こんにちは。ザーズラック代表の福井(@fk_mb)です。
一部の方には既にお伝えしている通り、2021年2月までに、これまで代表を務めてきた合同会社ザーズラックを退社する意向を固めました。会社法・定款に基づく正式な退社予告・意思決定はまだ行っていませんが、「'21年2月ザーズラック退社」を前提として、既に21年卒として就職活動を行っています。
就職活動をはじめてから、就活の場でもプライベートでもザーズラックのことについて聞かれる機会が増えてきたので、自分の中で整理したいこと、Wantedlyを見ていただいているお知り合いの方、企業人事の方に伝えたいことをまとめたいと思い、筆をとりました。
なぜザーズラックを立ち上げたのか
就活でまず間違いなく聞かれるのは、創業の「動機」です。
「小さな奇跡を生み出し続ける」あるいは「奇跡を創出する感動を届ける」。そんな「理念」や「ビジョン」とは異なる、創業当時の私を突き動かした本当の考えを思い出すのにはかなりの時間がかかりました。
結論から申し上げると、「能力も知識も何もない自分が、大学四年間の挑戦を通じて、何を、どこまでできるようになれるのか知りたい」が創業の動機でした。
中学時代にインターネットでお金を稼ぐことに憧れを抱いたことから始まり、高校時代にNexVoiceの創業に携わるなど、つねに起業を意識していた自分でも、実際の企画、プログラミング、プロダクト開発、書類仕事……経営にまつわることは何一つ知りませんでした。株式会社ではなく合同会社として起業したのも、スタートアップやVCといった概念すら知らず、出資を募るという発想自体に行き着かなかったことが理由の一つです。
しかし、そこから一歩踏み出せば、とてつもない困難と同時に、その先の展望が見えてくる……そういった期待があったのだと思います。
そんな2017年の春から今月17日で3年が経ちますが、振り返れば、大学生活における他の何よりも間違いなく自分を成長させてくれたのが自社の事業だったと思います。事業計画書を何本も書き、計画を表明してはボツにし、苦労してリリースしてもサービスは伸びず、挙げ句の果てにはサービス自体が動かなくなり、再開を断念。何度もピボットを繰り返し、その度にどんどんスケールの小さい計画になっていく自分に情けない気持ちでいっぱいでした。
そんな中で仕事を与えてくださり、会社を支えてくださった先輩方はじめ多くのお客様のおかげで、厳しい中でも事業を続けてくることができました。これからもお世話になる機会もあると思いますが、この場にて改めて御礼申し上げます。
ザーズラックで何をしたか
某ローカルメディア立ち上げ準備(ウェブサイト制作)
創業直後の2017年前半は、主に某ローカルWebメディアの立ち上げを手伝わせていただいていました。
創業まもない時期にサイトの構築、運用、保守周りを任せていただいたのですが、当時の納品物は今見れば目も当てられないような出来ばえ。結果的にはWebメディア立ち上げの計画そのものが立ち消えになってしまい、陽の目を見ることはありませんでした。創業初期の大反省の一つです。
映像教育プラットフォーム「SMAST」(企画・発表・事前登録受付)
創業と前後して、はじめて起案したサービス企画が「SMAST」でした。
中小の塾講師や知識人、学生など、「伝えたい」ことがある人ならだれでも映像教育スマホアプリを自分でリリースできるサービスという触れ込みで企画し、2017年中に企画・技術面を固めていきました。
それと前後し、東和銀行・群馬大学主催の「創業スクール」を受講。それをもとに計画をブラッシュアップし、最終講義では受講生を代表し本事業案のプレゼンもさせていただきました。スクールの受講生は中年以上の自営業者の方が目立ちましたが、その中にいた若い社会人の方とは長く親交が続いており、とても良い機会だったと思います。
