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目指すは、「エンドユーザーファースト」の世界。新卒市場をマーケティングで塗り替える面白さ

ワンキャリアは、HRマーケットにおいて複数の事業を展開しています。そのなかでも『マーケティング事業部』は、就活サイト「ONE CAREER」をはじめ、新卒サービス全般を担う組織です。

今回のインタビュイーは、マーケティング事業部で事業部長を務める、厚地です。グローバルメーカーのブランドマネージャーを経て、ワンキャリアへ転職してきた彼に、今のワンキャリアのマーケティングに携わる面白さ、HR領域ならではのマーケティングの課題について話を聞きました。


▼こんな人に読んでほしい
・現状で成果を出せてはいるものの、頭打ち感を覚えているマーケター
・上場スタートアップのマーケティング組織のあり方を知りたい人
・採用領域におけるマーケティングに関心のある人
・スタートアップに挑戦したいと考えている人
・HRマーケットに関心のある人

▼プロフィール
厚地 峻一(あつち しゅんいち):慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、新卒でキリンホールディングスに入社しブランドマーケティングを担当。その後、オーストラリアの事業会社へ、ブランドマネージャーとして赴任。2023年4月にワンキャリアに入社し、マーケティングチームマネージャーとして就活サイト「ONE CAREER」のブランドマーケティングに関わる。2024年1月にマーケティング事業部 事業部長に就任。

ブランドがユーザーに愛され続けるための施策を考え続けてきた 

ー 自己紹介もかねて、ワンキャリアに入社されるまでのキャリアについて簡単に教えてください。

2015年に新卒でキリンホールディングスに入社し、キリンビールで2年間営業として活動した後、3年目からは希望していたマーケティング部に異動しました。そこで私が特化してきたのは、ブランドマーケティングの領域です。ブランドマーケティングというのは「そのブランドがユーザーにとって中長期に愛され続けるための施策を考える仕事」です。

同社ではブランドの意思決定を担うブランドマネージャーまで務め、ユーザーにとって価値あるブランドをつくるための戦略設計をリードしてきました。主に担当していたプロダクトはチューハイです。短期的なユーザー支持の獲得と中長期的に愛され続けるための取り組み、両者をいかにバランスよく実行するかを考え続けました。

(マーケティング事業部 事業部長 厚地 峻一)

その後オーストラリアに渡り、日本のブランドを現地のお客様に合わせローカライズする仕事にも携わりました。中国、インド、イングランドと全てのメンバーの国籍が異なり、多様性のある環境でした。カオスな状況でブランドマネージャーを務めるのは大変でしたが、面白かったです。

※厚地さんの学生時代からキリンホールディングス時代の詳細なキャリア、なぜマーケターを志したのかについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。


ー 2023年4月にワンキャリアへ転職され、事業部長としてどのような仕事に取り組まれていますか?

私が携わるのは新卒事業全般です。コンテンツ、イベントや広告など、ワンキャリアが学生に接点を持つ全ての領域において、どのように動くかを考えています。これまで主に有形商材を扱ってきたため、Webの領域はまだまだ勉強中です。新しいことを吸収しながら、ユーザーにとって価値のあるブランドをつくるために動いています。

「学生に可能性を提示するための後押しを」新卒事業を支える5つの領域 

ー マーケティング事業部が担うミッションと役割について教えてください。

私たちのミッションは、さまざまな選択肢を学生の皆さんに提案し、自分らしいキャリアを踏み出すための後押しとなることです。学生の皆さんにキャリアの可能性を提示し、幅広い選択肢を持ってもらえるための接点をデザインできるのは、学生とコミュニケーションする全ての領域を担う私たちならではです。この考えを元に、事業部内の役割や仕事を紐付けています。

ー どのようなチーム編成で仕事をしていますか?

 現在、兼務のメンバーも入れて9名で動いています。うち新卒入社のメンバーが2名おり、若手を育成しながら組織を拡大している最中です。チーム編成は、「ブランドマーケティング」「コンテンツマーケティング」「リサーチ」「事務」「事業戦略」の5領域からなります。

 ブランドマーケティングでは、ユーザーに対し積極的なコミュニケーションを図ります。例えば広告を配信したり、イベントを設計したりと、目に見えやすい形でユーザーとの接点をデザインするのがこのチームです。コンテンツマーケティングは、あえてブランドマーケティングと切り離し、1つのチームにしました。「ONE CAREER」におけるコンテンツは、私たちがユーザーに届ける価値の一番中心にあるからです。

 リサーチは、最近組織化されました。マーケティングにおいて、ユーザー理解は何よりも重要だと私は考えます。いろいろな属性の学生から声を集めるなかで、ユーザー・組織・マーケットへの理解を促進し、事業部全体がより高い水準で物事を捉えられるよう後押しするのがこのチームです。

 事務は、マーケティング組織の潤滑油です。メンバーが動きやすいよう、環境づくりをしています。

 事業戦略は、いろいろな機能を分化する組織が有機的に機能するよう、横串を刺す役割です。このチームは、攻めと守り、2つの領域から組織を支えます。攻めの領域では、数字を伸ばすために、社内外でのコラボレーションを推進します。守りの領域では、取り組みに抜け漏れがないか、取りこぼしがないかなどを管理します。


ー 現在のマーケティング事業部には、どのような専門性を持つメンバーが集まっていますか?

