◆採用クロスインタビュー
会社の経営を支える「人」
そんな「人」に徹底的に向き合って働く部門が「人事・採用」だ。
人事の考え方や、企業文化の違いを多くの人に知ってもらい、よりクリアにしていきたいという思いから、「人事対談」という企画が持ち上がった。
第一弾はProfuture佐藤とCLUTCH西尾
共に10周年を迎えた同い年の企業で、若手人事として試行錯誤を繰り返している二人が今、何を思うのか。
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ProFuture株式会社 佐藤 白馬
今年で設立10周年を迎えました。
日本最大級に人事ポータルサイト「HRプロ」、大型人事イベント「HRサミット」などを運営。日本のHR領域のトレンドリーダーとして、急成長中。
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株式会社CLUTCH 西尾輝
株式会社CLUTCHは今年10周年を迎え、急成長期を迎えています。
創業当初からあるWebマーケティング事業に加え、自社のインバウンドメディア「IKIDANE NIPPON」を用いた事業展開や、民泊やゲストハウスの運用も行っている。
◆働くことが楽しくない大人になりたくなかった
佐藤−
早速ですが西尾さん、タイトルにもありますが、仕事楽しんでますか?(笑)
西尾−
いきなりですね(笑)はい、今の仕事は楽しいですね。
ただ、こんな自信を持って楽しいと言えるのも、今まで仕事が面白くなくて、悩んだ経験があったからなんですよね。
佐藤−
そうだったんですね。差し支えなければ、西尾さんの今までキャリア聞いてみたいですね。
西尾−
高校卒業後、群馬の草津温泉で1年半働いた後、大学に進学しました。大学時代は研究活動を熱心にやりながらいくつかの企画や事業のローンチに関わりました。そこで運営や組織拡大や調整を学んだ感じですね。
卒業後、新卒で人材会社の経営企画を経て、クラッチに参画しました。
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佐藤−
1回社会人経験を積んだ後に、大学に入学されたんですね。
その社会人経験を挟んだことで、高校からストレートで大学に行く学生と西尾さんを比べた時に、何か意識の違いなど感じる部分はありましたか?
西尾−
それはあったと思いますね。大学在学中も常に「働く」ということが頭から離れず、何をするにも学生生活のその先をイメージして過ごせていました。また、時間の使い方への意識が常にありました。ただ、最初の社会人時代は働くのが楽しくなく、周りも楽しそうに働いている人たちがいなかったんです。
「多くの人が働くことが楽しくないと思うのはなぜだろう。自分はどうしたらそうならないで済むのだろう。周りの人がそうならないようになるにはどうしたら良いのだろう」という気持ちが強かったんですよね。
そんな時期があったからこそ、自分をあらためて見つめ直して、しっかりと「仕事」というものに向き合うことができました。
佐藤-
しかし、新卒で入社された人材会社から、早々にクラッチさんに転職されたそうですね。その辺はどのような理由があったんですか?
西尾-
お恥ずかしい話ですが、平たい表現をすると「配属ミス」ですね。僕はもともと多くの人に関わって、対話を積み重ねる仕事がしたかったんです。しかし、見た目の雰囲気からなのか、個人での仕事や、企画、管理がしたいと思われるみたいで。結果として、望まない仕事を嫌々こなす、自分が一番なりたくない「働くことが楽しくない社会人」になってしまって。それなら新しいところで早くリスタートを切った方が良いなと思いまして。
佐藤−
仕事が面白くないという経験、また、それを繰り返したくないという思いを強く持って今までキャリアを過ごされていたということは、人事として信頼できるなと思いますね。西尾さんは、求職者に同じ思いをさせたくないと真剣に考えてくれると思うので、ミスマッチが起こりにくく、求職者に寄り添ったアドバイスをもらえそうですね。
西尾−
採用自体も自分から手を上げて、やりたいと思って任せてもらえているので、そこはぶらさずにいたいですね。正直、優秀な人材であっても、「その人がイキイキと働いてもらえる環境はどこか」を考えて、「入社して欲しいけど、クラッチじゃないな」と思ったら他社を勧めます(笑)
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◆のめり込んで働くから、振り返ったときに楽しいって気づく
西尾−
佐藤さんは今の仕事楽しいですか?
