⬜『四角形』かつ『立方体』|COLUMN
はじめまして。 現場の「使いにくい」と経営の「知りたい」を翻訳し、構造化するプロセスエンジニアとして日々研鑽を積んでおります。
現在、新たなキャリアに向けて転職活動を進めており、これまでの実務で得た「教訓」や「仕事の流儀」を、自己紹介も兼ねてストーリーに書き留めてみることにしました。
今回のテーマは、私にとって大きな転機となった「過去の苦い失敗談」についてです。 作り手側の論理と、現場が求める手触りの良さのギャップについて。システム導入や業務改善などで現場と関わる方の、何かの参考になれば幸いです。
これはプロセスエンジニア(あるいはプロダクトマネージャー)として学ぶべき、そしてわたし自身にとっては残酷なテーマであり、一つの大きな教訓の話です。
「直さなきゃよかった!」
現場の社員から放たれたこの一言。 単独で膨大なシステム改修を段取りし、全体のプロセスを一本化し、根本的な構造を綺麗にした「作り手(わたし)」の視点からすれば、一つの入力における仕様漏れは想定の範疇。むしろ、システムでカバーせずとも利用者が注意すべき領域だと思っていました。
しかし、「利用者」の視点は全く異なりました。 システム全体がどう綺麗になったかなど、彼らには関係ない。これからは入力のたびに注意がいるなんて、今までよりも手間が増えているじゃないか! と。
わたしは痛感しました。作り手の努力の量と、ユーザーが感じる価値はまったく比例しない。そして、「ユーザーの努力(マニュアルや注意)に逃げてはならない」と。
わたしは良かれと思って、四角形(システム)が実は立方体であることを解体し、「中身はこうなっています。この順番で組み合わせれば元の四角形に戻せますよ」と透明化しました。 しかし、ユーザーは「いや、面(UI部分)の触り心地だけでいいんだけど…」と拒絶したのです。
誤解のないように言えば、これが全く新しいツールへのリプレースなら話は異なります。 しかし既存の改修においては、いくら作り手から立方体として見えても、どれだけ論理が正しくシステムが綺麗であっても、ユーザにとって「手触りのよい面(四角形)」が失われれば、それは納品物としては失敗作なのです。 逆に言えば、その「面の質」さえ100%担保されていれば、成功と言えるのでしょう。
今回の納品物としては失敗だったかもしれません。しかし、この現場で舐めた辛酸と思考のプロセスは、わたしという人間の中で確実に活きるオリジナルの「成果物」となり、また冒頭で述べた「教訓」となりました。
より質の高いプロセスやプロダクトを提供するためには「ユーザーの視点」においても、けっして妥協してはならないのです。
このコラムに基づいたわたしの実務への理念や具体的な実績は、こちらのNotionポートフォリオに集約しています。ご興味のある方は、ぜひ覗いてみてください。