こんにちは!柿原格です。
生命力があふれる熱帯雨林の中に足を踏み入れると、その密度の濃い世界に圧倒されることがあります。天高くそびえ立つ巨木が木漏れ日をつくり、その下には大きな葉を広げる植物や、幹に巻き付くつる植物、そして幹の表面を覆う苔たちが思い思いの場所で生きています。単一の樹木だけが整然と並んでいる人工林とは異なり、それぞれ異なる形や性質を持った無数の生き物たちが互いに影響し合い、複雑で豊かな一つの生態系をつくり上げています。それぞれの存在が欠かせない役割を果たしています。
私たちが取り組んでいるマーケティングという仕事も、この生命力豊かな森を育てていく作業にとてもよく似ています。世の中には多様な個性や強みを持った企業やプロダクト、そして情熱にあふれた人々が存在しています。それらの個性を無理やり同じ型にはめ込むのではなく、それぞれの強みが最大限に活きる環境を整え、互いの魅力が引き立ち合う循環を生み出すことが求められます。多様な個性が重なり合うことで、他にはない力強い存在感が生まれます。
ここで大切になるのは、全体のバランスを観察するだけでなく、森の中に深く足を踏み入れ、一つひとつの植物がどのように呼吸しているのかを肌で感じ取ることです。どの場所に光が必要なのか、どんな土壌が求められているのかを丁寧に読み解きながら、手入れを重ねていきます。つくり手の情熱やこだわりという命の芽にそっと寄り添い、すくすくと育つための環境を一緒に整えていく姿勢が欠かせません。成長を温かく見守る目線が必要です。
支援する側として森全体を高い場所から見渡し、全体の生態系や巡りを冷静に分析する視点。そして自らも土に塗れて幹を触り、現場の熱量や手触り感を直接確かめながら汗を流す視点。この両方の目線を行き来してきた経験から、客観的な分析力と現場での泥臭い情熱の双方があって初めて、人の心を揺さぶる力強い物語が生まれるのだと実感しています。ふたつの目線を併せ持つことが大きな強みになります。
仕事の本質とは、単なる数値の計算や機械的な調整ではありません。さまざまな情熱や技術の個性を引き出し、時代の中で息長く輝き続ける豊かな森を仲間とともに育んでいくことです。普段何気なく触れているサービスや製品の裏側にも、誰かが試行錯誤して育て上げた美しい生態系が隠れています。次に素晴らしい取り組みに出会ったときは、その背景にある豊かな重なり合いに思いを馳せてみてください。いつもの毎日が少しだけ味わい深く見えてくるはずです。