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もっと近づいて見たかった。

小学校に入って間もないころのことです。

学校の池にアメンボがいました。

アメンボの脚は水面にくっついていましたが、不思議と濡れていません。

水が不思議な曲面を描いて脚を避けているのが見えました。

その様子が気になって、目を近づけていきました。近づけばもっとよく見えます。あの曲線がよく見えます。

不思議な力を感じたと思ったら、耳元で「ゴボゴボ」という音がしていました。

僕の体は重力に引かれ、そのまま池に落ちました。

幸いなことにすぐに先生に助けれもらいました。濡れた服の感触が気持ち悪いうえ、藻がついていました。


今でもあの「ゴボゴボ」という音が、時折聞こえる気がします。