こんにちは!石田大顕です。
秋の夜長にふと空を見上げるとどこからともなく微かな鳴き声が聞こえてくることがある。暗闇に包まれた高い空のそのまた向こう側で幾羽もの鳥たちが群れをなして遠くの故郷へと向かって旅を続けている。私たちは普段コンクリートの建物に囲まれた地上の暮らしの中で頭上に広がる無限の広がりを忘れてしまいがちだけれど夜空を渡る鳥たちの存在に気づくとき世界は私たちが思っているよりもずっと大きくつながっているのだと思い知らされる。それぞれの小さな羽で暗い夜気を切り裂きながら仲間と声を掛け合って進む姿には言葉を超えた強い意志が宿っているように感じられる。
あの夜空を渡る小さな命をただの季節の移動としてやり過ごしてしまうのはあまりにももったいないことだ。彼らはあらかじめ用意された確実な地図を持っているわけでもなくただ自分たちの本能と仲間の気配だけを頼りに見知らぬ長い道のりを進んでいく。途中で激しい向かい風に吹かれたり冷たい雨に打たれたりすることだってあるはずなのに一度決めた目的地へ向けてただひたむきに羽ばたき続ける。その姿を見つめていると私たちが日々の生活や仕事の中で直面する迷いや不安がいかにちっぽけなものであるかということに気づかされるし自分の足で一歩ずつ進むことの大切さを改めて教えられる。
考えてみれば私たちの日常もまた見えない夜空を飛んでいるようなものかもしれない。時には先が見えなくて不安になったり自分が本当に正しい道を歩いているのか分からなくなったりすることもある。けれどそんなときでも周りを見渡せば同じようにそれぞれの夢や目標を抱えて懸命に生きている仲間たちの存在がある。夜空の鳥たちが互いの鳴き声を頼りに暗闇を乗り越えていくように私たちもまた誰かの声や温かさに支えられながら自分の行くべき場所へと進むことができるのだ。一人では到底越えられないような大きな壁も仲間と共に行くことで乗り越える力が湧いてくる。
目的地がどれほど遠くにあったとしても一歩ずつ羽ばたき続ける限りいつかは必ず新しい光にたどり着くことができる。夜空を渡る鳥たちはそんな当たり前の事実を静かに教えてくれる。次に夜空を見上げたときもしも微かな鳴き声が聞こえたなら足を止めてその小さな旅路に思いを馳せてみるのも悪くない。きっとそこには日々の忙しさの中で忘れかけていた大切な直向きさと明日へと向かうための静かな勇気がしっかりと息づいているはずだ。