障害福祉の「当たり前」をアップデートする。ニュージーランドに学ぶ、意思決定支援の現在地。
こんにちは、志村駿介です。
先日、ニュージーランドで障がい者支援の先頭を走る「ニュージーランドの障がい者庁Whaikaha(ワイカハ)」に所属するMatthew Frostさん(以下、Mattさん)と対談する貴重な機会をいただきました!
2年前にニュージーランドへ僕が訪問したときにご縁をいただき、とてもリスペクトしている人の一人です。
Mattさんには、スペシャルラーニングのコンテンツにも出演をいただいており、ニュージーランドの取り組みの詳細について解説いただいています。
良ければスペシャルラーニングを契約してご視聴ください🙏
先日交わされた対話は、日本の障がい福祉の「これから」を考える上で、あまりに示唆に富んだものでした。
今回はそのエッセンスを皆さんにお裾分けしたいと思います。
「支援」から「社会の変容」へ
ワイカハの活動は、この数年で大きな進化を遂げていました。
以前は今は「社会や人々の態度の変容」に軸足を置いています。
特に印象的だったのは、「政府の全省庁を支援する立場になった」という点です。特定の福祉サービスに留まらず、国全体のサービスレベルを底上げしていく。このダイナミックなシフトは、僕たちが目指すべき一つの到達点だと感じました。
「コミュニケーション・サポーター」という専門性
今回の対談の核心は、知的障がいや学習障がいのある方の社会参加を支える「コミュニケーション・サポーター」という仕組みにありました。
これは、僕がニュージーランドに行ったときに気がついた“日本にはないポジション”であり、とても気になっていたことでした。
「コミュニケーション・サポーター」は、単なる付き添いではありません。
- 情報を「Easy Read(わかりやすい翻訳)」に変換し
- 本人が本質を理解した上で、自らの意思を発信できるよう隣でアシストする
彼らはプロフェッショナルとして、政府の教育資格の枠組みの中で認定され、トレーニングを受け、適切な報酬を得ています。
「合理的配慮」という言葉を、どう実務に落とし込むか。
ニュージーランドでは、会議の主催者がこのコミュニケーションサポーターの費用を予算に組み込むことが「当たり前」のルールとして機能しています。
偉大な先駆者、ロバート・マーティンの遺言
対話の中で、一昨年に逝去されたロバート・マーティン氏の名前が挙がりました。彼は国連障害者権利委員会の委員も務めた、知的障がい当事者の偉大なリーダーです。
彼が残したのは、特定のリーダーの力に頼るのではなく、「次世代が活躍できる仕組み」を作ることでした。
コミュニケーションサポーター制度も、まさにそのためのインフラ。
本人が「主役」として生きるための必要な役割です。
日本の「第一歩」をどこから踏み出すか
日本にはまだ、この「コミュニケーション・サポーター」という公的な職種も資格もありません。
「コストがかかるから」と、当事者の参加を敬遠するバイアスが根強く残っているのも事実です。
Mattさんに「日本がまずやるべきことは?」と尋ねると、答えは明確でした。
「まず当事者団体に、どんな情報が必要かを聞くこと。そして、全てを一度に変えようとせず、影響力のある省庁や企業を巻き込んで、小さな成功事例を作ること」
僕たちLean on Meも、昨年5月から専門家の皆さんと協力して、知的障がいコミュニケーションサポーターの認定資格を発行しています。
既にたくさんの方に毎月受講をいただいております。
オンラインで個人でも受講が可能なので、ぜひご受講ください。
日本の豊かな文化(ありがとう、ごめんね、いただきますといった精神)と、障がいのある方の共生社会をどう繋いでいくか。
今回の対話を経て、その道筋がより鮮明に見えてきました。
障がいがあることを理由に、何かが決まる場所から疎外されない。
そんな「当たり前」の世界を、一歩ずつ作っていきましょう。
余談ですが
Mattさんに「次に日本に来るときに、どこか行きたいところはありますか?」と質問したときに、「次回日本に来る時は猫カフェに行きたい」と言われたので、お連れしてきました😂(僕も人生初の猫カフェでした笑)
お友達に猫にエサをあげる容器も買われていて、とても上機嫌でした😊
猫カフェでキャットフードをあげるMattさん
最後に
この変化の中心には、一緒に歩んでくれる仲間の存在が欠かせません。
ニュージーランドからの示唆を受け、日本の障がい福祉の未来を切り拓いていくためには、志を同じくする「人」の力が必要です。
僕たちLean on Meは、この社会変容の渦中で、まさに求められている仕事をしています。
障がいのある方やその家族の声を聞き、企業や自治体と共に現場を変えていく。知的障がいコミュニケーションサポーターの資格制度を整え、新しい専門性を社会に根付かせていく。その過程で、心がはずむような仕事ができる環境を作りたいと考えています。
もし、この記事を読んで「自分たちもこの流れの一部になりたい」「この社会変容に携わりたい」と感じていただけたら、ぜひ採用情報をご確認ください。ニュージーランドから学んだ「当たり前」の未来は、一人ひとりの決断と行動によって、確実に近づいていきます。
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