「このままじゃ卒業できないよ」─私の研究テーマ決定のリアル
こんにちは!大学院1年の杉本です。
今回は、私の「研究テーマ決め」の裏側についてお話ししようと思います。
実は私、最初は先生から渡されたテーマで研究を進めていました。でも、心のどこかで「やっぱり自分が本当にやりたいことをやりたい!」という思いが捨てきれず、思い切ってテーマを変更することにしたんです。
この「テーマ変更」を決断したのが、なんと3月20日。 そして、新4年生がこの1年どう研究を進めるかを発信する大イベント「所信表明」は4月5日(土)〜6日(日)……。 そう、発表の約2週間前という怒涛のスケジュールでの大転換でした。
今回は、そんなタイムリミットが迫る中、「私による私のための研究」がスタートするまでの、ちょっと(かなり?)泥臭い道のりを赤裸々に語ります。
「杉本は賢いね」で完全に舞い上がった初期スライド
テーマを変える決心をした私は、自分が本当に解決したい課題をまとめたスライドを作成しました。
スタート地点はとても個人的で、「私の願望:幸せになりたい」という思いでした。高校時代にやっていた活動を振り返ったとき(この高校での活動についてはまた別のブログで書きますね!)、「やっぱり幸せの土台って健康(身体・精神)であることが大前提じゃん」と改めて思ったんです。そこからさらに考えを進めて、「でも、知識があった方がもっと幸せになりやすいよね。なのに、教養を得る機会って家庭環境とかに左右されちゃうな」という『教養の格差』に辿り着きました。
教養をつけるにはニュースや本を読むべきと言われますが、そもそも興味がないと続かない。そこで、社会的価値のあるニュースを、個人の身近な関心(例えば、いちごが好き!という気持ち)から段階的に繋げる「導線」を作れないか、と考えたんです。
このスライドを初めて先生に見せたとき、こんな言葉をもらいました。
「杉本は賢いね。スライド36ページ目までは違和感がない。ここのところまでの考え方はOKで、その先が知識で武装するところ。.....」
……はい。当時の私はこの言葉を聞いて、「私ってもしかして天才なのでは?」と完全に舞い上がっていました(笑)。自分がやりたいことを言語化できて、しかも褒められた!とウキウキだったんです。
先輩と先生からの「愛ある詰め」
しかし、その天狗状態は長くは続きませんでした。 その後、ニュース研究チームの先輩2人と先生に囲まれて、スライドの内容について深く議論する場がありました。
そこで待っていたのは、圧倒的な「詰め」です。
「地域ニュースは社会的価値がないのでは?」 「君の言う『社会的価値』って何?」 「それはメディア(どう伝えるか)の話?それともコンテンツ(何を伝えるか)の話?」
鋭い指摘の連続に頭が真っ白になり、自分が何を言いたいのかも上手く言語化できず……悔しさと不甲斐なさで、その日の夜はこっそり泣きました。
「私は政治家になっていた」
言語化できなかったことがどうしても悔しくて、翌日、先生に長文のダイレクトメッセージを送りました。
私: 「昨日言われた『地域ニュースは社会的価値がない』という点ですが、私はそうは思っていません。私がやりたいのは『社会的価値のある情報に自然に到達できる状態を作ること』なんです!関心や行動と自然につながる『導線』を作りたいんです!」
すると先生からは、非常に冷静かつ的確な問いが返ってきました。
先生: 「1. この文章の中の『社会的価値』と『社会参加』を定義してください。 2. 『どのように情報を伝えるか(メディア)』と『伝える内容をどうするか(コンテンツ)』が混ざっています。両方やろうとしている状態を『政治家』と言っています」
私は、「関連するニュースを提示すること」と「導線としてニュースを繋げること」をごっちゃにして、一気にすべての問題を解決しようとする「理想論爆発の政治家」になっていたんです。
さらに先生は、私がいま「1. コンテンツ社会学」「2. コンテンツ情報処理」「3. メディア処理」という3つの帰路に立っていることを整理してくれました。全部やるのは1年では無理だから、どれを中心に進めるのかを考えなさい、と。
ここでやっと、「システムを作ることは一旦忘れて、どんなニュースの連続が人の思考変容に影響するのかを考えよう」という、真の研究のスタートラインに立つことができました。
先生からの「衝撃宣告」
そして迎えた、4月5日・6日の所信表明当日。
私の発表タイトルは『他者の関心との接触がニュースへの関心接続に与える影響の検証』。そしてサブタイトルが、「〜私の、私による、私のためのニュース提供システムを目指して〜」でした。
本当に自分の個人的な問題意識からスタートした研究だったので強い思い入れがあったのですが……なんと当日、座長がこのポエムみたいなサブタイトルまでマイクを通してしっかり読み上げてくれたんです(笑)。
めちゃくちゃ恥ずかしかったですし、会場もちょっとザワついて笑いが起きていました。実際の議事録の最初のコメントが「サブタイトルがあること自体おもろいし、そのサブタイトルの内容もおもろい」「思想草」だったくらいです。
でも、色々な視点からのツッコミももらい、議論自体はとても白熱しました。無事に発表を終え、少しホッとしたのも束の間、先生からこんな言葉をかけられました。
「考え方は共感できるし、方向性は良いよ!……でも、実験に関しては今のままだと卒業できないよ」
ほんまにえぐい一言でした(笑)。 せっかく自分のやりたいテーマを見つけて、ボコボコにされながらも方向性を絞ったのに、「このままだと卒業できない」という衝撃の事実。
しんどい山を越えた先に見えたもの
そこからは、ニュース研究の外部の方もいるチームに所属し、膨大な先行研究の海に飛び込んで、さらに研究内容をブラッシュアップしていくことになります。
正直、ここまで来るだけでもめちゃくちゃしんどい山をいくつも越えました。先生や先輩に詰められてこっそり泣いた夜もあったし、「結局自分は何がやりたいんだ?」と泥沼にハマった時期もありました。
でも、あの時「先生から与えられたテーマ」で妥協せずに、タイムリミットギリギリでも自分の本心と向き合って、ぶつかって、ボコボコにされて本当によかったと思っています。そのおかげで、今は心から「自分のやりたいことだ!」と胸を張れる研究テーマに出会えています。
自分のやりたいことを形にするのは決して簡単じゃないけれど、諦めずに食らいつけば必ず道は拓ける。 これが、私のリアルな研究テーマ決めのお話でした!