はじめに
はじめまして、河野(かわの)と申します。 私はゲーム開発におけるプロジェクトマネジメント(進行・品質管理)、企業での経理・財務基盤構築(CFP保有)を経て、現在はAIツールを活用した業務プロセスの構築およびプロダクトの設計・ディレクションに従事しております。
今回は、幻冬舎メディアコンサルティングにて主導した「営業支援AIツールの新規機能開発プロジェクト」を例に、AIエージェントと協働しながら要件定義から実データでの品質検証までを完遂したプロセスをケーススタディとして公開いたします。
1. プロジェクトの背景:未接触見込み客への「再現性あるアプローチ」の確立
法人向けブランディング支援を展開する事業部において、既存の営業支援システムは過去に商談履歴のある顧客向けに限定されていました。そのため、一度も接点のない新規見込み客に対しては、担当者が毎回ゼロからリサーチ・文面作成を行っており、業務負荷と機会損失が課題となっていました。
現場からの要請は、「公開情報を軸に、過度な売り込み感を抑えた高品質な文面を、毎日3,000件規模で自動生成できる仕組みの構築」でした。
2. 開発プロセス:AIエージェントとの役割分担と協働ディレクション
本プロジェクトでは自らすべてのコードを実装するのではなく、「要件定義・全体設計・品質検証・意思決定」に専念し、AIコーディングエージェントをディレクションする開発体制を採用しました。
- 既存構成の比較分析 社内に存在した2つの参考実装を動作検証し、双方の強みと拡張限界を特定した上で最適な設計方針を決定。
- 安全性を維持したモジュール統合 既存システムの判定ロジックおよび安全装置(機微情報フィルタ、送信前アラート等)を損なうことなく、新規区分用のモジュールを組み込む設計を推進。
- 実データによる多段階テスト 数十件単位の実データを段階的に投入し、発生した不具合をその場で特定・修正指示を行い、再検証を実施。
- 現場の一次情報に基づくプロンプト改善 インサイドセールス担当者へのヒアリングを実施。「具体的な提案内容が伴う文面ほど応答率が高い」という検証データを元に、文面構成をアップデート。
3. 実務運用で直面した「3つのトレードオフ判断」
単に技術的な可否を問うのではなく、「事業運用としてリスクとリターンの整合性が取れているか」を軸に境界線を判断しました。
- 文面トーンの最適化 「問いかけ型」と「提案型」で意見が割れた際、現場の反応データを根拠に採用。前半で相手の現状課題へアプローチし、後半で具体的な解決策を提示するハイブリッド構成に最適化。
- データ収集の安全制御とコスト最適化 Web上の情報収集範囲について、外部SNSはアカウント利用規約違反や凍結リスクを考慮して対象外に設定。ログイン不要な公開情報源に限定することで、セキュリティリスクとシステムコストを同時に削減。
- 自動化と人による確認の境界線 宛名氏名の自動補完は、誤送信による信用低下リスクを重視。完全自動化を避け、最終確認を人が行う「Human-in-the-Loop」型の設計を選択。
4. 実データ検証の実績数字
- 120件超:多段階テストにおいて検証を通した実データの延べ件数
- 6件:検証フェーズで早期特定・修正を完了した実装上の課題数
- 4回:現場フィードバックに基づき改善を重ねた生成プロンプトの改訂回数
- 3,000件/日:本番運用を想定したシステム処理能力
おわりに(目指す方向性)
本プロジェクトを通じて実証したのは、「現場の複雑な業務課題を紐解き、AIを活用しながら実データで実運用に耐えうる品質まで仕立て上げるディレクション力」です。
- ゲーム開発PM:異なるステークホルダーを巻き込み推進する力
- 経理・CFP:事業収益・コスト・リスクを見極める財務視点
- AI活用実践:最新のAI技術を安全かつ実用的に事業運用へ落とし込む実装・設計力
これら3つの強みを統合し、組織の生産性を根底から高めるBizOpsや全社DX推進(AIプロダクトマネージャー)として貢献したいと考えております。
「AIツールをどのように実際の業務プロセスへ落とし込むべきか」とお悩みの企業様や、現場主導型のDX人材をお探しの採用担当者様がいらっしゃいましたら、ぜひ「話を聞きに行きたい」よりお気軽にご連絡いただけますと幸いです。