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職種紹介 #05 サービスデザイナー|持続的な事業構築を支援する

コンセントには、「デザインでひらく、デザインをひらく」というミッションのもとに、さまざまな職能のメンバーが在籍しています。また、対象とするデザイン領域の広さから多くの職種があり、担当する範囲も多岐にわたります。そんなコンセントの職種を紹介する「職種紹介」シリーズ。
今回は、Strategic Design groupのグループマネージャー小山田那由他より、コンセントにおける「サービスデザイナー」ポジションの業務やおもしろさについて説明します。

/ 登場人物:株式会社コンセント|サービスデザイナー 小山田那由他
HCD-Net認定 人間中心設計専門家。東京造形大学視覚伝達専攻卒。コミュニケーションを設計する人。デザイン思考、コンテンツデザインのスキルを生かしサービスデザイナーとして企業・行政のサービス開発・改善やデザイン組織化支援を支援。

複数の視点で、さまざまなサービス体験全体を設計する。持続的な事業構築のための組織活動のデザインも実施。

—コンセントにおけるサービスデザイナーとは、どんなポジションの職種なのでしょうか。

わかりやすく言えば、「生活の質を上げることを目的に、ユーザーとサービス提供者、社会といった複数の視点を踏まえながら、さまざまなサービスを設計する人」というイメージで、以下のような役割を担います。

  • 製品を含む無形のサービス体験全体をデザインする
  • サービスに関する組織活動をデザインする
  • 顧客や従業員といった複数のユーザーを対象とし、顕在/潜在課題を捉える
  • 感性的・機能的要件を満たしたタッチポイントを実現し、持続的な事業構築を支援する


—具体的には、どのような業務を行っているのでしょうか。

俯瞰的・統合的・長期的観点を重視したサービスの「あるべき姿」を描き、さらにその姿を実現するための各種の活動を推進しています。

具体的には、さまざまなプロジェクトにおいて、主にユーザー視点を起点にしたユーザーリサーチの計画から分析を行い、サービスコンセプトの立案やサービス体験の設計を行います。検討・合意形成のためにワークショッププログラムのデザインやファシリテーションを行うことも多いです。ケースによっては、持続的な事業実施のためにサービス提供側の業務プロセスの設計や人材育成支援をしたりマーケティング・ブランディング施策の計画・実行を担ったりします。


コンセントではサービスデザインを「複数のデザイン領域を統合したもの」捉えています。

このようなサービスデザインに関する事業部が誕生したのは、2012年のことです。当時は「モノからコトへ」という消費行動の変化が加速している最中で、社会的にもユーザー中心視点で企業活動を再考する方法に注目が集まっている時期でした。そこで国内電機メーカーなどの製造業やデジタル技術を活用した価値創出に取り組むシステムインテグレーター、通信系企業などのお客様から「モノ中心からサービス中心に転換するための新規事業開発支援」や「サービスデザインの組織導入支援」などのご相談を受けるようになり、以来さまざまなプロジェクトに携わらせていただくようになっていきました。

求められるのは「厄介な問題」を探索的に考えること。相互に学び合い挑戦できる環境もある。

—非常に幅広い領域を担うサービスデザイナーですが、この職種にはどんな魅力があると思いますか。

端的に言うと社会を構成する一人の人間として、そしてデザイナーとしてやるべきことをやることができる、ということだと思っています。

私はコンセントでPUBLIC DESIGN LAB.という公共に関わるR&D活動を2014年に開始しました。当時、ヨーロッパではさまざまな事例がありましたが、国内で公共領域でサービスデザインを仕事にする市場はほぼ無い状況でした。しかし、生活の質を向上させるために外すことができない領域であるという社内理解を得ることができ、この活動をスタートすることができました。

こういった活動についてお話しすると「民間のプロジェクトでできない社会貢献をサイドプロジェクトで行っている」という誤解をよく受けます。しかし、実際には民間企業のサービス開発においても実業を通した社会貢献的な視点を外すことはできません。そのため、コンセントでは基本的な価値観として社会性の考慮をどのプロジェクトでも行っています。

