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【代表インタビュー】任天堂やBIG4を経て創業。「生産性の高い働き方」を実現する、異常なまでにこだわり抜いたスタンスとは

平均年齢65歳の税理士業界の世界の中で、20~30代中心の若手が活躍するスタンダード税理士法人。世の中で様々な技術革新が起こっているのと同様に、近年、会計税務の世界でもクラウド会計ソフトの登場や電子帳簿保存法の改正といった変化が起こっています。重い腰を上げ、レガシー産業のDX推進も進み始めている一方で、"浸透している"とはまだまだ言えないのではないでしょうか。

当社では過去に囚われず、IT化を中心とした働き方の仕組みを作り、顧客数を増やし続けています。今回は代表の山田さんに、設立までの経緯と、これからについて伺いました。

山田雄一 / スタンダード税理士法人 代表

1989年生まれ。京都大学卒業後、任天堂株式会社、株式会社日本格付研究所、株式会社KPMG FAS、中小会計事務所などを経て、2021年にスタンダード会計事務所(現・スタンダード税理士法人)を創業。

日系大手 / 債券アナリスト / BIG4から実家の会計事務所まで、様々な会社に勤務ののち、「時代に即し、自分らしく働ける場を作ろう」と起業

――日系大手 / 債券アナリスト / BIG4 / 実家など複数の企業の勤務経験を経て、現在の会計事務所を立ち上げられたそうですね。そこに至るまでの経緯を教えて下さい!

大学は京都大学に進学したのですが、学部では言語学を、大学院では経営戦略を学びました。その後、「ゲームが好きだから」「他の会社では真似できないものを作っている会社がいい」という子供みたいな理由で任天堂へ就職したんです。1年目から経理部に配属となり、その直後に公認会計士の論文式試験に合格しました。会社としては、正しい人材配置だったと思います。ただ僕自身は、会社の商品が好きとか、世界的に有名な会社であるとか、本社が地元の関西圏にあるとか、「どういう会社で働きたい」ということばかり考えて、「どういう仕事をしたい」という観点で就職活動できていませんでした。決算短信や有価証券報告書の作成などのIR(情報開示)、固定資産会計、退職給付会計、連結決算、管理会計資料の作成など経理全般を担当しましたが、基本的に経理部の仕事には向いていませんでした。(笑)ただ例外もあって、ゲーム業界各社の業績を比較分析するも担当したのですが、それは非常に面白かったです。全体の仕事のほんの一部だったのでボリュームはなかったのですが、そこで興味のある職種と自分の専門性が重なる仕事はアナリストなのではと思い、最初の転職を考えました。

――2社目の会社ではどのような仕事をされていましたか?

日本格付研究所という、企業の債務返済能力を分析しランク付けをする会社(格付会社)で社債のアナリストとして勤務し、家電量販店、情報システム、ゲーム、放送などの業界を担当していました。仕事の内容としては、この会社が圧倒的にやりがいがあり貴重な経験ができました。決算資料の分析に加えて、担当企業への訪問を行います。社債を発行するような会社というのは誰もが知っている大企業がほとんどなのですが、社長へのインタビューを行うこともありました。普通の会社だと絶対に会えないような立場の人から、経営戦略や業界動向などの話を聞けるのがとても楽しかったです。20代で上場企業の社長や役員と話せる機会はなかなかないと思いますし。また、業績予想と実績の答え合わせができる面白さも感じていました。どういう仮説が正しくて、どこが間違っていたのか、など振り返りもできますし、予想通りの結果が出た時は何より嬉しかったです。ただ、社員の平均年齢が高い会社だったことも一因だと思いますが、外回りが必須ながらもノートパソコンの貸与がない、紙資料が多いなどの点は気になっていました。と、同時に、「こういう仕事がしたい」「こういう方法が効率がいい」という考えがはっきりしている自分の性格は、サラリーマンには向いていないのかなとも……。この辺りから実家の会計事務所を継ぐという選択肢も何となく考え始めました。ただ、せっかく公認会計士になったのだから、会計事務所グループの最大手・BIG4と言われる会社でも一度は働いてみようかなと思いました。

――BIG4のひとつであるKPMGへ。ここでは何が得られましたか?