佐藤−
今まであんまり楽しいか楽しくないかって考えたことなかったんですよ。
とりあえず、脇目も振らず熱中するんで(笑)
でも、考えてみると熱中している時点で、間違いなく楽しんでるんですよね。
そんな仕事に熱中できていいねと昔からよく言われます。
西尾−
(笑)すばらしいです。佐藤さんは今までどういうお仕事されてたんですか?
佐藤−
私は、まず大学をフェードアウトして(笑)、全国展開している大手飲食チェーンで勤務していました。そこで約10年勤務し、エリア責任者、新卒・中途社員の育成、研修などを行うトレーニングマネージャーとして、社員、アルバイトの育成に従事しました。もともとHR領域に興味関心が高かったこともあり、昨年の9月にProFutureに入社して、営業からマーケ、今は人事までいろいろやらせて頂きました。
西尾−
大体半年ごとに部門跨いで、活躍されてますね!忙しいんじゃないですか?
佐藤−
でもこれ、全て自分で手をあげてやらせてもらっているんですよ。
何か気になりだすと黙っていられないですよね、良くも悪くも(笑)
私:「やらせて下さい!」
上司:「じゃあ佐藤さんやってみよっか!」
簡単に言うとそんな流れです。実際そんな軽くはないですが(笑)
西尾−
手を上げてやらせてもらえるって、モチベーションに繋がりますよね。
もちろん本人に責任も伴いますが、会社から信頼されているという証でもありますし、やりたい人に積極的に任せるというカルチャーはそうそう真似できるものではないと思います。
私も自分から手を上げて採用であったり、Wantedlyの運用であったりをやらせてもらっているので、今の会社には感謝しております。
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◆試合が嫌いなプロ選手っていないでしょ
佐藤−
その仕事をやりたい人、好きな人にやってもらうのが会社にとっても、本人にとってもベストですよね。やりたいことをやっている時は、それにのめり込むので、自ら学ぶし、パフォーマンスも間違いなく上がりますからね。西尾さんは、どうして今の仕事が楽しいんですか?
西尾-
元々、働き始めた時からずっと「多くの人が働くことが楽しければいいのに」ってずっと思っていて、自分が一人一人でもそこを変えていける人間になりたいっていうのがあって。親が好きに働いている家庭だったのもありますし、後は、青臭いこと言うと、友達や後輩のことを考えると、どうしてもそこが無視できないというか。やっぱり、好きだったり、尊敬していたり、そういう人たちがいてそこに憧れたりしながら自分の力をどうつけていこうかって考えてきたので、そういう人たちが辛そうにしているのって凄いしんどいんですよね。「あいつこんな良いとこあって出来ることあるのになんで?」って。だからこそ、そこに徹底的に向き合っていける仕事は楽しいですし、もっと高いパフォーマンス上げられるようにって常に考えますね。佐藤さんはどうですか?
佐藤-
私は大手の飲食チェーンでマネジメントも含め10年程働いていたのですが、多くの学生と関わってきました。本当にもう何百、何千かな。その中で、多くの子たちが就活が近づくと暗くなっていって、卒業間際にも「社会人になりたくない」「働きたくない」みたいなことを言っていて、その原因って何なんだろうという興味からHR領域に関心が高まりましたし、今度は自分が何か直接的にアプローチを取りたいって思ったら、人事で。そういう意味で、熱中できる場所だから楽しいですし、楽しく無かったら辞めますね。学生や転職者から見て、会社のフロントに立つ人事担当者が楽しそうじゃない会社って、誰も入りたくないと思うので(笑)
西尾−
そうですね。我々は転職したことでいい変化がもたらされましたが、ただやっぱり仕事を変えるというのは、まだハードルが高いと思っている人は多いですよね。「とりあえず3年!」みたいな。
佐藤−
ありますね。今の時代は事業のサイクルがかなり早いので、近い将来「とりあえず3ヶ月!」の時代になるかもしれませんね。
でもとりあえず3年って、個人にとっても会社にとっても非常にもったいない気がしますよね。「えっ、とりあえずなの?」っていう。
西尾−
プロサッカー選手やプロ野球選手が、「試合するの嫌だけどとりあえず3年続けなきゃ!」とか聞かないですもんね?(笑)
佐藤−
そうですね。スポーツ選手はプロだからとかではなく、我々も自分の仕事に対してプロフェッショナルであるべきなので、属している会社がどこかというよりも、自分のアウトプットには責任持ちたいですね。
