1
/
5

興味と好きな事、そして現実

 私(櫻田大貴)は中学2年生になるまで、本気で好きになれることがありませんでした。ただ、目の前の学業に向き合って、なんとなく過ごしている日々でした。唯一、興味があったとしたら、ゲームをやることくらいでした。

 中学校に入ってから、運動不足の解消や友人関係を広げることを目的に、テニス部に入りました。しかしながら、なんとなく目の前のことをこなす程度で、特別な変化はありません。

 そんな私でしたが、中学2年生になってから好きになれるものが出来ました。それはアニメ、音楽です。友人に勧められたのがきっかけです。アニメに関しては、絵はもちろんですが、形作られたストーリーを最後までみることがとても好きでした。音楽に関しては、友人に誘われて、初めてカラオケに行ったことがきっかけです。カラオケに行って、自身が好きな歌を思いっきり歌うことがとても楽しく感じ、歌うことが好きになりました。

 高校入学後もアニメ、音楽に対する熱は冷めることなく、むしろ熱は増していくばかりでした。そんな中、将来のために選択しなければならない時期となりました。大学に進学する意思は決まっていましたが、それ以外は明確な将来像というものが、自身の中にありませんでした。そんな中、私が末っ子ということもあり、両親に「大学に入って留年することになったら、そのまま就職の方向だからね」という条件が提示されました。今まで甘えさせてもらった分、できる限り両親に迷惑をかけたくない思いが私の中にありました。一時期、アニメに興味があったことから、声優になろうかと思っていたこともありました。しかし、『好きな事を仕事にすることは難しい』ということ、両親に心配をかけたくないという気持ちから、安定した職業に就くことを選択し、そこから大学を探しました。そして1つの興味としてあった医療職を目指す事を決断して、無事に大学に進学しました。また、進学する大学を決める際、就職後に1人暮らしすることを考え、慣れておくために離れた場所に行き、1人暮らしを始めることにしました。

 大学進学後も、アニメや音楽に対する熱は続き、空いている時間はアニメを見たり、1人でもカラオケに行って何時間も歌っていました。新たな興味が生まれたのは、卒業研究について考え始める大学3年生のころでした。とある講義の中で、AR・VRについてのものがありました。もともと、2Dであるアニメが好きであったこともあり、それは3Dにして可視化されていることに衝撃を覚え、とても興味を持ちました。3Dプリンターのように、ものづくりに利用されていることも見学を通じて知り、様々なことに使用されている技術だと私は解釈しました。

 必死に勉強しているなか、なかなか医療というものを『興味』から『好き』へと変えることが出来ませんでした。そんな中、国家試験に就職活動と忙しくなっていく時期、もともとYouTubeでゲーム配信などの動画をみることが多かった私は、あるライブ配信をみて大きな衝撃を受けました。私が好きなアニメのキャラのような姿の方がライブ配信を行っていました。ここでバーチャルライバー・バーチャルYouTuberに出会い、即座に好きになりました。調べていくうちに、1度興味を持ったAR・VRの技術が利用されていることも知りました。私の好きなゲームや音楽にも関わっており、多くのバーチャルライバー・バーチャルYouTuberの方たちを見るようになりました。

 就職の時期を迎え、医療職として働き始めました。仕事を覚えることに必死でした。しかし、なかなか進歩せずに失敗を繰り返していました。そんな中、沈んだ心を癒してくれたのは、音楽、そしてバーチャルライバー・バーチャルYouTuberの方たちの動画や配信でした。どの方たちも楽しそうにしており、見る度に私も楽しくなり、沈んだ心を元気にし、癒しをもらいました。私もこういった形で、自身【配信者側】も相手【視聴者側】も楽しく、元気にしてくれるような仕事をしたいと感じ始めました。

 『好きな事を仕事にするのは難しい』という部分は自身の中にありましたが、それでも挑戦したいという思いが強くなりました。医療職を辞め、転職することを決断しました。退職したの休息をとりながらも、バーチャルライバー・バーチャルYouTuberに自身になろうと思い、複数のオーディションに応募しましたが、すべて通りませんでした。しかし、この事業に関わりたいという意思は折れることなく、サポートすることで配信者側も視聴者側も楽しめるようなことが出来たらと思い、この方向で新たな職を探そうと決断しました。『好きな事を仕事にするのは難しい』、『バーチャルライバー・バーチャルYouTuberをサポートするためのスキルが乏しい』という壁【現実】にぶつかることになりました。それでも挑戦したいという思いから、現在は転職活動を行っています。