生成AIは、医療の世界でも急速に身近な存在に
文章を整理する。
資料のたたき台を作る。
情報を要約する。
考えを深めるための壁打ち相手にする。
使い方によっては、日々の業務や学びを支えてくれる非常に便利な道具です。
私自身も、医療現場で生成AIを活用できる可能性は大きいと考えています。
一方で、医療だからこそ、便利さだけを理由に使い始めるのは危険だとも感じています。
大切なのは、
「AIを使えるか」ではなく、「何を、どこまで、どう使うのかを人が判断できるか」
ということではないでしょうか。
問題はAIそのものだけではない
生成AIについて話すと、
「どのAIが一番優秀なのか」
「ChatGPTとGeminiはどちらがいいのか」
といった話題になりがちです。
もちろん、ツールごとの違いを知ることは大切です。
ただ、医療現場で考えるべきことは、それだけではありません。
どんな情報を入力するのか。
その情報は、本当に外部サービスへ入力してよいのか。
AIが出した内容を、誰が確認するのか。
どこから先を人が判断するのか。
誤った回答が出た場合、どのように気付くのか。
こうした運用まで考えて初めて、「AIを使う」という行為が成立するのだと思います。
「便利だから入力する」の前に一度止まる
生成AIは、入力した情報に対して非常に自然な文章を返してくれます。
だからこそ、使っているうちに、
「とりあえず全部入れてみよう」
となりやすい側面があります。
しかし、医療現場には患者さんに関する情報だけでなく、施設内部の情報、業務上の機密情報など、慎重に扱うべき情報が数多くあります。
AIを使う前に、
この情報を入力する必要は本当にあるのか。
一度立ち止まって考えることが重要です。
必要な情報だけを選び、不要な情報を減らし、識別につながる情報にも配慮する。
私は、この「AIへ入力する前の工程」が非常に重要だと考えています。
AIは判断者ではなく、考えるための材料を増やす存在
生成AIの回答は、とても説得力のある文章として返ってきます。
だからこそ、
「AIがそう言っているから正しい」
という使い方は避けなければなりません。
AIは、医療者の代わりに最終判断をする存在ではありません。
むしろ、
別の視点を出してもらう。
自分の考えを整理する。
見落としている論点を探す。
資料を作るための下書きを作る。
そうした人が考えるための材料を増やす存在として使う方が、私は適していると考えています。
重要なのは、最後に確認し、判断する人がいることです。
一つのAIに答えを求めすぎない
私は、生成AIを「正解を教えてくれる機械」として捉えていません。
同じ問いでも、使うAIや問い方によって答えは変わります。
だからこそ、一つの回答だけを見て決めるのではなく、
複数の視点を比べる。
元の情報を確認する。
必要であれば専門家に確認する。
最終的には人が判断する。
このプロセスが必要です。
AIを使うことで、判断を省略するのではなく、
判断するための材料を増やす。
その使い方を医療現場に根付かせたいと考えています。
「禁止する」か「自由に使う」かの二択ではない
生成AIについては、
「危険だから使わない」
という考え方もあれば、
「便利だからどんどん使えばいい」
という考え方もあります。
私は、そのどちらかだけではないと思っています。
医療現場では、
何に使ってよいのか。
何を入力してはいけないのか。
誰が確認するのか。
どこまでをAIに任せるのか。
最低限の共通認識を組織の中で持つことが重要です。
禁止するだけでは活用は進みません。
一方、個人の判断だけに任せてしまうと、組織としてのリスク管理が難しくなります。
必要なのは、AIを使う人を増やすことだけではなく、
安全に使える人と環境を増やすこと
だと考えています。
K-Brainで取り組みたいこと
合同会社K-Brainでは、「医療の知性をAIで支える」という理念を掲げています。
ここで目指しているのは、AIに医療を任せることではありません。
医療職が持っている専門性。
現場に蓄積されている情報。
組織として積み重ねてきた経験。
それらを整理し、人が確認し、AIも活用しながら、次の判断につなげていく。
そのための環境や仕組みをつくることです。
AIはこれからも進化していくと思います。
だからこそ、特定のツールの使い方だけを覚えるのではなく、
「この情報を入力してよいのか」
「この回答をそのまま使ってよいのか」
「最後に誰が判断するのか」
を考えられることの方が重要です。
AIを使う前に、一度立ち止まる。
そして、人が考えることを手放さない。
これから医療現場で生成AIを活用していく上で、私が大切にしたい考え方です。