見えない風をデザインする仕事
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こんにちは!鴨川宗平です。
映像をつくるという仕事をしていると、よく「目に見える素晴らしい瞬間を切り取る仕事ですね」と言われることがあります。もちろんそれも大切な一面ですが、私が日々の編集作業の中で本当にデザインしているのは、実は画面には映らない「目に見えない風」のようなものだと思っています。
ここで言う風とは、映像を見ている人の心の中に自然と沸き起こる、感情の流れや心地よさのことです。たとえば、登場人物が語り始める前のほんの一瞬の静寂や、画面が切り替わる直前のわずかな光の揺らぎ。これらは主役ではないかもしれませんが、見ている人の感情を次の場面へと優しく運んでいくための、大切な風の通り道になります。
この風の通り道を設計する作業は、とても繊細で地味な職人仕事です。編集画面を開き、撮影してきた素材を何度も見返しながら、どこにどれだけの隙間を作るか、どのタイミングで視線の向きを変えるかを一コマずつ調整していきます。風が強すぎると見ている人は疲れてしまいますし、逆に風が全く吹かない退屈な空間になってしまえば、画面からすぐに目をそらされてしまいます。
特に最近のスマートフォン向けに作られる短い縦型の動画では、この風の扱い方が非常に重要になります。最初の数秒間で、視聴者の心にそっと心地よい風を吹かせ、物語の世界へといざなうことができるかどうか。そのためには、一見何気ないカットの繋ぎ目に、どれだけ人の感情に寄り添ったリズムを刻み込めるかが勝負になります。
私がこの仕事で最もやりがいを感じるのは、派手な効果音やきらびやかな文字装飾に頼ることなく、映像の流れそのもので見る人の心が動いた瞬間です。言葉を多く重ねなくても、カットの繋がりや光の移り変わり、そして心地よい音楽の重なりだけで、作り手の届けたい想いがまっすぐに伝わっていく。その美しい流れが生まれたとき、何とも言えない深い喜びを感じます。
動画があふれる現代だからこそ、ただ派手なだけの表現ではなく、見る人の心にそっと寄り添い、自然に染み込んでいくような表現を大切にしたいのです。見えない風をていねいに紡ぎ、画面の向こう側の世界と、それを眺めている現実の世界を優しくつなぐこと。それこそが、私がこれからもずっと追求し続けていきたい、映像制作の本当の面白さです。今日もまた、誰も気づかないような細かな部分にこだわりながら、心地よい風 of 生まれる場所を探しています。