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いち大学生がシドニーでフリーランスとして団体客、富裕層向けに料理を作るようになったまでの話。

消防署主催の、自治体イベント「クリスマスパーティ」にて。

ワーキングホリデー大国、オーストラリア。世界中の20代の若者達が農場でのピッキングやホテルなどの受付係などの仕事を通じて、異国での経験と英語能力を高めようとやってくる。

しかし、実際についてみると違法賃金での労働や50社履歴書を送りつけても受かることは稀など、状況はかなり想像と違っていた。

5か月という短期間しかいない上にワーホリビザに比べて勤務可能時間が短い学生ビザの語学学校生を雇ってくれる会社はそうそう無かった。

あるのは、日本食レストランか、夜間の清掃員といったコミュニケーションの少ない仕事。ウーバーイーツでの働き方はイメージこそポジティブだが、実際は、最低賃金程度の肉体労働だった。

「それでも収入を得なければ…」焦りは、自分が何をしたかったか、自分に何ができるかを忘れさせる。忘れているということに”気付けなく”させる。単調なアルバイト仕事ばかりを探すようになっていた。

それでも、なかなか採用してくれる会社が見つからず、2週間が経ったころ、ふと留学直前までしていた土日限定のレストラン経験を思い出した。これは、飲食店を開業希望の人たちに向けて、いきなり開業するまえに、お試しとして実際のレストランの休業日、お休みの時間を借りて貸し出すビジネスを展開しようとしていた際に、プロトサービスとして自らがシェフとして知人や一般客に向けて料理を振舞っていた時のもの。価格設定のフィードバックや、告知による客数の変動、料理の味加減やバランスによる満足度の違いなどを計測していた。

もしかしたら、使えるかもしれない…‼
そう思った自分は、フリーランスサイトに、料理人としてのポートフォリオや自己紹介文を投稿。
仕組みとしては、会社の懇親会や結婚10年記念などプロの料理人を探しているクライアントに対し、複数の経験豊富な料理人が互いの投稿や質問、プロフィールを見れる状況でコンペティションを行い、案件を勝ち取るというもの。

当初は経験的に勝ち目は薄いと思ったが、シェフ本人がクライアントと直接コミュニケーションをとっていたため、営業力の粗さを実感。押し売りのコミュニケーションを取っていた。対して、まだ評価も無かった自分は、以前教育塾で保護者との面談を通じてどう商談を進めるべきかの知見をいかし、クライアントの目標を正しく理解し、その協力者としての姿勢を徹底することで案件獲得にかぎつけた。