 シニアマネージャーである松本と林と事業部長の私、計3名の専門性がはっきり分かれているのが特徴です。私は、ナショナルブランドと言われる、世界中のありとあらゆる人に知ってもらうためのマーケティングに取り組んできました。

 コンテンツマーケティングを担当する松本は、ワンキャリア1人目のマーケターとして入社し、今日のワンキャリアの礎をつくり、一手にマーケティング領域をリードしてきた人物です。スタートアップという環境で、道を切り開いていくスキルと経験があります。リサーチと事務を担当するは、リサーチ領域のプロです。前職がネスレのリサーチャーということもあり、私と同じくグローバルの知見を持っています。業界トップレベルのユーザー理解力とスキルを兼ね備えており、私や松本の意思決定をデータから支援できる人でもあります。

複雑化する新卒マーケット。HRマーケで求められるピースは多様性だった

ー 3人の強みが重なり合う中、マーケティング事業部の機能としては網羅されている印象を受けました。今一番足りていないピース、ここを強化したいというところはありますか?

より多様性のある組織にしたいのですが、網羅的に足りていませんよ(笑)。例えばマネージャークラスなら、事業戦略というピースが足りていません。戦略と経営、それぞれの目線からマーケティングというピースを上手にまとめるということにはまだまだ課題があると考えています。

メンバークラスでは、オフラインマーケティングに強い人材が不足しています。新卒採用業界の特徴として、ブランドマーケティングとWebマーケティングに加え、オフラインにおけるコミュニティマーケティングも重要だからです。

ー なぜ、オフラインのコミュニティマーケティングを重要視するのでしょうか。

学生を取り巻くマーケット環境が複雑化しているからです。ワンキャリアでは、私たちが企業と学生をつなぐコミュニケーションに取り組み、セールスが学生と企業のコミュニケーションを促進させています。しかし学生たちは、先輩や同級生とのネットワーク、大学のキャリアセンター、SNSなど、さまざまな場所から日々情報を集めています。

さまざまな接点からいろいろな情報を吸収することでキャリアが開けていくからこそ、今のサービスだけでは、学生への支援は完結しないと考えています。具体的には、大学のキャリアセンターや各種団体など、さまざまな社会コミュニティと接続していく必要があります。その活動を通し、同じ思いを持つ学生が集まるエコシステムがつくれたらいいかもしれません。マーケ組織の機能を高める意味でも、コミュニティマーケティングに強い人材は今後必要となるでしょう。


ー 代表の宮下が元マーケターですが、経営陣のマーケティングへの理解度や関わりについてはいかがですか?

 マーケティングに対し関心が高く、支援が手厚いと感じています。マーケティングは、お金を使いユーザーとコミュニケーションを図るため、打つ施策のリターンを同時に求められやすい傾向にあります。企業によっては、短期的な回収を急かされるケースも少なくありません。しかしワンキャリアは、「人の数だけ、キャリアをつくる。」というミッションが社員はもちろんインターンの学生にまで浸透しているからこそ、その実現に向けた中長期的な投資に対し、前向きな議論がされています。

 例えば、エンドユーザーファーストでサービスをつくれる人材の育成。私たちで言うなら、リサーチ人材の育成が当てはまるでしょう。リサーチは短期間で大きく売り上げを生んだり、ユーザーの支持を大きく回収できたりするものではありません。しかし中長期的な視点で見れば、リサーチャーが育つことでユーザーの正しい理解が進み、適切な価値を提供するための組織の下地ができます。

 何より、事業会社におけるマーケティングは経営に近い側面を持っています。短期・中長期でどのようにリソースを分配し、回収していくかを判断する。経営と同じような判断が迫られるからこそ、経営陣にも我々マーケターの悩みを共有しやすく、理解いただけていると感じています。


「売り上げや事業規模に対し、圧倒的に支持率が高い」事業部長が分析するONE CAREERの強み

ー 今後、新卒マーケットにおいて、どのような変容をもたらしたいと考えていますか?

一言でいうなら、ユーザーが最も望む形でキャリアを考えられるようなマーケットへの変容です。今のマーケットは、学生に対し、最適な就活を提供できていない気がしていて。

 例えば、合同企業説明会(以下、合説)。転職することが当たり前になりつつある時代において、企業という軸で学生はキャリアを考えるかというと、そうとは限りません。職能で選ぶ人もいれば、ライフステージに合わせて柔軟に働き方を変えられるかで選ぶ人もいます。

 自身にとって必要なピースからキャリアを考える学生が増えるなか、今の就職マーケットはそのニーズに合っていないなと。学生たちが、企業というスコープからいろいろな働き方を考えるなかで、「自分のニーズにどこまで合わせられるだろうかと?」と変換しているのが実態だからです。

 シームレスに自身のキャリアを考え、選べる世の中にするため、合説などの各種イベントやコンテンツにおいて、企業を選ぶという設計のあるべき論から再設計しようと議論をし始めています。


ー ワンキャリアのどのような強みを活かせば、厚地さんが目指す世界を実現できると思いますか?

