AI時代だからこそ、UXデザインを深く理解する必要がある!
と思い、日本でおそらく最も網羅的にUXデザインのルールをまとめている「Sociomedia ヒューマンインターフェース ガイドライン」を読み進めて、考えたことを記録して、noteマガジンにまとめている。
今日は23個目のルール。まずは引用から。
23. オブジェクトベースにする
要求からオブジェクトを抽出してUIに反映する。要求をそのまま手続的になぞっただけの機能提示では、操作体系としてのまとまりに欠け、効率が悪く分かりにくいシステムになる。要求からその原理となるオブジェクト(関心の対象、客体、目当て)を抽出し、ユーザーがそれらオブジェクトに直接働きかけながら目的を達成できるようにする。
オブジェクト指向ユーザーインターフェース(OOUI)とも呼ばれる設計思想で、GUI をデザインする基本的な手法。
— https://www.sociomedia.co.jp/9240
使いやすいUIをデザインするために、不可欠な考え方が、この「オブジェクト指向ユーザーインターフェース(OOUI)」。
「Sociomedia ヒューマンインターフェース ガイドライン」では、4つに分けて説明されている。私が思うに、いきなり「要求からオブジェクトを抽出してUIに反映する…」について理解するより、まず、UXデザインのルール #26 「名詞→動詞 の操作順序」を理解するのが良いと思う。
そして、UXデザインのルール #24 「ビューはオブジェクトを表象する」を理解する。
次に、UXデザインのルール #25 「オブジェクトは自身の状態を体現する」を理解する。
最後に、以下を読むとわかりやすいと思う。
「要求からオブジェクトを抽出してUIに反映する」、というプロセスを具体的に説明しているのが、ソシオメディアが2020年に技術評論社から出版した『オブジェクト指向UIデザイン』という本。(リンク先で、8ページほど、試し読みできます)。
この本の内容に沿って、このプロセスを大雑把にまとめたのが、以下の7つのステップ。詳細は、本を読んでください。とても良い本です。
(1) アプリで実行できるタスクを書き出す
たとえば、学校の生徒の情報にアクセスするためのアプリなら、「ある生徒が何組かを確認する」など。
(2) タスクから、ユーザーの関心の対象となる「名詞」を抜き出す
上の例「ある生徒が何組かを確認する」ならば、「生徒」「組」。
ここで、まちがっても「確認」を名詞として抜き出してはいけない。日本語はここが難しい。「名詞+する」で動詞になっちゃうので。
英語ができる人は、英語でタスクを書き出した方が良いかもしれない。
(3) 抜き出した名詞同士の関係性を線でつないでダイアグラムにする
「生徒」ー「組」はつながる。また、「生徒」は「部」にもつながるし、「組」は「担任教師」にもつながる。
『オブジェクト指向UIデザイン』図3-3-7 (70ページ)
(4) ダイアグラムから主要なオブジェクトを抜き出す
ダイアグラムの中で、線がたくさん集まっている名詞が、アプリの主要な「オブジェクト」。
上の例では、「生徒」「組」「教員」「部」「イベント」。それ以外の「成績」や「電話番号」などは一つの線にしか繋がっていないので、主要ではない。
(5) アプリのデータベースのデザイン
主要オブジェクトの関係性(「1対1」なのか、「1対多数」なのか)を定義する。
例えば、「組」と「生徒」との関係性は「1対多数」(一つの組に複数の生徒がいる)。「教員」と「組」は「1対1」(一つの組に1人の担任教員がいる。学校によっては、「1対多数」かもしれない)。
(6) 各オブジェクトの属性 (property) を書き出す
生徒なら、名前と成績。ここでは、アプリで実行するタスクに関係あるものだけに絞る。生徒の電話番号も、アプリの目的次第では必要かもしれない。
(7) 各オブジェクトに対する「動詞」 (method) を書き出す
新規作成する、削除する、印刷する、など。
これにより、「名詞→動詞の操作順序」が実現できる。
ここまで決まってようやく、ルール#24「ビューはオブジェクトを表象する」で紹介した、オブジェクトの一覧ビュー、詳細ビューのUIデザインを始められる。
哲学と「オブジェクト指向ユーザーインターフェース」
なお、この「オブジェクト指向ユーザーインターフェース(OOUI)」は、哲学者にとっても興味深い考え方らしい。ソシオメディアの代表、上野学さんが、哲学者にインタビューされている。
https://ekrits.jp/2022/12/7493/
OOUIは、人間の本質にとても深く関わる考え方のようだ。
(私が書いたnote記事を転載しています。)