原油価格見通しについて
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2000年以降の資源市場を振り返ると、原油の価格推移は他の主要資源に比べて著しく見劣りしている現状があります。金が17倍、銀が15倍、そして銅が7倍を超える上昇を見せた一方で、原油は4倍弱に留まっている事実は重い。1970年代、産油国が原油を政治的な交渉カードとして利用し、供給制限や価格操作によって世界を震撼させた石油ショックの時代とは、市場の構造が根本から変質してしまったと言わざるを得ないでしょう。
当時は「資源枯渇説」という強固な予言が価格を押し上げる後ろ盾となっていたが、現代では採掘技術の飛躍的向上がその神話を打ち砕いています。特に米国のシェールオイル革命は、かつて計算外だった地層からの増産を可能にし、需給バランスの主導権を非OPEC諸国へと分散させた。さらに、脱炭素に向けた代替エネルギーへの転換は、日本などのエネルギー輸入国の需要を構造的に減退させるものとなっています。
原油が他の資源のような高い上昇率を維持できなかった最大の要因は、OPECプラスによる人為的な価格統制が、結果として市場の信認を損なった点にあるでしょう。価格が恣意的に決まるリスクを嫌った需要家側は、必死に燃費効率を追求し、中東依存からの脱却を模索し続けました。ロシアやサウジアラビアといった産油国が国家財政を維持するために行った「市場の自動調整機能の封殺」は、短期的には利益をもたらしたが、長期的には原油の資産価値を抑制する足かせとなった可能性は否定できません。
加えて、原油特有の「連産品」としての性質が、自由な市場形成を一層難しくしています。特定の燃料需要が増加しても、精製プロセス上、不要な成分まで同時に生産されてしまうという物理的制約は、需要に応じた柔軟な価格修正を阻害するものです。こうしたジレンマを抱えながらも、現代社会は依然として原油から完全に脱却することはできず、理想と現実の狭間で苦慮しているという現状があります。
現在の物価水準を鑑みれば、原油が1バレル150ドル程度まで上方修正されていても不思議ではないでしょう。しかし、地政学的リスクが再燃するたびに世界はEVの再評価や小型原発(SMR)の導入へと舵を切り、原油の独占的地位は着実に削り取られています。特に2030年代に向けて、SMRが次世代産業の核心となれば、原油の存在感はさらに希薄化することが見込まれます。結局のところ、政治的意図に振り回され続けた原油というコモディティは、かつての輝きを取り戻すことなく、70ドル台という「居心地の良い停滞」のなかに沈み込んでいく運命にあるのかもしれません。