サービス提供で利益を上げることはもちろん重要ですが、その過程において人権侵害やユーザーの利便性の毀損、社会的悪影響を及ぼすことなどの状況を引き起こすことは社会的責任として望ましくありませんし、サービスの継続ができなくなる可能性があるので長期的視点では経済合理性も低くなります。こういった点から、コンセントでは具体的な取り組みとしてアクセシビリティ対応の推進やダークパターン防止に向けた情報発信、オープンなデザインスクールの開催などを行っています。

▲社会と接続したデザインを実現するためのさまざまな活動

私たちが利益偏重を避けるべく、ユーザーと組織、社会といった複数の視点でサービスデザインに取り組める理由はいくつかあります。

1つ目は、「独立系エージェンシーである」ということが挙げられると思います。
2つ目は、「コンサルティングも実制作も両方できるエージェンシーである」という点があります。
そして3つ目は、「オープンでそもそもを問いなおす組織風土や文化がある」ことです。

これらの特徴から、さまざまな業界や組織からご相談をいただくことができ、ご相談いただいた課題に対して、自由度の高い立場からアプローチできるという強みがあります。
これは逆を言えば、さまざまな領域やクライアントの課題に対して、オーダーメイドで都度最適と思われる解決策を考えていく必要があるという意味でもあるので、大変な部分もあります。

これは「正解がない上に、何が正解かどうかも決められない」といういわゆる「厄介な問題」に対して、探索的に考えることが求められているとも言えます。このような、幅広い視点、長期的な視点でアプローチを行うことができるという点も面白いと思います。


—やりがいがある一方で、難易度が高そうなイメージもあります。

そうですね。しかしその分、有意義な活動を行えるという納得感もありますし、個人としては実践を通して経験値を急速に上げることができ、さまざまなメンバーとの連携を通してこれまでのやり方を常に上塗りしていくことができるため、とても挑戦しがいがある仕事と思います。もちろんプロジェクトでの実践だけではなく、会社組織として学ぶパワーも非常に強く、紹介しきれないほどのさまざまな勉強会などが実施されているので、必要なスキルを段階的に身につけていきやすいという特徴もあります。

また、コンセントは「自分の活動を自分で決める」という裁量が発揮しやすい会社だと思います。挑戦したいことを業務の中で実行したり、逆に自分のスキルでどこまで引き受けるかを検討したりすることができる文化や制度があります。

そもそもコンセントは1971年の創業以来、エディトリアルデザインや情報デザイン、UXデザイン、サービスデザインと、時代ごとの社会からの要請に合わせて柔軟にデザインの価値を探索、実現してきました。そのような過程の中で、社内の風通しの良さや自己変革していく柔軟性などを大切にしてきた文化的背景もあるので、自分らしい働き方を実現しやすいと考えます。ただ、自由な仕事環境ではあるので、「いろいろやってみたい」というタイプの方は、詰め込み過ぎになってしまう場合もあるので注意が必要かもしれません(笑)。

必要なのは、コミュニケーションとチャレンジする意欲。得意なシンキングスキルを生かしてみよう。

—最後に、サービスデザイナーに応募を希望する方へ、メッセージをお願いします。

さまざまな課題に対して粘り強く、いろいろな方向性から考えてみたいという方に応募いただきたいと考えています。

サービスデザイナーという職種についてご質問をいただく中で、「ビジュアルデザインのバックグラウンドがないと難しい」というイメージが強いのではないかと感じています。しかし、実際はそのようなことはありません。

さまざまな方とコミュニケーションを取りながら難しい課題にチャレンジしていく意欲があり、さらにロジカルシンキングやクリエイティブシンキングのいずれかが得意な方であれば、メンバーと協力し合うことで十分な成果を出すことができると思います。

ご興味ある方は、ぜひエントリーいただきたいです。

インタビュー/柴崎卓郎 butterflytools
写真/牧野智晃〔4×5〕

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