こんにちは!石田大顕です。
休日に川のほとりを歩きながら浅瀬の川底にふと目を凝らすと形も色もさまざまな丸い小石たちが水の中で静かに光を反射している姿に気づくことがある。何万年もの昔から上流の厳しい岩肌から削り出され途方もない距離を流されながら角を擦り減らしてきたその姿にはどこか人間の人生や仕事の歩みと通じる不思議な深みが宿っている。私たちは普段目まぐるしく変化する社会の中で自分をどう磨くかやどこへ向かうべきかにばかり気を取られがちだけれど流れの中で静かに磨かれていく小石の存在を見つめていると自分自身の輪郭を育てる時間の大切さに改めて気づかされる。
あの丸い小石をただの川原の石ころとして通り過ぎてしまうのはあまりにももったいないことだ。もともとは誰も寄せ付けないような尖った角を持ちゴツゴツとした厳しい形をしていたはずの石が激しい水流に揉まれ他の石と何度もぶつかり合いながら少しずつ角を丸めていった。決して自ら望んで形を変えたわけではないのかもしれないけれど流されるという激しい運動の中で自らの不要な角を削ぎ落とし誰の手に取られても心地よいなめらかな手触りを手に入れたのだ。その静かな変容のプロセスには自分と異なる価値観や環境に直面しながら自分らしさを磨き上げていく私たちの姿が重なる。
考えてみれば私たちのキャリアや日常もまた絶え間ない試練や環境の変化という強い流れの中で磨かれていくプロセスそのものである。最初から完璧で思い通りの形をしている人などどこにもおらず不器用な衝突や意図しない変化を何度も経験することによって私たちは自分だけの深みとなめらかさを身につけていく。壁にぶつかったり流れに揉まれたりすることは一見すると削られて傷ついているように思えるがそれこそが自分の本当の強さや丸みを作り出している貴重な時間なのだ。不要なこだわりや意固地な角を捨てていくことで他者を受け入れるしなやかさが育まれていく。
川底で静かに輝く小石たちは流されることの意味と自分を育むことの尊さを私たちに教えてくれる。日々の中でどれほど大きな波に揉まれようともその中で生まれる摩擦こそが自分という存在をより魅力的で洗練された形へと導いてくれるのだ。次に川のせせらぎに耳を澄ませるときは澄んだ水の中に眠る丸い小石たちの長い旅路にそっと思いを馳せてみるのも悪くない。きっとそこには日々の忙しさの中で忘れかけていた自分をじっくりと磨き上げていくための静かな覚悟と確かな勇気がしっかりと息づいているはずだ。