ここでは、企業価値の評価(バリュエーション)や減損損失の判定、コンサルティング案件の資料作成などを経験しました。仕事は圧倒的に忙しく、人の出入りが激しい会社でした。自分の担当企業が固定されていて1つの案件に時間をかけて分析するアナリストの仕事と異なり、随時大量の案件が降ってきてそれを十数名いる上司の下で次々と捌いていくスタイルに戸惑いました。また、組む上司との相性によって成果に差が出ることやエクセルでガリガリ作業するのも苦手なことも自覚しました。既に70歳近く、健康面でも思わしくなかった親の会計事務所を継ぐ時期の問題もあり、十分にパフォーマンスを出せないまま1年もたたずに辞めました。組織という面では、前2社は人がほとんど辞めない会社であったこともあり、どういう会社なら人材が定着し、どういう会社なら人が辞めていくかについても何となく察知することができました。ノートパソコンやiPhoneが支給され、自宅に仕事を持ち帰ることも頻繁にあったので、テレワークに対する考え方も色々と影響を受けました。テレワークは働きやすさを実現する手段であると同時に、私生活と仕事を切り離せなくする危険性もあるので、就業時間外や休日に連絡を遮断するルールにしておかないと、安心して休むことができないなど。また、テレワークが可能だったのは紙ベースの仕事がほとんどなかったからで、今の税理士法人を運営するにあたって文書の電子化やインフラのクラウド化を推進しておく必要性も強く感じました。

――そしてご実家の会計事務所に。ここではどんな気づきがありましたか?

IT化、業務効率化の遅れです。日系大企業、アナリスト専門職、外資系の雰囲気が強い企業を経て、田舎の中小企業(実家)に入りましたが、メールが使えない70歳近い父親を中心に、すべてが回っている状態に衝撃を受けました。まず、お客様とはFAXでのやり取りが前提なんですね。そして毎月、車で様々な場所へ訪問をし、山のような紙資料のやり取りをする。これは会社にとってもお客様にとっても、ベストなやり方とは思えませんでした。でも、年配税理士の会計事務所では、このような仕事の仕方がいまだに主流だったりします。顧問先の社長も父親と同年代ぐらいなので、お客さんの側も同じようにFAXしか使えないという会社も多かったです。実家で働き始めた当初は、新しいシステムを導入したり文書を電子化したりする努力もしたのですが、経営者がそれについていけないと限界があるんですよね。加えて、従来のやり方になじんでいる20年選手のベテラン社員の方もいるので、急に若い子が入ってきて仕事のやり方を変えられても困る、という声もありました。結局、ここで仕事のやり方を変えても、経営者も従業員もお客さんも誰も幸せにならないと思い、それなら「自分でゼロから会計事務所を作ったほうが良い」「自社の方針に合うお客様とだけ契約した方が良い」と、東京で独立開業することになりました。

ITリテラシーの高さ、若手の強みを生かし、スタートアップや若い経営者をサポート

――開業時にはどのように顧客を開拓しましたか?

何のアテもなく東京で開業したため本当にゼロからのスタートでした。業界内では珍しいと思うのですが、初期の顧客獲得にはTwitterを使用しました。税理士を探している方は2種類います。1つは起業されたばかりか準備中の方。そしてもう1つは現状の税理士に不満を感じている方。彼らを探せば、開拓できるのではと考えました。とはいえ飛び込み営業や、会社の設立登記情報を見てDMを送る営業は、もうやりつくされていますし、時間や労力がかかりすぎます。

そこで最初は、Twitter上から税理士を探しているであろう経営者を探し出し、DMを送りました。会計士や税理士で、こういう泥臭い力技の営業をかけてくる人はいないのでは、という考えもありましたね。Twitter上の集客といえば、皆さん、美しい言葉やモチベートされるような言葉を使ってファンを獲得し、「お仕事お願いします」という流れを考えるのではないでしょうか。ただ、私のアカウントでは、そのような美しい発信は行わず、ひたすらDMを送ることに特化しました。実際の手ごたえとしては、50通のDMを送ったら25通ぐらい返信があり、そこからさらに半分の12通はオンライン面談までいき、そのうち3分の1が契約へ、みたいな感じになりまして。Twitterだけで、営業開始2か月で4社から契約を頂きました。税理士紹介会社も少しだけ活用しましたが、自力で十分に集客できることが分かったので、すぐに使わなくなりました。

――営業スキルも高いんですね、、、!現在の営業は、どうされていますか?