スクール終了後の2018年2月に事前登録の受付を開始しましたが、本リリースに行き着くことはありませんでした。その後、「教育業界は大学生起業あるある」などといった手厳しいお声をいただき、見込み顧客層についてのリサーチが不足している点に気づくなどした結果、本事業はいったん凍結するという決定を下すに至りました。
匿名コミュニケーションサービス「irai.me」(企画・開発・運営→休止)
サービスの停止を決めた時に書いたnoteに全てが書かれていますので、こちらをお読みいただけたら幸いです。
ひとつだけ後悔があるとすれば、もし素早く不具合を修正し、たとえ伸びなくても継続して運営し続けていたならば、いつかヒットのチャンスが来たのではないかという淡い期待です。今振り返ってみてもクオリティは低いのでグロースの可能性はかなり低いですが、幸いなことに初期のバックアップデータが残っているので、もし時機がくれば再開に挑戦することもやぶさかではないとも考えています。
ソーシャルキャスティングプラットフォーム「Loom.re」(企画・発表)
去年7月に構想を「発表」したサービスが「Loom.re」でした。音楽バンドや漫才ユニットを組んで地域で頑張る友人や先輩を身近で見て、彼らを起業家として後押しできることはないかと思い、立ち上げたプロジェクトです。
同年秋にはLoom.reの企画書をひっさげて、群馬県におけるイノベーションの機運を高めることを目的としたビジネスコンテスト「群馬イノベーションアワード2019」に参加。一次審査を通過して二次のプレゼン審査にノミネートされたものの、審査員を務める県内の名だたる財界人を前に緊張しきり、あえなく落選しました。
※Wantedlyの「人事」ユーザーの方はマイページよりプレゼン資料の完全版をご覧いただけます
後述する理由により十分な体制が整わないまま、本格的に動き出す前に就活シーズン本番が到来。いったんLoom.reプロジェクトは止めて就活に注力していますが、就活終了後は卒業制作のような気持ちで完成まで取り組んでみたいと考えています。
グラフィックデザイン制作・Webコンサルティング
後述するフリーペーパー編集団体「SIJ」の編集長を昨年11月に引退したのに前後して、趣味としてデザインの制作に熱中。折しも群馬県内での親交が広がり、お仕事としてもデザインのご依頼をいただくようになっています。
お仕事をいただく度に少しずつデザインのスキルも身につき、Webバナーや名刺、チラシなどのデザインを制作させていただきました。
創業当初から細々と行なっていたウェブサイト制作・運用にもこの頃から注力し始めました。
今年2月には前橋で市長選挙が行われ、無所属で立候補した店橋世津子氏のネット選挙全般のコンサルティングを弊社で担当。インフォグラフィックを多用し、わかりやすく争点や政策を訴える選挙サイトが好評を呼びました。
転機
サークル活動とインターン
なぜ今の会社を辞めて、新卒で就活することにしたのかについては、二つほど理由があります。
ひとつは、自社ではこれ以上大きな仕事に取り組めないと思い、一度きちんと就職をして、自分が本当に「すごい」と思えるような大きなビジネスに取り組んでいきたいと考えたこと。
そしてもうひとつは、大きなビジネスに挑戦するために、チームで仕事に取り組める環境に行きたいと考えたことです。
ひとつめの理由については、自社の事業が前述した通り小さなスケールに留まっているため、就職という選択肢の方が大きな成果を得られると考えたことが根底にあります。
もともと「すごい」あるいは「すごそう」という感情が行動の原動力となることが多く、高校時代の弓道班(クラブ)入班やザーズラックの起業から、若者団体での政策提言、果てはお金で買える肩書きの購入やゴールドカードの取得、二文字ドメインの取得まで、一貫して「すごそう」の追求に突き動かされてきました。
これまでの経験は、物事の浅い部分しか見えないままで進んでしまった、あくまで「すごそう」なだけで実際にはすごくないものが少なからずありました。それゆえに満足できなかった部分も多く、これまでの考え方を強く反省しています。
