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日本企業様の問題解決をグローバル人材市場の中で考える。

 私は各国の雇用問題は、それぞれの国の労働市場をグローバルに統合することで解決できると思う。勿論、専門家ではないため、本当にそうなのかは人生をかけた実体験から検証すべきだが、今はそういう信念を持ち続けたい。

 労働経済学は、労働力の需要と供給に関して分析している学問だ。この学問には興味を持っていたが、これにグローバル人材である自分の立場を取り入れることで、国同士の労働力のバランスを考えるまで思考が広がるようになった。

 グローバル労働市場は、二つの国を取り上げて比較分析した方がわかりやすい。今回は私が韓国人であるため、韓国と日本の国内情勢を比較しながら語ってみたい。

 韓国は昔から非常に貿易依存度が高い国(70%)で、全ての経済団体がこの「貿易」という経済活動を軸として、役割を分担している。原材料を仕入れて→生産して→海外に流通させ→販売する。それで、昔から非常に外国語の勉強に力を入れていて、各地域に外国語高等学校という「特殊目的校」が設立され、優秀な学生を意図的に輩出している(ちなみに、私は釜山外国語高等学校を卒業している)。しかし、あまりにも内需市場が狭く、貿易依存度が高いせいか、現在はバイリンガルの人材は需要を超える数となり、優秀であっても就職できない状況が続いている。

 日本は韓国と違って堅い内需市場を持っていた。また、貿易依存度も約30%しかならない。そのためか、グローバル人材を輩出しなきゃならないという国からの激しい政策は韓国のようにはみられなかった。学生たちも普通に大学を出れば就職はできたため、言語能力の習得に対する危機感を持っていなかった。言い換えれば、言語能力を身に付けたいから学ぶ人が多く(選択)、その気がない人たちは、これがないと仕事に就けない(必須)という危機感がなかったため、言語能力がデフォルトではなく、オプションとなっていた。しかし、急激な高齢化により内需市場の崩壊により、様々な企業が海外から突破口を模索する状況となり、いざと蓋を開けてみると、グローバルで活躍できる人材は思ったより少なく、人材の供給より需要が高い状況となっていた。

 つまり、各国は経済活動の有り様によって、それに伴う人材が輩出される。しかし、今は非常に変化が激しい時代にも関わらず、日本は過去の成功体験が逆に足を引っ張ることとなり、国内の状況の変化による人材育成への危機感を抱いていなかったことになる。

 こう言っても、私は日本に問題があったと責めたくはない。理由は、将来のことがどう変わるか、それは誰も知らないものだし、経済研究員すら予測がずれたりするから。過去を責めることで今の状況は変わらないので、それより対策が重要だ。

となると、対策とは?

多国のグローバルの人材の需給のバランスをとらせることだ。日本を救うためにも、これからより人材のトレードを活発にさせないといけない。

 世界の経済は国同士の貿易によって大きく成長してきた。この「物を移動させる」行為は本当に人類史に様々な事件を起こしてきた。貿易摩擦によって起こった戦争もあるほどだ。しかし、「人を移動させる」ことはまだまだ「目に見えない壁」があり、貿易のように盛んでいない気がする。したがって、これがスムーズになる仕組みを作り上げることで、新しい価値を世の中に提供し、問題が解決できる。

 外国人採用を通じてこれからの難局を克服しようとする企業様が次々と現れている。つまり、変化は既に起きている。後はその変化に価値を提供できる人材になる努力を続けることだ。