1ヶ月前に、「30日でアプリをリリースすると決めた」という話を書きました。その続きです。
7月29日、個人開発の推し活アプリ「推しスキ」をApp Storeに公開しました。6月30日の夜に最初のコミットを打っているので、ちょうど30日です。8月7日にはAndroid版も公開し、いまはiOS・Androidの両方で動いています。
前回「いちばん苦労するのはコードではないと思う」と書きましたが、実際そのとおりでした。
■ 逃げ道を先に塞いだ
そもそもの始まりは3ヶ月前です。「こういうアプリを作ろうと思う」とSNSに書いたら、想像よりずっと反応があって、「使いたい」と言ってくれる人が何人も出てきました。名前もアンケートを取って決めてもらいました。
そこまでやってしまうと、もう後戻りはできません。7月29日という日付を選んだのも同じ理由です。締切を先に、公開の場で宣言する。これは自分にとって、いちばん確実に完成させる方法でした。
そして、この30日間は本業(週40時間の業務委託)と並行しています。正直に言えば、30日でアプリを作った経験は前職でも何度もあったので、いけると思っていました。甘かったです。働きながらやるのは、まったく別の競技でした。
■ どう作ったか
速さを出すために、順番を割り切りました。
1. ゼロから組まず、オープンソースのテンプレートから始める
2. バックエンドもログインも後回しにして、まず触れる画面だけを作る
3. アイデアはAIに並列で投げて、粗くていいので「動く最初の版」を先に出す
4. 画面が一通りできてから、機能の細部とデザインに入る
最初の1週間はデザインを考える余裕すらありませんでした。とにかく形にして、反応を見て、直す。この繰り返しです。
■ いちばん詰まったのは、ストアの審査要件でした
Appleがボトルネックになると思い込み、初日にDeveloper Programを支払って準備を済ませていました。実際に詰まったのはGoogle Playです。個人開発者アカウントで製品版に出すには、12人以上のテスターによる14日間のクローズドテストが必須でした。
気づいたのは残り16日、テスターは0人。テストに14日かかるので、猶予は実質2日。
その日のうちに、テスターの募集、ストアの申請フォーム、スクリーンショット、デモ用アカウント、そして未実装だったログインとオンボーディングまでを一気に仕上げました。テスターは数時間で集まってくれました。本業の8時間もこなした日でした。
■ 自分のアプリのスクショが恥ずかしかった
テスト版を配ったあと、参加してくれた方々が自分のホーム画面のスクショを上げてくれました。
見て、恥ずかしくなりました。開発15日のアプリなので当たり前ではあるのですが、当たり前で済ませていい話ではありません。そこからデザインを作り直しました。ロゴも配色も画面構成も、アンケートを取りながら何度もやり直しています。
結果として、この1ヶ月でいちばん時間を使ったのは新機能ではなく、UIとUXの作り直しでした。人に見せて、恥ずかしくなって、直す。これがいちばん効いた進め方でした。
■ 結果と、落としたもの
- リリース初日の登録ユーザー:55人
- 10日後:70人
- 翌日、App Storeで「推し」と検索すると、レビュー900件超のアプリより上に表示されていました
一方で、期日のために落としたものもあります。ウィジェット、メール連携、AIチャットの精度、UXの磨き込み。「使える」と言える最低限だけを出しました。完成したとは言えません。
それでも1ヶ月で出したことには意味があったと考えています。半年かけていたら、その半年は誰の反応もないまま作り続けることになっていました。
リリース後の10日間で159コミット。届いた要望をその日のうちに直して、次のリリースに入れる。落としたものも一つずつ戻しています。
締切を先に決め、そこから逆算して「やらないこと」を決め切る。詰まりを早く見つけて、その日のうちに片づける。人に見せて、直す。受託でも個人開発でも、価値があるのは同じ動き方だと思っています。
東京を拠点に、フリーランス(業務委託)としてシニアエンジニア・PdM・PLのポジション、または共同創業の機会を探しています。お気軽にご連絡ください。