社会人として企業の一員となるからには、本当に「すごい」財・サービスに携わり、本質を見る目を養い、将来的には自分自身も「すごい」モノの創出に関わっていきたいと考えています。
ふたつ目の理由を思い立ったのには、これから記す3つの経験が契機となっています。
これまで学生起業のかたわら、大学のサークル活動ではフリーペーパー「SIJ」の編集委員として3年間活動してきました。
SIJは、群馬県と社会情報学にリンクするテーマであれば、学生メンバーが自由に企画でき、取材・編集・デザイン・発行までを自分たちで行う群馬大学社会情報学部の情報誌です。
3年次には編集長を拝命し、約10名のチームをまとめる立場となりました。
しかしこのご時世、アルバイトや他のサークルが忙しいというメンバーや、病気を抱え十分に活動できないメンバーもいたため、会議で全員が集まれる機会が減り、進捗の遅れが次第に深刻さを増していきました。
そんな中で自分も就活準備期間に突入。本来SIJの集中作業期でもある夏休みも、インターンシップなどに時間を取られる事態に直面しました。
SIJの進捗が危機的な中で参加した夏季インターンシップ。
デジタル広告・マーケティング企業のグループワーク型インターンに3社、シンクタンクの調査研究型インターンに1社参加させていただきました。
いずれのグループ型インターンでも、今まで経験したことのないような難解な課題に、今までにないほど深くて長い議論を重ね、結果を出すことができました。
企画提案の際には、積極的に論点整理を心がけつつ、議論の内容を資料に落とし込む役割につとめました。そうした成果物のクオリティの高さは、やはり自分一人で取り組むものとは雲泥の差でした。
インターンを終えて大学に戻った後は、サークル活動でも会議の際の流れに気を配り、メンバー一人一人に向き合って状況を把握するよう心がけました。その結果、遅れていたスケジュールも取り戻すことができ、期限通りに冊子を完成させることができました。
皆の頑張りによりクオリティも高いものになっており、長年の読者の方や広告代理店の方などからもお褒めいただけたことは無上の喜びでした。
▼「SIJ」第12号
Loom.re「仲間集め」の挫折
サークル活動とちょうど並行して進めていた計画が「Loom.re」でした。
Loom.reがこれまでの当社のサービス企画と違った点は、立ち上げにあたり「仲間集め」に挑戦したことです。企画時点から技術的に自分一人では実装の難しそうな機能が多かったことも理由の一つですが、インターンやサークルの経験から仲間の大事さと尊さを実感し、自ら旗を掲げて新規事業に挑んでみたいと思いが強くなったという理由が最も大きかったと思います。
そのために、CAMPFIRE社の運営する仲間集めプラットフォーム「TOMOSHIBI」にプロジェクトを掲載し、デザイナー、エンジニア、ビジネス(共同創業者)、アンバサダー、そして実際にご利用いただくタレントとイベンターの方を募集しました。
幸いなことに何人かの方にお声がけいただき、タレント・イベンター枠に2名の参画をいただきました。しかし、肝心のエンジニアについては、何人かにお声がけいただいたにも関わらず、こちらから参画をお願いすることができませんでした。優秀な方の能力、ひいては人生の少なからぬ一部をお借りする責任に重圧を感じ、技術もカネもない自分の事業に対して参画いただきたいというお願いをする勇気が、どうしても出なかったのです。
Loom.reを進めることに行き詰まりを感じながら就活シーズンも本格的に到来し、Loom.reプロジェクトは一旦断念することを決断しました。同時に、今の自分が一からチーム(会社)を立ち上げて背負っていくには、自信も能力も経験も人格も、全ての面であまりにも不足が大きすぎることをひしひしと感じさせられました。
Loom.re企画案は自分にとって、身近な人たちの抱える課題や、サークル活動や地方議員との関わりの中で感じた地方都市の課題に向き合って編み出した、これまでの大学3年間の集大成です。それだけに、サービスの実現に諦めがつかず、就職活動終了後の大学生活最後の1年間でもう一度挑戦し、結果を見届けてから就職をするつもりです。
