新卒でプラント設計の仕事に就いたとき、自分が将来Webエンジニアになるとはまったく想像していませんでした。
大学では応用生物学を学び、卒業後はプラント設計へ。その後、建設、不動産、社内DXを経験し、現在はWeb・業務システム開発を中心に仕事をしています。
経歴だけを見ると、「ずいぶんいろいろやってきたな」と自分でも思います。
以前は、この一貫性のなさを少し気にしていました。
でも今振り返ると、それぞれの仕事で経験したことが、意外なくらい現在のエンジニアとしての仕事につながっています。
今回は、そんな自分のこれまでのキャリアについて書いてみようと思います。
🔬 大学では、まったく違う分野を学んでいた
大学では応用生物学を専攻し、DNAアプタマーを用いた疾病診断や病原性微生物の検出、ナノテクノロジーを活用した高感度検出などについて研究していました。
研究では、
仮説を立てる。
実験する。
データを分析する。
結果を検証する。
うまくいかなければ原因を考えてやり直す。
この繰り返しでした。
当時はエンジニアになることを考えていたわけではありません。
ただ、今システム開発をしていると、問題が起きたときに原因を切り分けたり、仮説を立てて検証したりする場面がよくあります。
振り返ってみると、研究で身につけた考え方は、現在の仕事にもかなりつながっていると感じます。
🏭 新卒でプラント設計の世界へ
大学卒業後は、プラント設計の仕事に就きました。
化学プラント、発電設備、都市ガス設備、水処理設備などに関わり、約7年間、AutoCADなどを使った設計業務に携わりました。
図面を描くだけではなく、顧客の要求を確認し、機器の仕様や材質を検討し、製造・調達部門や現場と調整しながら一つの設備を形にしていく仕事です。
ここで学んだのが、
「設計したものは、最終的に誰かが実際に使う」
という当たり前だけれど大切なことでした。
設計上は正しくても、製造できなければ意味がありません。
現場で施工できなければ意味がありません。
使う人にとって扱いづらければ、それもまた問題です。
現在システムを設計するときに「実際に使う人はどう感じるだろう」と考える癖は、この頃から身についたのかもしれません。
💻 プログラミングとの出会い
プラント設計の仕事をしていると、同じような操作を何度も繰り返すことがあります。
図面を作る。
Excelのデータを整理する。
決められたルールに従って情報を入力する。
あるとき、
「これ、人が毎回やらなくてもいいんじゃないか?」
と思うようになりました。
そこからPythonやAutoLISP、C#などを使い、CAD作業やデータ処理の自動化に取り組むようになりました。
自分で作ったプログラムによって、それまで約1時間かかっていた定型作業が約10分で終わったときの感覚は、今でもよく覚えています。
「プログラムを書くこと」そのものより、
自分が困っていたことを、自分で作った仕組みで解決できる。
そこに面白さを感じました。
これが、私がソフトウェア開発へ興味を持つ大きなきっかけになりました。
🏢 建設・不動産の世界へ
その後、建設・不動産業界へ転職しました。
ここでは営業や不動産実務、通信インフラ関連の業務など、プラント設計とはまた違う仕事を経験しました。
お客様と話す。
現場を見る。
案件を管理する。
物件や土地を調査する。
複数の関係者と調整する。
技術だけでは仕事が進まない世界を経験したことで、以前よりも「人がどう仕事をしているか」を意識するようになりました。
そして社内業務を見ていると、また同じことが気になり始めました。
「この仕事、もっとやりやすくできるんじゃないか?」
⚙️ 現場側から、システムをつくる側へ
社内では、顧客情報、物件情報、案件の進捗、対応履歴など、さまざまな情報を扱っていました。
一方で、情報がExcelや複数のツールに分散していることで、確認や共有に時間がかかる場面もありました。
そこで現場の業務を整理し、情報を一元管理する業務システムの開発・改善に携わるようになりました。
ここで面白かったのは、自分自身が実際の業務を経験していたことです。
「この画面なら使いやすそう」
だけではなく、
「このタイミングでこの情報が必要になる」
「ここで入力項目が多いと面倒になる」
「この情報は別の部署も見る」
といったことを、利用者側の感覚から考えることができました。
プラント設計時代に感じた、
「使う人を理解して設計する」
という考え方が、ここでもつながっていました。
👨💻 そしてWebエンジニアへ
現在は個人事業主として、Web・業務システム開発やDX・業務改善を中心に活動しています。
React / Next.js / TypeScriptを使ったフロントエンド開発や、Python / FastAPIを使ったバックエンド開発など、扱う技術も大きく変わりました。
個人開発では、React / TypeScript × Python / FastAPIを使ったWebサイト診断アプリ「Site Check」なども開発しています。
以前は図面を描いていた自分が、今はコードを書いてWebアプリケーションを作っている。
改めて考えると、不思議な感じもします。
ただ、自分の中では突然エンジニアになった感覚はありません。
目の前の仕事をもっと良くしたい。
↓
自動化してみる。
↓
業務そのものを仕組み化する。
↓
システムをつくる。
少しずつ対象が広がっていった結果、今の仕事につながりました。
🛤️ 遠回りだったのかもしれない
Webエンジニアという仕事だけを考えれば、もっと早くIT業界へ入っていた方が、技術経験は長くなっていたと思います。
その意味では、遠回りだったのかもしれません。
一方で、プラント設計も、建設も、不動産も経験していなければ、今とは違うエンジニアになっていたと思います。
現場には、システムだけを見ていても分からないことがあります。
業務には業務の事情があり、人には人のやり方があります。
新しいシステムを導入すれば、必ず業務が良くなるわけでもありません。
だから私は、技術を考える前に、
「そもそも何に困っているんだろう?」
と考えることを大切にしています。
異業種を歩いてきた経験は、今では自分の弱みではなく、エンジニアとしての一つの強みだと考えています。
🚀 これから
これからはReact / TypeScript / PythonをはじめとしたWeb開発の技術力を、さらに高めていきたいと思っています。
同時に、これまで培ってきた現場経験も大切にしたいです。
技術だけを知っている人でもなく。
業務だけを知っている人でもなく。
現場と技術の間に立ち、両方を理解しながら仕組みをつくれるエンジニア。
そんな存在を目指しています。
大学での研究、プラント設計、Pythonによる自動化、建設・不動産、社内DX、そしてWeb開発。
一見バラバラだった経験が、今になって少しずつ一本の線につながってきました。
これからどんな仕事をすることになっても、
「現場の課題を理解し、技術で解決する」
という軸は、大切にしていきたいと思います。