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キャリア採用|01|「考えながらつくる」ことで、未来の兆候を見つけたい

いろんな経験や思いの先でコンセントと出会い、ここでデザインに取り組むことを決めたメンバーたちを紹介する「キャリア採用」シリーズ。
今回は、CMプランナーを経て中途入社したサービスデザイナーの猪瀬景子に、これまでのあゆみと現在の仕事、そしてこれからについて話を聞きました。

/登場人物:株式会社コンセント|サービスデザイナー、リサーチャー 猪瀬景子
デジタルマーケティング会社でCMプランナーとして就業した後、2020年にコンセント入社。クライアントの新規事業開発に関わる調査・分析業務を中心に、コンセプト開発、サービス戦略策定などに従事。Service Design Network 事務局。

「売る」ためにはどうしたらいいのかに興味をもつ

—これまでの経歴を教えてください。

私は横浜国立大学出身なのですが、学生時代は東京大学と東京女子大学のインカレサークルで演劇をやっていたんです。当時は演劇の観客数が減少している真っ只中のとき。そのような状況を目の当たりにして、舞台を「つくる」のではなく、「売る」ためにはどうしたらいいのかということに興味をもちました。そこで、デジタルマーケティングを売りにしている会社への就職を決めたんです。

ただ、内定も決まっていたタイミングで、単位が足りないことが発覚して(笑)。内定先の方に相談しところ、「1年間は大学に通いながらアルバイトとして働けばいいじゃないか」と言ってくださって、そこから2年半ほど仕事をさせていただきました。

—どのような仕事をしていたのでしょうか。

前職ではプランナーとして働いていました。具体的には、クライアントからの要望に基づいて、テレビCM、ウェブCMの絵コンテを描き、外注の制作会社へのディレクションを行う仕事です。

もともとは運用広告が中心業務の会社だったんですが、私が入社した直後にそのようなCMをプランニングする部署が立ち上がりました。まだ新しい部署ということもあり、CMのプランニングだけでなく、その他のことも何でもやらないといけない環境だったので、コピーライティングやブランディングなど、いろいろなことを経験しました。

とはいえ、誰かに仕事を教えてもらえるわけではなかったので、毎日が試行錯誤の連続でした。コピーに関しては、代理店出身のクリエイティブディレクターの方から「毎日100本書く」という宿題を出されていたので、何が良いのか、悪いのかはなんとなく肌感覚でわかるようになっていったんですが…。「仕事を教えてもらう」という機会はほとんどなかったので、「私が生み出したモノは、世の中にとって本当に価値があるのだろうか」ということをずっと悩んでいた気がします。一度、自分が考えたコピーがCMで流れていたことがあったんです。そのときはうれしくて「自分がやっていたことは正しかったんだ」と思ったんですが、「じゃあ、それをもう一度やってみて」と言われたら、何もわかっていない私としては「同じことは絶対できないな」と感じていました。

価値を発見し、世の中に届けるということを学びたい

—転職を考えるようになったきっかけは何だったのでしょうか。

以前から転職は考えていたんですが、決定的な何かがあったわけではなかったんです。

でも、「本当に価値があるモノを生み出せているだろうか」という悩みが深くなっていったというのはあります。テレビCMやウェブCMを制作するとき、「そもそも、その商品はどう生まれたのか?」「その背景にある開発者の想いは何か?」「その想いを誰に届けたいのか?」などということを掘り下げることはあまりしていませんでした。クライアントから「これに価値があるから、こういうモノをつくってくれ」と言われてつくっているけど、本当にこれが世の中に届けるべき価値なんだろうかと考えるようになりました。それで「そのモノの価値を発見して、ちゃんと世の中に届けるということを改めて学びたい」と思うようになっていったんです。

当時は「課題の『そもそも』から考えるヒントが欲しい」という想いでいろんな本を読んでいたんですが、そのときに偶然出会ったのが『THIS IS SERVICE DESIGN THINKING』でした。

—コンセント代表の長谷川が監修した、サービスデザイン思考の入門書ですね。

「私はまさにこういうことがやりたかったんだ!」と感じました。そこで、サービスデザインに興味をもって、「一度、長谷川さんの話を聞いてみたい」と思うようになったんです。

転職活動を始めた当初も、そのような「いろいろな人の話を聞いてみたい」という気持ちの方が大きかったんです。正直に言いますと「最終的に転職という形にならなくてもいいや」程度のモチベーションでした。

でも、コンセントの採用面接を受けてみて、目から鱗だったんです。たまたま話題が「現在の演劇の課題」に関する内容になったんですが、面接官の方が私の意見を「それはつまり、こういうこと?」とさまざまな角度で掘り下げてくれて。そのような「疑問をそのままにしない、おざなりにしない」という対話が、とても新鮮に感じたんですね。

