続きの根拠あるデザインの力を、もっとたくさんの現場で証明していきたいと考えています。