私たちのサービスの強みは、学生から定量的または定性的なフィードバックが受けられる点です。「ONE CAREER」は、学生が一番頭を悩ませる「選考対策」の部分で支持を得ています。悩みやそこに至る感情も含め、他のサービスよりも共有される情報やデータが多いからこそ、他にはないアイデアが得られます。


ー マーケットにおけるワンキャリアの立ち位置についてはどのように考えていますか?

 売り上げや事業規模に対し、圧倒的に支持率が高いというのは、ワンキャリアの優位な点です。つまり、お金にならない価値をユーザーに提供できているということになります。例えば、2019年の「ES公開中」。今でこそ「ONE CAREER」でエントリーシートが見られることは普通となりましたが、当時としては特殊な試みでしたし、学生への影響も大きかったはずです。

 HR領域は不思議なことに、ユーザーへの価値提供がそのまま売り上げに直結しない、つまりお金に変わらないマーケットです。一般論として、短期的な売り上げを考えると、結局お金を出してくれる企業のニーズに向かざるを得ないケースが少なくありません。しかしワンキャリアは、ユーザーとなる学生の価値に応え続けることで、事業を拡大してきました。私たちの競争戦略上、ユーザーと向き合い続ける行為はこれからも必要ですし、そのポジションを突き詰めていくことも求められます。

 こうしてユーザーに寄り添ったサービスを開発し続けてきた結果、今では就活生の約3人に2人が利用するサービスにまで成長しました。今後はマスサービスにも踏み込んでいきたいです。


目指すは、日本のHRマーケットを「エンドユーザーファースト」で塗り替えられる組織

 ー ここからは、マーケティング事業部が目指す、中長期的な姿についてお伺いします。事業面で目指していきたい姿を教えてください。

ワンキャリアは、創業以来急成長をし続けている企業です。この急成長を当たり前に実現し続けていくことが、事業面では求められます。そのためにも、ワンキャリアが今提供できている価値を日本中に広げ、中長期的に日本の新卒採用における新たな基準になれたらと考えています。その一方で、HR業界に新しい変化をもたらす必要性も感じています。今後注力したい点の1つです。


 ー 組織面ではどのような状態を目指していきたいですか?

日本のHRマーケットを、「エンドユーザーファースト」で塗り替えられる組織にしたいです。他業界を経験しているからこそ、HR業界のマーケティングとそのあり方に成長の余地を感じています。ワンキャリアが掲げるコアバリューの1つである「エンドユーザーファースト」の実現に向け、マーケットをひっくり返すという取り組みはマーケターとして支えがいのあるビジョンです。その実現に向け、当たり前の基準が変わらないマーケティングチームを中長期的につくれたらと考えています。私がチームから離れたとしても、大切とすることは変わらない組織ーーそんなチームができれば、ワンキャリアはこれからのHR業界をリードする企業になるはずです。


ー 今後組織を拡大していくにあたり、どのような方と一緒に働きたいですか?

「ユーザーを理解することから逃げない人」です。ライバルから学ぶことも時には大事ですが、最後のよりどころはユーザーです。エンドユーザーファーストという精神でお客様から発想しよう、想起しようと思えるかどうかが大切になってきます。
 
 私はこれまで、ユーザーへの執着を通じて、マーケターとしてのキャリアを築いてきました。誰よりも、ユーザーへの執着は強いと自負しています。感情の部分も必要だとは思いますが、ユーザー理解こそ、マーケターとして生き残るための最大の武器だと考えています。

 特にHR業界は特定のマーケスキルでは絶対に勝てません。なぜなら、さまざまな角度からの多様なアプローチが求められるためです。「ブランド」「Web」「オフライン」、この3つのスキルがバランス良く発揮されることで初めて勝てます。何より、マーケティングスキルの多様性が広がれば、組織としてもできることが広がるはずです。

 例えば「今までのマーケティング組織で成果を出し、会社からも何となく評価をされていると感じる一方で、頭打ちを感じている人」にとって、HRはやりがいのある領域だと思います。横の広がりを知り視野を広げたい人、ご自身のマーケティング領域を拡充していきたい人がいたら、現在携わっている業界などに関係なく、一度お話ができたら嬉しいです。


今回の記事では、マーケティング事業部の事業部長を務める厚地から、今のマーケティング組織のあり方と今後の展望について語ってもらいました。ワンキャリアのことが少しでも気になった方、ぜひ以下のリンクから気になるポジションをのぞいてみてくださいね!

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企画・取材・編集:山下 麻未
執筆・撮影:スギモトアイ


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