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マンションの水回り~東海設備/チラシ/ニュース

「マンションの水回り、直結方式で新鮮な水」(2007年3月)

◆貯水槽撤去で点検・清掃不要に

マンションの給水を、貯水槽を経由せず、水道管と直接つなげる方式に変えるケースが増えている。貯水槽の点検・清掃が必要なくなることや、滞留しない“新鮮な”水道水が各戸に届くことなどの利点があるからだ。

東京都文京区の7階建てマンション(築26年、12戸)では1階の受水槽や屋上の高架水槽などの貯水槽が老朽化してきたため、2年ほど前から取り換えを検討してきた。専門家のコンサルティングを受け、貯水槽を置かない給水システムを導入することにした。

複数の水道工事業者に見積もりを出してもらい、業者を選定。昨夏、約1か月かけて工事を行った。共有部分の給水管の取り換え、専有部分の洗浄などの作業と合わせて費用は約1000万円かかった。

理事長は「受水槽と高架水槽がなくなったため、定期的な点検や清掃の費用がかからなくなった。受水槽があったスペースに物置を設け、管理組合の所有物を入れています」と話す。住民からも「衛生面で安心感が高まった」などの声が聞かれた。

従来のマンションの給水システムは、受水槽や高架水槽にためた水を各戸に送るのが主流だった。ただ、10トン未満の貯水層は水道法による点検が義務付けられていないなど、マンションによっては管理が徹底されておらず、衛生面などが懸念された。

これに対し、水道管直結方式は、一定以上の水圧が確保されるようになったことなどから、水道水が各戸に直接届く。

東京都ではおいしい水を届ける施策として1995年から、集合住宅でも水道管の水を直接各戸へ送る給水を始めている。都水道局では、普及のために切り替えに関するアドバイスを行っている。横浜市、さいたま市など、直結式の普及に取り組む自治体は増えている。新しいマンションでは導入されている場合が多い。

NPO集住センター(東京)は「貯水槽設置に比べてメンテナンスの負担が減り、水道管の水圧を有効利用できる。築年数の経過したマンションの管理組合が、給排水管の取り換えなどの大規模修繕に合わせて、給水を貯水式から直結式に変えるケースが多い」と話す。

ただし、4、5階以上のマンションになると、水道管からの水圧だけでは上層階まで水が届かないため、水圧を補うポンプを設置する場合が多い。この場合はポンプの運転費がかかり、点検も必要だ。東京都の場合、1年に1回点検するようマンション設置者(分譲マンションの場合、管理組合)を指導している。

「給水方式を切り替える場合、マンションの階数や規模などによって直結式にできないなど、マンションごとに状況が異なります。どの給水方法が選択できるのか、専門家や自治体の水道担当窓口に相談してほしい。工事には資金のほか、住民の協力も不可欠。十分な準備が必要です」と集住センターは話している。