西尾-
プロと呼ばれる人でやっている内容が嫌いな人っていないと思うんですよ。「お金をもらうから責任が生じてそこにむけて成果を出す」のではなく「自分で進んでパフォーマンスを発揮する中で価値が生まれてお金がもらえる」だと思ってて、そこが仕事の「楽しい・楽しくない」「やりたい・やりたくない」に繋がるポイントかなと。
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◆「Collective Genius」と「Dream Work Place」
佐藤-
自分たちは会社の顔になるので、尚更そういったマインドの面やスタンスの面で筋を通さないといけないなと思いますね。そんな中で西尾さんの目指しているものって何ですか。
西尾−
ちょっとややこしい話しますけど(笑)
ハーバード大学の教授にリンダ・ヒルさんという方がいるのですが、その方が提唱する「Collective Genius」を日本で実現させることです。
要は、一人の圧倒的な天才に頼るのではなく、組織やチームでそれぞれの持つ「天才性」を引き出して組み合わせることで新しいアイデアを生み出す組織を作ることです。
どうすればそのような組織づくりができるか、大きなテーマではありますが、取り組んでいきたいと思います。
あと、仕事ってすごい面白いんだぞ!会社ってすごい魅力的な場所なんだぞ!と一人でも多くの人に伝えたいですね。やっぱり今、仕事が面白くないとか、社会に出ることに希望が持てないとか多いと思いますし、勿論、個々人がしっかりと自分が求めるものを理解することも大事ですけど、企業側も希望が持てる場づくりや発信をド真剣にやることが大切だなと思うので。
西尾−
佐藤さんは目指しているもの何かありますか?
佐藤−
私の目標は一言で言うと「Dream Work Place」を作ることですね。
働く人たちにとって、理想的な組織とはどんな組織だろうと色々考えていた時に出会ったのが、組織行動学の専門家2名が上梓された同タイトルの本です。
Dreamには
D…Difference(多様性)
R…Radical honesty(徹底的に正直である)
E…ExtraValue(特別な付加価値)
A…Authenticity(本物であること)
M…Meaning(仕事を意義のあるものに)
という意味が込められています。
人生100年時代が現実となる中で、色々なところで多様な働き方の提言がされています。
働く環境が労働者、会社に与える影響は益々大きくなると思っています。
そういった中で、それぞれの個性を尊重して、皆が活躍できる場所を一つでも多く作りたいという思いがあります。
自社だけでなく、周りにいい影響をもたらす存在になりたいですね。
西尾-
HR領域でプロを目指そうと思ったら、そういうところは近くなりますね(笑)
勿論お互い今の時点でってことですし、着地点なんて今後もまた変わると思いますけど、少なからず、最初のうちはこんな想いを持っていたっていうのは大事にしたいですね。
佐藤−
そういえば、私と西尾さんの出会いもWantedlyさんのmeet upでしたよね。
Wantedlyさんは「シゴトでココロオドルひとをふやす」というビジョンを掲げてて、どこかそれに引き寄せられた感はありますね(笑)
なんかWantedlyさんの宣伝みたいになっちゃいましたので、今回はこの辺で。
西尾−
今回はパーソナルなところが中心でしたが、次回は、クラッチとProFutureさん、それぞれの会社の人事目線でいろいろお話させて頂ければと思います。本日はありがとうございました。
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一人一人が生き生きと働ける社会をつくる。
社会に出るとき多くの人がそれを望んで社会に出ていくのに、なぜかその実現は難しく。
そこには、人事採用に関わる人間の覚悟が問われていると思いますし、自社に関わることで本当にお互いが幸福になれることを模索することが何より重要です。
今回、僕の「人事の想いを対話にすることで、採用を可視化する」という考えに二つ返事で「面白いですね、すぐにやってみましょう」と実現に運んでくださった佐藤さんは、楽しそうに、真剣に仕事に取り組まれている方でした。
この対談はあくまでも初めの一歩ですが、今後さらなる広がりを作っていき、人事から変革・創造を起こしていきます。
⇒佐藤さんが編集したProFutureバージョンはこちら