こんにちは!柿原格です。
青く澄んだ空を見上げると、まっすぐに伸びていく一本の飛行機雲が目に入ることがあります。どこか遠くの街へと向かうその白い線は、明確な目的地を持って迷いなく進んでいく強い意志のように見えます。ビジネスの世界を生きる私たちも、時にあの白い線のように、目標に向かって迷わず突き進むスピード感を求められることがあります。
しかし、ただ速く進むだけでは、大切なものを見落としてしまうのではないかと感じることがあります。そんなとき、私は都会の真ん中にある静かな植物園へ足を運びます。一歩中に入ると、そこには飛行機雲の流れる世界とは全く違う、ゆっくりとした時間が流れています。背の高い熱帯の木々や、ひっそりと足元で花を咲かせる草花たちが、それぞれのペースで呼吸をしています。
広告代理店と事業会社という二つの異なる場所で仕事をしてきた私は、この飛行機雲の視点と植物園の視点の両方を、常に行ったり来たりしてきました。
市場の動向を素早く分析し、一気に進むべき方向へ舵を切る仕事は、まさに空を切り裂く飛行機雲のような爽快さがあります。デジタル広告を動かし、狙った方向へまっすぐに進んでいく姿は美しいものです。けれど、その線の下には、実際に生活を営んでいる生身の人間がいます。その一人ひとりの感情を無視して、ただ効率よく線を引くだけでは、誰の心にも残らない一過性の表現で終わってしまいます。
だからこそ、私は植物園を歩くような丁寧さで、人の心に向き合いたいと考えています。植物園にある植物たちは、無理に引き伸ばしても早く育つわけではありません。心地よい光の量や、土の湿り気、適切な温度が揃って初めて、自然と瑞々しい葉を広げます。私たちが誰かに届けるブランドやサービスも同じです。お客様がどんな環境にいて、どんな言葉に心地よさを感じるのかを、じっくりと観察し、育てる環境を整える必要があります。
効率よく進むことと、丁寧に育てること。この二つは相反するように見えて、実は一つの美しい景色を作るためにどちらも欠かせない要素です。
速いスピードで空を走る白い線を見つめながらも、足元に広がる豊かな緑の息遣いにしっかりと耳を澄ませる。そんな当事者意識を持ち続けることで、組織の内側から本当に強い価値を生み出すことができるのだと信じています。