実は、その面接を通じて、「私はすごく狭い世界で生きてきたんだな」と痛感したんです。というのも、それまでの私の仕事のやり方は、「答えがない状態だけど、とりあえず闇雲に調べてみよう、コピーを書いてみよう」という感じだったので。本当はコアの部分をしっかりと見定めることが大事なのに、そのことを私は全然わかっていなかったな、と。そのことをきっかけにして「このままでは、私はいけない」と思うようになって。経験が浅いので「ついていけるのか」という不安はあったのですが、「この人たちと一緒に仕事したら、楽しいだろうな」という想いもあったので、思い切ってコンセントで再出発することにしました。

あなたがやりたいと思っているのは、サービスデザイン

—コンセントでの仕事について教えてください。

サービスデザイナー、リサーチャーとして、クライアントの新規事業開発に関わる調査・分析業務を中心に、コンセプト開発、サービス戦略策定など担当しています。

実は、選考時に志望していたのはUX/UIデザイナーでした。当時の私は「サービスデザイナーがどのように仕事をするのか」具体的なイメージをもてていなかったので、より身近だったUX/UIデザイナーの希望を出しました。しかし面接のときにも、「あなたがやりたいと思っているのは、サービスデザインだと思うよ」と指摘されたのです。「私のような経験がない人には無理だろう」と思っていたのですが、選考過程や入社後に先輩社員と対話したり、インプットしていく中で、サービスデザイナーという仕事が自分のやりたいことだと確信がもてるようになっていきました。

—サービスデザイナーとしての仕事で辛かったことはありますか?

ちょうどコロナ禍になって業務がリモートに切り替わったとき、自分のバリューをうまく発揮できないことに悩みました。なので、まず「今できるところは何だろう?」ということを自分で考えて、とにかくガムシャラに本を読んで、その一方でいろんなお仕事の手伝いをしていました。そのときは一番辛かったかもしれないですね。現在は「この領域なら、自信をもって価値を生み出せるな」という感覚を少しずつもてるようになってきているので、そういうことは感じなくなりました。

複雑な社会問題や変化の兆候を捉える視点をもって活動する

—実際にコンセントで仕事をするようになって、印象的だったことはどんなことでしょうか。

最初、「コンセントの人はみんな真面目なんだろうな」と思っていたんです。それはある意味正しいんですが、もっと正確に言うとしたら「真摯」なんですよね。目の前の物事に、真剣に向き合っている、というか。

あと仕事についていえば、コンセントは個人の裁量が非常に大きいので、サボろうと思えばいくらでもサボれる。でも、周りの人たちはみんな頭と手を動かしながら努力しているんです。ちょっとでもわからないことがあると、すぐに必要な物事をインプットして、同時にアウトプットも行うというように。そのような姿を見ていると、「少しでもサボったら、置いて行かれるんじゃないか」という気持ちになってくるんです。なので、私も常にファイティングポーズをとって、積極的に本を読んだり、社外の講座やワークショップに参加したりして、インプット、アウトプットを繰り返すようにしています。

最近はそういうことが癖になって、自分の趣味的なことでも「もうちょっと深く勉強してみようかな」と考えるようになりました。例えば、私はファッションが好きで、今日着ている服も自分でつくったものなんです。やっぱり、こういうことに携わっていることが楽しいと感じたので、服飾の学校に通い始めることにしました。

—最後に、今後の展望や挑戦したいことがあれば教えてください。

やはり、サービスデザイナーというからには、リサーチだけではなく学際的なスキルを身につけることも必須です。その前提のもと、複雑な社会問題や変化の兆候を捉えるような視点をもって、社内外で活動をしたいと思っています。

例えば、さっきのファッションの話ですね。現在、ファッションというテーマは、人権の侵害や環境への負荷などさまざまな問題を内包しています。そのような背景を理解した上で、いち服好きの人間として、今後どのような態度でファッションと向き合っていくべきなのか。難しかったとしても、少しずつ問題に対処し、新しいファッションのあり方をつくることはできないか。今起きている問題に、無自覚に、目をそむけたまま生きることが簡単な時代だからこそ、答えがでなくても、私は考えることを大切にしたいと思っています。

考えることを大切にするというのは、もちろん仕事も同様です。新しい領域に関わっていくのであれば、その未来がどうなっていくのか、またどうあるべきなのか、どうしていきたいのか。表面的な課題や価値抽出に留まらずに考え続け、より深く、広い視点で未来への兆候を見つけられるように積極的に関わっていきたいです。

インタビュー/柴崎卓郎 butterflytools
写真/牧野智晃 〔4×5〕


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