今は既存顧客からの紹介やSNSでの集客に加え、HPからの問合せが増えています。HP(https://standardtax.jp/)を見ていただければわかると思うのですが、イメージアップ的な動画やアニメ、事務所の理念などは載せておらず、全くおしゃれではありません。(笑)ですが、余計な情報を徹底的に排除することで、どこに何があるか一瞬で分かる作りにしています。オンラインを中心とした営業でHPが見にくいというのは致命的ですから。また、HP上でも説明をしていますが、マネーフォワードクラウド会計に特化していること、チャット(Chatwork、Slack)、オンライン会議(Zoom、Google Meetなど)を使って税理士に気軽に相談できることが、弊社の特徴です。銀行口座やクレジットカードの明細が自動入力されるクラウド会計や、移動時間を削減できるオンラインコミュニケーションに特化しているのは、過去の就業経験を踏まえて、会計事務所とお客様がともに生産性の高い働き方を追求したいからなんですよね。だからこのスタイル以外での顧問契約は一切受け付けていません。クラウド会計や各種ITツールを導入している会計事務所は増えていますが、それらを活用しないスタイルでの契約を1件も受けないというのは珍しいと思います。

料金に関しても非常に分かりにくい記載をしている会計事務所が多いと感じています。普通の人は「月額顧問料XX円、決算料XX円、年末調整XX円、償却資産申告書XX円、法定調書XX円」などと記載されてもそれが何なのか、何が自社に必要なのか分かりません。会計税務が分からないから税理士に頼りたいのに、料金の説明が複雑だと、それだけでビジネスチャンスを逃します。そこで当社では売上高と社員数で月額顧問料を決めて、決算や年末調整で別途料金を請求しないというシンプルな料金体系にしています。価格設定自体は業界内の標準だと思いますが、お客様からは「分かりやすくていいね」と、よく言っていただけます。

実際にHPに掲載されている料金表の一部

服装に関しても、HPの写真がTシャツとジャケットですが、来客時でもスーツは一切着ません。スーツでバシッと決めることで会計士や税理士としての品格が上がるというような考えもあるのでしょうか、敷居が高くなることで会計事務所に気軽に相談しにくい雰囲気になってしまうというデメリットも大きいと思うんですよね。

僕は、最初に入ったゲーム会社でのキャリアが一番長いくらいなので、良くも悪くも会計事務所の常識みたいなことに縛られていません、というか常識をあまり知っていません。営業スタイルにしろ、HPにしろ、料金体系にしろ、服装にしろ他社がやらないことをやるのが寧ろ良いと思って会計事務所を運営しています。ゲームは他社と同じものを作っても売れませんから。それと同じように、業歴の浅い会計事務所が他と同じことをやっていてもお客さんは増えませんし、採用もできません。

――契約されるのは、どのような方が多いですか?

開業時に想定していたように、ある程度のITリテラシーがあり、弊社のポリシーに賛同していただける、スタートアップの方や若手経営者が多いです。それでも初回の無料オンライン面談の際に「ITツールでバックオフィスを効率化しており、これ以外のスタイルでは契約していません」と、はっきりとお伝えしていますね。お客様と直接お会いするのは、どうしても押印が必要な時と、相手から「初回は直接お目にかかりたい」などのリクエストがあった場合ぐらいで、オンライン面談だけで直接会わずに契約されるお客様も多いです。もっと言えば現在も一度も対面でお話したことのない顧問先もたくさんいます。もしかしたら少し傲慢なやり方なのかもしれないですが、「旧来とは違う、ITに強い会計事務所」という双方の合意のもと、顧問契約を締結しています。不躾ですが、「仕事の進め方」「法令順守」に対する考え方が合わない場合、契約をお断りさせていただくことも。それくらい働き方にはこだわっています。

――貴社のスタンスが徹底されていて素敵だなと思いました。今、山田さんを始めとするスタッフの方々はどういう働き方をされていますか?