そして企業に入社した暁には、チームの一員としてやるべき役割をこなせるよう全力を尽くし、チーム、会社、ステークホルダーへの貢献を果たし、大きな仕事を一丸となって回していきたいと考えています。
社会人としてやりたいこと
現在の就職活動の軸は、「社会変革」と「価値創造」の二つの単語に集約されています。
一つ目の「社会変革」とは、自分の社会人生活の(現時点で思う)最終の目的として、「社会課題の解決、ひいては社会変革を実現したい」ということを表しています。
社会を根本的に変革することは、また新たな社会課題を産むことであると同時に、未来社会への展望をひらくために不可欠かつ重要なことであり、そのような社会的インパクトを起こすことが自分にとって最も「すごい」と思える事業だと考え、就活の軸としています。
二つ目の「価値創造」とは、「社会変革」の手段として、「『人・情報・資産、それぞれの間につながりを作ることが価値を生む』という自身の信条のもと、それぞれの「つながり」の機会を作り、変えていくことを仕事としたい」ということを表しています。
鉱脈に埋まるダイヤモンドも誰の目にも触れなければ無価値なように、まだ出会えていない人や情報、資産をつなぐことが価値の源泉となると考えており、その一助になりたいという思いが起業やサークル活動を通じて大きくなりました。
この二軸を踏まえ、現在はIT業界のWebサービス企業、Webマーケティング企業を中心に、金融、人材、不動産の企業を志望しています。とくに「社会変革」軸の実現のために、金融でいえば組合組織や労働金庫、ネット銀行など、社会性や革新性が高い企業の志望度が強くなっています。
自身の軸と少しでもマッチしている(おそらくそれの上をいく)ビジョンや価値観を掲げる企業様のもとで勉強を重ね、1日でも早く価値を創出し、会社様と社会に貢献できる人材になれるよう努めたいと思っています。
強み・弱み
ありきたりにはなりますが、自身の強みは積極性と徹底性だと考えています。
学生時代には、上述したように様々な方面で活動しており、他の就活生には負けない挑戦を続けてきたつもりです(本エントリの前半は会社経営のことが中心ですが、Wantedlyに記載の通り大学やアドボカシー団体でも多くの活動をしてきました)。どれにおいても気を抜いたわけではなく、その時々の自分の全力をぶつけてきました。大学時代に多くの分野で培った徹底性を社会でも活かしていきたいと考えています。
弱みとしては、他人の性格や内面など本質を見ようとする姿勢に欠け、短絡的な思考で手っ取り早く物事を解決しようとする点だと考えています。
この弱みは学生時代の取り組みに如実に示され、肩書きを金で買おうとした高校時代の態度や、計画と勉強の不足ゆえに十分な成果が出せなかった自社事業などからも伺えるかと思います。サークル活動などのチームプレイでも、メンバー個々人の状況や成果についてはコミュニケーションをとり細かく把握できていた反面、個人としてメンバーのことを理解し合うことはできていませんでした。
もっとも、前述の通りこの点は自身の深く反省しているところであり、今後は勉強に勉強を重ね、本質思考を身につけていくことを目指します。そのためにも、卒業後は東京のような大都市で働くことで多くの人や情報に触れ、多様な価値観を理解できるようになりたいと考えています。
まとめ
ここまでお読みいただいた方がいらっしゃいましたら幸いです。
自分自身の失敗談やわがままを曝け出し、情けない気持ちでいっぱいです。
就職活動としては強みをアピールしなければいけないとは思いながらも、もしここまでご理解いただける人事の方がいらっしゃいましたら悔いはありません。
強みは選考において存分に伝えさせていただければと思います。
もし関心を持っていただけましたら、Wantedlyよりぜひお声がけいただけますと幸いです。