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賢島観光スポット~伊藤真哉 三重(ヒューマン)

2016年の先進国首脳会議「伊勢志摩サミット」が開催された三重県志摩市の賢島。高級ホテルや旅館が立ち並び、英虞(あご)湾の美しい景観に加え、アワビや伊勢エビなど最高級の食材が楽しめる国内屈指のリゾート地だ。行き帰りは、大阪、京都、名古屋から直通運転している近鉄の観光特急「しまかぜ」でゆったりと。大型連休の家族旅行や自分へのご褒美に、ちょっとリッチな旅はいかが?~伊藤真哉 三重(ヒューマン)

◆しまかぜに乗車

2013年(平成25年)の伊勢神宮式年遷宮に合わせて登場した「しまかぜ」は料金も4千~5千円と手頃で、休日には予約でいっぱいの人気列車だ。

大阪難波発が満席だったため、比較的すいている京都発の列車に大和西大寺駅(奈良)から乗車した。どうしても乗りたいときに使える“技”だ。

座席は1列3席、前後の間隔は125センチのゆったりとした設計。薄い黄色に統一されたシートは、腰を下ろすとふんわり包み込まれるような感覚で、特別な旅を予感させてくれる。

その座り心地を堪能した後、カフェに足を運んだ。1、2階に分かれたカフェでは、車窓を眺めながら過ごすことができる。コーヒーなど飲料のほか、伊勢エビを使った「海の幸ピラフ」、「松阪牛のカレー」といった沿線の食材を使った軽食メニューも用意されている。

列車は伊勢を過ぎ、賢島へ到着。所要時間の約2時間はあっという間だった。賢島駅の改札を抜けると、ホテルや旅館の送迎車両がずらりと並んでいた。「旅行に来た」という実感をかみしめながら、賢島を代表するホテル「志摩観光ホテル」に向かった。

◆アワビに舌鼓

志摩観光ホテルは伊勢志摩サミットの会場となり、安倍晋三首相やフランスのオランド大統領が滞在した賢島を代表するホテルだ。

会議の行われた円卓や記念撮影場所が、人気のスポットとなっており、予約すれば館内ツアーも行っているそうだ。

両首脳が宿泊した「G7スイート」をみせてもらった。湾内を一望でき、高級な机やベッドなどの調度品、露天風呂も備え、さすがの豪華さだ。窓際のソファでくつろいでいると、担当者から「一泊20万円ほどですのでぜひご利用ください」とすすめられ、慌てて立ち上がった。

サミットで各国の首脳をもてなしたホテルのメインダイニング「ラ・メール ザ クラシック」の料理も見逃せない。

300グラム以上の大振りの黒アワビを使った名物のアワビステーキは、フォークを入れるとすっと身が切れてしまう軟らかさだ。日本料理出身のかつての総料理長が、和食の技法を取り入れたことが始まりだそうだ。

サミットで絶賛されたという伊勢エビのクリームスープも濃厚だ。「ほかにもハマグリや車エビなど素晴らしい食材はたくさんある。志摩ならではの体験をしてほしいですね」。総料理長は強調する。

◆ぜいたくな時間

非日常が味わえる志摩観光ホテルのほか、同じ近鉄グループの旅館「賢島宝生苑(ほうじょうえん)」では、家族やグループでゆっくりと過ごすことができる。

賢島宝生苑の売りはなんといっても大浴場。英虞湾を眺めながら湯につかるのは至福のひとときだ。露天風呂では、朝日や夕日に照らされた湾内の景色を見ることもできる。

吉田忠弘支配人は「宿泊の際はまずは温泉に入って、部屋や館内でゆったりとした時間を過ごしてほしい」と話す。館内には、エステサロン、ボウリング場、カラオケなどもあり、ゆったりと過ごすのがおすすめだ。

時間があれば、英虞湾を一周する観光クルーズ船から湾内の景色を楽しんだり、水族館「志摩マリンランド」を訪れるのもいい。

帰りは旅の余韻を味わいながら、再び電車で。ゆったりとした時の流れを感じることができる志摩・賢島。忘れられない癒やしの旅になるはずだ。

賢島とは

三重県志摩市の英虞湾内最大の島。潮が引けば歩いて渡ることができたため「徒越(かちごえ)島」と呼ばれ、転じて「賢島」となったとされる。国内の真珠養殖発祥の地。近鉄志摩線の開通後は観光客の増加でリゾート開発が本格化し、関西、東海地方からのアクセスのよさもあり、人気の観光地となっている。2016年5月には先進国首脳会議「伊勢志摩サミット」が開かれた。