姜 大成(かん てそん)
株式会社Growther代表取締役兼CEO
2009年 金融機関にて渉外担当
2012年 株式会社インテリジェンスへ転職
2014年 全社内TOP20人のみの(Top Of the Performer)研修に抜擢
2015年 株式会社Growther 創業
-Growther(グローサー)を創業するまでの経緯を教えてください。
経営者になりたいという思いはずっと昔から強く持っていましたので、大学在学中からmixiのような横のつながりをつくるコミュニティやベンチャー企業の情報を発信する媒体を立ち上げたりして経営というものには早い段階から触れていました。
しかし、学内ベンチャーの立上げ仲間が地方へ帰ることとなり、自分もビジネスを一から学びたい考えで新卒で銀行へと入社しました。
銀行マンとして順調にキャリアを積んでいる最中で、父親の会社が経営難で実質的に倒産をし、ドラマのような転落劇を経験したことが、20代の頃の転機の1つです。
「自分はいま何をすべきなのだろう。どこに向かいたいのだろう。経営者になるためには今どう行動すべきか」
そこで転職したのが当時ベンチャーの雄として勢いのあったインテリジェンスです。
家族の為に頑張らなければならないという後に引けない状況もあったので、入社してからすぐにトップセールスとしてMVPを獲得することもできました。
その後、選抜メンバーとして新規事業チームにもアサインされて海外研修にも参加しました。
死に物狂いで頑張った結果、有難いことにインテリジェンスでも順調にキャリアを積むことができていたんですね。
しかし、海外研修に参加する中でふと思ったんです。
「今いるこのメンバーの中で同じ環境で頑張っても、未来で見える景色は今とそこまで変わらないかもしれない」
そこからは早くて、すぐに退職届を出してGrowtherを創業しました。
-実際に起業してみて直面した理想と現実のギャップってどんなものがありましたか?
ギャップしかなかったです。笑
私には「1兆円企業を作る」という夢が昔から強くあります。
同じインテリジェンス出身でもあるサイバーエージェントの藤田さんの影響も強く受け、「渋谷ではたらく社長の告白」を読んでいたりもしました。
昔からビジネス本を読んだり起業セミナーに出たりと、経営者として社会に価値を生み出す自分をイメージするということは数え切れないほどやっていましたが、現実と理想は違うということを思い知らされることは毎日のように起こります。
Growther(グローサー)もこれまで2度、組織崩壊を経験しています。
1度目は創業後すぐにナンバー2の役員候補として入ってきてくれた者が、入社してクライアント先に転職するということが起こり、しばらく組織として立ち行かなくなってしまうということが起こりました。
その時は「運が悪かった」という程度にしか思わなかったのですが、2度目の組織崩壊は本当に辛かった。
当時は私を含めてメンバーが4人で、毎日のように夢を語り合い寝食を共にしながら一丸となってGrowtherの発展に尽力していました。
文字通り、家族経営のような状況です。
大きな目標に向かって、兄弟のような絆を感じられる存在と共に肩を並べて前に進んでいる。
そんな実感を伴いながら仕事をしていたので、本当に充実していた。しかし人とのすれ違いというのは、些細なことから起こります。
重要なポジションについていた中核メンバーがとあるキッカケで離反することになりました。
会社の業績も着実に伸びていた時期だったからこそ、「なぜ今のタイミングで?」という思いを抱かずにはいられませんでした。今思うと、逆に伸びていた時期だからこそ社員の意識や共に向かっていく方向性に意識を向けておかなければならなかった思います。
そして、彼の離反を機に残ったメンバー間それぞれの価値観の差もどんどん浮き彫りとなっていきました。
いさかいが絶え間なく続き、最終的に会社からは全員が離れていきました。
今って「起業家になりたい」とか「経営者になりたい」という志のある人はどんどん増えてると思うんですが、起業すること自体には大賛成ではある反面、実際に経営者になってみると大変なことに対峙することがほとんどだぞというのは声を大にして伝えたいです。笑
-困難に直面しながらでも、会社経営を辞めずに続けてこられた理由でどんなものがあるのでしょう?
そうですね・・・
昔から変わらずある不変の原動力としては、家族の為にという気持ちです。そして、Bizlinkというサービスへの自信は確固たるものがあります。
先程の話の続きにもなりますが実は、先程お話した2度目の組織崩壊って会社を移転してすぐだったんです。会社の拡大を前提に移転したオフィスだったので、広さも家賃も移転前のオフィスとは比べ物になりません。
30坪のオフィス
自分以外誰もとらない無数の電話機
垂れ流す毎月100万の赤字
それらすべてが自分の肩にのしかかり誰も助けてはくれない状況だったので、今でもあまり思い出したはくないなぁというのが正直なところです。
孤独というのはこういうことかと身に染み入る思いでした。
そんな状況下だったので、「なぜ自分がこういう状況を引き起こしたのか」と「自分がGrowtherを続ける意味」については本当によく考えていました。
まず最も省みたのは「自分の考えをきちんと共有してこなかった」ということです。
冒頭にお話した転職や独立の話から察した方もいるかと思いますが、私は勢いを大事にすぐに行動するタイプの人間です。
当たり前ですが、そういった私のようなタイプの人間ばかりでは成り立たないことも多くあります。
組織の崩壊も私からのコミュニケーション不足が起因している部分も少なからずありました。
チームとして、会社として同じ方向を見据えて歩んでいくためには代表である私自身の考えをしっかりまとめて言語化して周囲の人間に伝えるということは徹底しなければなりません。
現在では、”なぜやるか”や”どう進んでいるか”などをメンバーに伝えることを怠らず、そのための定例のMTGも設置したりして意識の改革だけにとどまらず仕組みの部分までに落とし込んで経営をしています。