書籍【20歳の自分に教えたい現代史のきほん】読了
最近、改めて勉強が必要だと感じている。
知ったつもりになっていても、実は知らないことばかり。
同じニュースであっても、その背景を知らないで聞くのと、背景を知って聞くのとでは、その理解度が大きく異なってくる。
ニュースをただの事象として捉えるか、歴史という一本の線として繋げて見るか。
ほんの少しの違いかもしれないが、世界は大きく変わって見える。
ビジネス視点で捉えても、正しい判断をしていくためには、解像度を上げていくしかない。
特に私が関係しているエンタメビジネスは、国内だけを見ていたら当然頭打ちで、世界に展開を広げる必要がある。
地政学もだが、各国の文化や歴史、価値観を知ることは、ビジネス面では特に重要なことだ。
改めて、日本という国の立ち位置が、これほど緊迫していることがあっただろうか。
戦後、奇跡的に平和な期間が長過ぎて、「平和ボケ」になっていると揶揄されても仕方がない。
事実、アメリカの庇護の元で、隣国から攻撃される可能性もほとんどなく、経済復興に全振りできたのは、幸運だったと言わざるを得ない。
そんな日本国が今、2つの大国に挟まれて、微妙な状態にある。
今の世界を動かしているのは、間違いなくアメリカと中国だ。
日本はもはや世界に影響を与える国家とは言えない。
むしろこの2国の間に挟まれ、ものすごい緊張状態だと言ってよいと思う。
もちろん、周辺に位置するロシア・北朝鮮の動向だって気になる。
中国が台湾に対してどう出てくるか次第で、これからの情勢は大きく変わる。
中国からすれば、台湾と日本が太平洋への出口を蓋しているような状態なので、どうにも邪魔でしょうがない。
台湾と日本がなければ、太平洋の半分は中国の自由になるかもしれない。
単なる領土の拡大欲だけで見てはいけない。
今の中国を突き動かしているのは、強烈な使命感だ。
その根底として「中華民族の偉大なる復興」という、大きな野望がある。
日本は江戸時代から明治期にかけ、たまたま欧米列強の植民地にならずに、国内の近代化に進むことができた。
しかし中国には、19世紀のアヘン戦争以来、西欧列強に蹂躙されてきた「百年の国恥」を晴らしたいという、民族的な執念とも言えるものが潜んでいる。
中国共産党にとっては、経済大国になることが目的ではなく、それはあくまでも手段に過ぎない。
彼らが真に求めているのは、アメリカが作り上げた既存の国際秩序の置き換えである。
かつて世界の中央に君臨していた「中華」の地位を取り戻すことが、本当の目的と言える。
そんな中で今、アメリカの背中が見えてきて、世界のトップに返り咲くのもあと少しだ。
経済発展だけでなく、最先端の科学技術でも世界をリードすべく、野心的な計画を次々と打ち立てている。
一方、その足元には危うさも漂っている。
不動産不況を皮切りに、経済発展は急ブレーキがかかっている。
日本以上に急速に進む少子高齢化も大きな懸念点となっており、一般の若者たちの失業率も異常に高い。
格差社会の犠牲者となっている人々の不満が、いつ噴出してもおかしくない状況でもある。
習近平政権が独裁体制で当面続くことは間違いないが、その状況は盤石とは言えない。
そんな中、どういうパワーバランスで舵取りしていくのか。
独裁者の思考回路は、先進国の各首脳が考えている以上の時間軸で物事を見ている。
世界の覇権奪回を目論んでいることは間違いないが、決して急いではいない。
テクノロジーの進化によって、自身の寿命さえも延ばすことが可能になってくる。
永遠の命は、永遠の権力を示すことでもある。
「永遠」は言い過ぎかもしれないが、少なくとも中長期で情勢を見ているのは間違いない。
そんな中国に対し、我々が目先の利益だけを見て、浅はかな判断をしないことは非常に重要だ。
日本はどうやって今後アメリカと連携を取っていくのか。
アメリカの動きは当然注視しなければいけない。
かつては「世界の警察官」として、自由と民主主義という正義を世界中に広めようとしてきた。
しかし、今その力には明らかな陰りが見えているという。
今の我々が理解しておくべきことは、アメリカ国内で「なぜ自国の若者の血を流してまで、遠い他国の平和を守らなければならないのか」という不満が限界に達していることだ。
これが「アメリカ・ファースト」の背景にあるという。
この潮目を我々はどう読むか。
つまり、万一台湾有事が起きた際も、アメリカが最前線に出て守ることは、考えない方がよいということだ。
これは、ウクライナの支援状況を見ていても容易に想像がつく。
台湾有事は、イコール日本有事。
日本がピンチになった際に、我々以上にアメリカ軍が最前線に行くことはあり得ないということだ。
あくまでも日本の国は、我々日本人が守らなければいけないという、至極当たり前のことなのだ。
しかし、アメリカが全くの傍観者でいるとは到底思えない。
アメリカは、コストがかかりすぎる「世界の警察」という役割からは、確かに降りたがっている。
しかし、それは「覇権を捨てる」という意味ではない。
アメリカにとっての覇権とは、ドルという通貨や、インターネットのルール、軍事的な優位性を握り続けることだ。
これらを失うことは、アメリカという覇権国家の崩壊を意味する。
だからこそ、覇権を奪おうとする中国に対しては、超党派で徹底的な封じ込めを行おうとしている。
「警察官のバッジ」は返したいが、「支配者の椅子」からは立ちたくない。
この矛盾した態度が、世界をより不安定にさせている正体とも言える。
こうして考えただけでも、日本がとるべき行動を一様に決めるのは非常に難しい。
相手の出方によって柔軟に考える必要があるし、その駆け引きの妙で、有利不利が大きく影響する。
本書が説いているのは、知識を詰め込むことの重要性では決してない。
ひとつひとつのニュースを、歴史という大きな文脈の中で眺めてみることだ。
データの断片をただ収集しても、それはインテリジェンスとは言えない。
その情報を価値あるものにするためにも、背後にある原因を、歴史を遡って探り当てる。
そうすることで、初めて情報の解像度が高まってくる。
日々仕事をしていると、どうしても目の前の問題解決にだけ追われてしまいがちだ。
表面的な現象だけを見て判断を下すのではなく、その根底にある本質を探ること。
そういう癖をつけることが、これからの不確実な時代を生き抜く術だと思っている。
学び続けることで、物事を見る解像度を高めていきたい。
(2025/9/15月)