書籍【シグナル:未来学者が教える予測の技術】読了
「どうすれば未来を予測できるのか?」これは永遠のテーマかもしれない。
しかし、よく考えてみると、その考え方自体あまり意味がないことではないか、と思ってしまう。
「未来予測」というと、当たった、外れた、という話になってしまうのだが、それが本質では
ないことは明らかなはずだ。
映画に出てくるタイムマシンのように、競馬などで一発当てるつもりならよいかもしれないが、結局は金儲けのためだけか。
そこだけ考えると、「他人が知らない情報を、自分だけが先に知る」という優位性を使って、富を築くことに利用するという話になる。
これはこれで、理解はできるのだが、浅はかというか、小さいというか。
このように「他者よりも優位に立ちたい」という、相対的なポジション取りの話になってしまうと、とたんに気持ちが冷めてしまう。
未来予測って、そういうものじゃないだろう。
もっと心が沸き立つような、ワクワクするような、そういう感覚に憧れてしまう自分がいる。
スティーブ・ジョブズは希代の経営者で、金も沢山稼いだかもしれないが、単にポジションを取るためだけに生きていた訳ではないだろうと思う。
「ビジョナリー」と言われてた通り、「予測する」ことよりも、「こんな世界を創りたい」という妄想に憑りつかれた変人だったはずだ。
その変人が、世界を熱狂させる製品を作りだし、文字通り世界を変えたのだ。
誰がこんな未来を予測したというのか。
結局、未来とは予測するものではない。
創造するものなのだ。
それができる人は、ほんの一握りの人なのかもしれない。
ジョブズほどでなくても、もし少しでも世界を変えることができたなら、何て素敵な人生じゃないかと思う。
この考え方は、今後生きていく上で、鍵となっていく思考法だとも言われている。
最近は「ソート・リーダーシップ」とか言われるようだが、「ソート」(=Thought)考え方が大事だということだ。
妄想だって、一つの考え方。
今の若い人は、単なる金儲け主義には共感しないし、地球規模の課題を何とかしたいと思う人が多い。
我々老年世代よりも、よほど真剣に未来を考えている。
現実的に「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」を掲げない会社は見向きもされない。
会社に優秀な人材を集めるためにも、「未来を創造する」気持ちは大事なのだろうと思う。
しかし一方で、MVVを掲げれば良いってものでもない。
コンサルに言われるがままMVVを掲げても、芯がないというか、薄っぺらいというか、そんな状態になってしまう。
未来を創造したいという妄想に憑りつかれた人なんて、ほんの一握りかもしれないが、形だけ取り繕っても、今の若者にはバレてしまう。
心の底から湧き起こる衝動こそが、今後世界を変えていく。
これからは特に「AI時代」に突入していくから、益々顕著になっていくだろう。
AIに衝動はないが、命令に対してサボらず休まずに延々と作業ができる。
人間の価値が益々問われていくが、普通に今まで暮らしてきた人は、今後人生を真剣に考え直さないといけないだろう。
今までの延長線上で普通に生きることは、ほぼ不可能と言えるからだ。
自分には特別な衝動や妄想なんてない、という人も多いだろうと思う。
そういう人こそ、今後の生き方を真剣に考える必要がある。
最近「モチベーションこそ、人間の源泉」というが、本当にその通りだと思ってしまう。
世の中を変えるような画期的な新製品やサービスが世に出てくる前には、必ずなんらかの兆候があるはずだというが、それを見つけられるのも、モチベーションの有無が大きいはずだ。
本書内では「まずは社会の隅に目を凝らせ。幅広い網を張って情報集めよ」と説いているが、まずこの行動ができるかどうか。
なぜ、あれだけシェアを取っていた携帯電話「BlackBerry」は、スマホ時代の到来を読めなかったのか。
逆になぜジョブズには、それが見えたのか。
本書内では「一過性の流行と、本物のトレンドをどう見分けるか」についても言及している。
「CIPHER」で検証せよ、ということであるが、
★C → Contradiction(矛盾)今までではあり得ない組み合わせ
★I → Inflection(変曲)急激な変化を招く出来事
★P → Practice(慣行)根付いた価値観を壊せ
★H → Hack(工夫)今までと違う方法を試みろ
★E → Extreme(極端)まさに突き抜けてやってみろ
★R → Rarity(希少)一見関係の無いものを探せ
これらは確かに、今までも意識して行動していたような気がする。
それをもっと突き詰めて行えということか。
そして、タイミングを見極め、未来に起こりうるシナリオと戦略を描けと説いている。
未来を予測するよりも、創造せよ。
何となくだが、「世界がこうなってほしい」という妄想は、自分の中に存在している。
それを形にできたら、幸せだと思う。
つまり、迷わず邁進せよということだ。
50代後半の老年ではあるが、諦めずに生きていきたいと思っている。
(2025/4/9水)