こんにちは!中上慶之輔です。
普段はパソコンに向かい見えないネットワークやシステムの構造を整える仕事をしています。表からは見えない環境を作り上げるこの仕事は私にとって竹を細く割いて頑丈なかごを編み上げる職人の作業によく似ていると感じています。一本ずつのひごを丁寧に交差させ隙間なく組み上げることでどんな重い荷物を載せても決して底が抜けることのない強固な器を作り出す仕事だからです。
今回心に浮かんだモチーフは雨の日に軒下から垂れ落ちる雨滴です。一滴一滴は小さく儚い存在ですが決まった場所へ正確に落ち続けることでやがて硬い地面すら削り落とす静かな力を秘めています。普段私たちが画面の向こうで扱っているデータやプログラムの命令もまさに雨滴のように小さな粒の集まりであり一つひとつが正しい道筋を通って積み重なることで巨大なシステムを動かす動力となります。
障害やトラブルを未然に防ぐための日々の点検作業は使い慣れた革靴に丁寧な磨きをかける時間に重なります。表面に付着した小さなホコリを払い専用のクリームを薄く均一に塗っていくことで革のしなやかさを保ち雨や傷から大切な足元を守り抜きます。派手さのない地道な作業ですがこの入念な仕込みがあるからこそ長い距離を歩んでも決して破綻することのない安定した足取りを維持できます。
原因のわからない不具合に対峙する時間は深い霧に包まれた山道でかすかな足痕を探し求める旅に似ています。風に揺れる草木の揺らぎや土の凹凸に注意を払い些細な違和感を見落とさずに道筋を辿っていきます。焦って足早に駆け出すのではなく立ち止まって周囲の静寂に注意深く耳を傾けることこそが問題の核心へと繋がる唯一の突破口となります。
また時代に合わせて新しい環境へシステム全体を移し替える作業は長年慈しんできた小鳥を新しい大きな籠へ優しく移す瞬間に重ね合わせることができます。驚かせないようにそっと包み込み新しい木止まりの位置や水の深さを整えながらストレスなく羽ばたける環境を準備します。蓄積してきた大切なデータや歴史を守りながら円滑に次の時代へ渡していくことが大切な役割です。
表舞台で脚光を浴びる機会は少なくても誰かが安心して日常を過ごせる空間を静かに編み上げる竹かごのようでありたいと思っています。落ち続ける雨滴のように静かで確かな仕事を重ね見えない場所で頑丈な土台を作り続けていくつもりです。