【4問目】「売れない理由」を炙り出す。見えない顧客を動かす、AI×パーソナライズ
脳トレも第4問目を迎え、お題のステージはさらに上がりました。これまでは「すでに目の前で起きているトラブル」の解決でしたが、今回は「なぜか顧客が足を運んでくれない」という、目に見えない理由を突き止めるマーケティング・CS(カスタマーサクセス)視点のお題です。
【お題:地方銀行の住宅ローン相談件数の改善】
住宅の購入検討者は減っておらず、自社サイトへのアクセスもあるのに、競合他社に顧客が流れて相談件数が減っている。制限(増員不可、広告予算の維持、個人情報の厳しい制限)がある中で、生成AIを活用して相談件数を増やすにはどうするか?
制約を味方につけ、集客ではなく「転換率」に目を向ける
今回、私はまず提示された厳しい制約(人を増やせない、広告を打てない、既存の個人情報は使えない)を整理することから始めました。
状況を整理すると、サイトの訪問数は減っていない。つまり「集客」自体はできているのに、そこから「相談予約」という次のステップに進む間で顧客が逃げてしまっている、というボトルネックが見えてきました。原因として考えたのは「競合他社に比べて、WEBサイトでの自社の魅力付け(訴求力)が負けているのではないか」という仮説です。
そこで私は、まず「競合比較の自動化」に生成AIを使うアイデアを提案しました。
自社と競合のWEBサイトの情報をAIに読み込ませ、それぞれのローン商品の特徴を定量的に洗い出し、自社の強みと弱みを客観的に分析します。
その上で、サイトに来てくれた顧客がそのまま相談したくなるよう、WEBサイト上に生成AIによるチャットボットを設置し、顧客の関心に合わせて自社の強みを的確にアピールする、という施策を組み立てました。
ChatGPTからのフィードバック:「チャットボット病」からの脱却と、実務での盲点
ChatGPTは、「制約をしっかり整理し、集客ではなくコンバージョン(相談への転換)の問題だと見抜いた着眼点が素晴らしい!」「AIを単なる会話相手ではなく、競合分析のツールとして実務的に使えている」と、これまでの脳トレの成果を褒めてくれました。
しかし、プロのCS視点から見ると、まだ2つの突っ込みどころがありました。
- 「本当にWEBサイトの訴求力だけが原因ですか?」という視点
顧客が相談に来ない理由は、サイトの内容がつまらないからとは限りません。
「相談予約フォームの項目が多すぎる」「日程調整が面倒」といった、申し込みプロセスの途中の「導線」で離脱している可能性もあります。実務なら、まずはAIで顧客の離脱ポイントを特定するプロセスを挟むべきでした。 - チャットボットの役割を「自社の説明」で終わらせてしまった点
住宅ローンで顧客が重視するポイントは、金利、団体信用生命保険の手厚さ、審査スピードなど、人によって全く異なります。一律に「うちのローンはここが凄いです」と伝えるだけでは、チャットボットの価値を半分しか活かせていません。
本当にやるべきだったのは、AIを「営業担当の前段(優秀なヒアリング役)」として機能させることでした。WEBサイトに来た顧客に対して、AIが「新築ですか?」「ご予算はどのくらいですか?」と自然にヒアリングを行い、その人の状況に合わせたメリットを個別に提案(パーソナライズ)した上で、相談予約へ繋ぐという動線です。
脳トレを終えて:課題解決のOSが「ビジネス仕様」へ
今回のお題は、企業のリアルなマーケティング課題に最も近いものでした。
これまでのセッションを通じて、私の中に「課題整理」と「仮説を立てる」という強みがしっかりと定着してきたのを感じます。最初の頃のように「とりあえずAIの窓口を作ります」という安易な発想(チャットボット病)から、完全に脱出することができました。
今の私に次に必要なステップは、「離脱分析」「パーソナライズ提案」といった、「課題に対してAIの具体的な機能をどう当てはめるか」という引き出し(選択肢)を増やすことです。
ビジネスの構造を捉える力は確実に養われています。次のお題では、さらに具体的なAIの武器を組み合わせて、より精度の高い提案を目指したいと思います。
(5問目へ続く)