ペーパーレス化、リモート化の仕組みが整っていることに加えて、業務マニュアルの整備や資料の保存方法や会計処理方法の統一など、徹底的に業務の標準化を行っているので、自宅でも事務所でも、変わりない環境で働けています。入社後3日間だけ出社してもらって、その後はほとんどリモートワークでたまにしか出社しないという社員も普通にいます。私自身、リモートワークで事務所にいないことも多いです。

働く人とお客様が同時に満足できる会計事務所を目指して

――会社としては、今後は、どのようなビジョンを描いていますか?

実はあるようでないというのが答えでして……。(笑)私は「仕事の内容はお客様が作る」と考えていて、当社に、強い事業の方向性があるわけではないのです。最近、お客様からリクエストを受けている内容が2つあります。1つは「WEB3.0の領域で仕事をしたい」ということ。具体的にはNFT関連のご相談が多いですね。こちらは税制が十分に整備されていない分野ですが、柔軟に対応をしていけたらなと。もう1つは志高い、スタートアップに関してです。前述したように弊社のクライアントはスタートアップが多いです。中には投資家から資金調達をしてIPOを視野に入れて、という企業も。そういった方々のご相談に乗れる体制づくりも進めています。

――採用に関しても独自の工夫をされていますね。

はい。業歴が浅く大きい会計事務所ではありませんが、効率的な働き方をしたい20~30代の求職者には魅力的な職場だと思います。ほぼ出社無しのテレワーク中心に柔軟に働けることを軸に、待遇や福利厚生には力を入れています。また、「ITツールの導入」「法令順守」に同意していただけるお客様とだけ契約することで、会計処理に必要な資料の入手が容易になり、訪問業務(巡回監査)や領収書の手入力、決算資料の製本・インデックス貼りのような生産性の低い業務が撤廃できていることも魅力的ではないかと思います。売上欲しさにむやみに顧問先数を増やすと現場の担当者が疲弊し、離職率も高くなり会計事務所として業務品質が低下します。そのため、職員がストレスなく安心して働ける環境を提供し、結果的に業務品質も向上して顧客満足度も高まり、売上も伸びる会計事務所を目指しています。極論を言えば、お客様よりも職員の満足度を高める方が優先事項だと考えています。

――「最大2週間の試験休暇がある」のも画期的ではないでしょうか?

弊社が必要としている人材と、税理士試験受験生が重なるので、税理士試験のサポートは絶対に厚くしたいですね。優秀な人材を獲得するために、試験勉強時間の確保と、繁忙期を作らない体制も整えています。そもそも当社の顧問先の90%は法人顧客のため、個人の確定申告の時期はさほど忙しくなりませんし、決算期も分散しています。また、税理士試験と時期的に重なる6月決算(8月申告期限)の案件数を抑制しており、試験に集中できる環境を整えています。

――人柄としては、どんな方が御社に向いているでしょうか?

他の士業と違い、税理士は、顧問契約を結んで長期的なお付き合いをすることが通常です。中小企業の場合には他の士業のお世話にはならず、税理士だけを顧問につけているというパターンが多いため、当然、色んな相談をされますし、そこに対応できる会計事務所でありたいと考えています。今、私がやっているのは、会計税務だけではないんですね。お客様が「〇〇のことが分かりません」と相談して下さったら、専門外のことでもまずは可能な範囲でアドバイスをし、必要に応じて社労士さんや司法書士さんを紹介します。相談を受けた際に「それは専門外なので」とつっぱねるのではなく、色々な分野に対応できるように知識を吸収できる方を求めています。また、弊社は20~30代中心の、業界的にも若手の会計事務所です。60代、70代の会計士の「先生」に相談しづらいことも、若手だからこその目線で理解し、解決に導けることもある。何がお客様にとって価値のあることなのかを理解してくれる方だと、うれしいですね。


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