地域に足りないのは「来てくれる人」ではなく、人が入れる道の設計かもしれない
(参考にしたnote記事のスクリーンショット。)
先日、地域おこし協力隊を途中でやめた人の話を聞いて、そこから気づいたことを書いたnoteを読みました。
さらにコメント欄でも少しやり取りをしていて、特に印象に残ったのが、
「仲良くなること」と「活動として成果を出すこと」は別。
という視点でした。
これは、かなり本質的な言葉だと思います。
地域に入る以上、地域の人と関係を作ることは大事です。
でも、関係ができることと、協力隊として成果を出すことは同じではありません。
ここを混同すると、本人も苦しくなるし、地域側も「何を期待していたのか」が曖昧になります。
この話を読んで、私は最初にこう思いました。
これは、その人が弱かったという話ではない。
その地域だけが悪かったという話でもない。
むしろ、かなり多くの地方プロジェクトで起きうる問題ではないか。
協力隊に入る前は、
「地域のために何かしたい」
「移住者向けのコミュニティを作りたい」
「情報発信をしたい」
「自分の経験を活かしたい」
と思っていた。
でも実際に入ってみると、
行政の雑務、地域行事、人間関係、担当部署との調整、任期後の不安。
そういうものが一気に目の前に出てくる。
ここで問題になるのは、本人の熱意だけではありません。
本当の問題は、地域側がその人に何を任せたいのか、どこまで任せるのか、何を成果と見るのかを、最初から設計できているかどうかです。
(離任リスク構造図。)
地域おこし協力隊は、よく「地域に入る人」として語られます。
でも外部から見ていると、もう少し厳しく言いたくなります。
協力隊は、便利な万能人材ではありません。
地域の人手不足を埋める人でもあり、
情報発信をする人でもあり、
移住促進を手伝う人でもあり、
イベントを手伝う人でもあり、
任期後には定住や起業も期待される。
これを一人の人間に期待するなら、最低限必要なのは「熱意」ではなく、設計です。
何をやるのか。
何をやらなくていいのか。
誰が判断するのか。
困ったら誰に相談できるのか。
三年後にどんな出口があるのか。
ここが曖昧なまま「来てから一緒に考えましょう」になると、人によってはかなり苦しくなると思います。
もちろん、曖昧な環境に強い人もいます。
私自身は、中国で複数の0→1の事業やSNS運営を経験してきました。
何もない場所で問題を分解し、仮説を立て、小さく試すことには慣れています。
だから、方向が曖昧なプロジェクトに入っても、ある程度は自分で構造を作れるかもしれません。
でも、それは全員に求めるべき能力ではありません。
多くの人にとって、方向が見えないこと、決定権が曖昧なこと、相談先がないこと、地域文化の中で自分の立ち位置がわからないことは、大きなストレスになります。
そして、これは個人の根性論で解決する問題ではありません。
私は、地方が本当に外部人材を受け入れたいなら、
「募集」だけでは足りないと思います。
必要なのは、外部の人が地域に入っていくための段階設計です。
(外部人が地域に入るまでの5段階。)
中国市場やSNS運営の感覚で見ると、いきなり三年間、地域に入って活動することを決める人は多くありません。
普通は、もっと手前に段階があります。
まず見る。
次に理解する。
少し関わってみる。
短期間だけ試す。
その後で、長期的に参加するかどうかを決める。
地方の募集も、本来はこの流れに近づけた方がいいと思います。
たとえば、いきなり「協力隊に応募してください」ではなく、もっと軽い入口を作る。
SNSを外部目線で診断してもらう。
募集ページのタイトルを一緒に考える。
海外向けの見え方について意見をもらう。
中国市場、華語圏、海外観光客の視点からフィードバックをもらう。
短期滞在で一つ記事を書いてもらう。
地域行事に参加したあと、外部人材として改善案を出してもらう。
こういう小さな接点があれば、地域も相手を見られるし、相手も地域を見られます。
それをせずに、面接と書類だけで三年を決めるのは、地方にとっても応募者にとってもリスクが高い。
もし私がこのような地域プロジェクトを改善するなら、最初にやるのは募集ページの文章修正だけではありません。
まず、地域の情報発信を変えます。
きれいな風景だけではなく、
協力隊が実際に何をしているのか。
何に困っているのか。
地域の人とどう関わっているのか。
どこに外部人材の力が必要なのか。
それを継続的に見せる。
次に、軽く関われる入口を作ります。
オンライン相談会でもいい。
SNS診断でもいい。
短期滞在でもいい。
一週間のタスク型インターンでもいい。
重要なのは、地域と外部人材が、いきなり「採用する・される」の関係にならないことです。
その前に、
一緒に考える。
小さく試す。
相性を見る。
役割を調整する。
この段階があるだけで、協力隊になった後のズレはかなり減らせるはずです。
(入口設計の改善フロー。)
そして最後に、任期後の道を一つに絞らないことも大事です。
全員が定住できるとは限りません。
全員が起業できるとも限りません。
でも、地域に関わった人が、
地元就職、起業、外部パートナー、SNS運営、海外向け発信、関係人口、商品販路支援など、複数の形で関わり続けることはできます。
人口減少時代の地域に必要なのは、
一人でも多くの人を無理に囲い込むことではなく、
人が入り、試し、残り、離れてもまた関われる仕組みを作ることだと思います。
地域に足りないのは、もしかすると「来てくれる人」ではありません。
本当に足りないのは、
外部の人が安心して入っていける道を設計する人なのかもしれません。