この記事は、候補者の方に向けて書いているというより、人事として組織を観察してきた記録を残すつもりで書いています。
ただ、今はひとつ特別な局面にあります。
ZIGは現在、1つの制作チームで事業を回していますが、近いうちに2チーム体制への拡張を計画しています。
編集者をはじめとする複数のポジションで、新しくジョインしていただく方を探している段階です。
求人票には「主体性のある方」と書きます。
けれど、この言葉ほど会社によって意味の違うものはありません。
ある会社では「提案してくれる人」のことで、別の会社では「反論できる人」のことで、また別の会社では「仕事を自分でつくれる人」のことを指している。
完成した組織に入るときと、組織を倍に広げるフェーズに入るときでは、同じ"主体性"でも求められる解像度が違います。
今のZIGで私たちが主体性と呼んでいるものを、3つの具体に分解して書きます。
読み終えたときに「これは自分のことだ」と感じる方がいたら、おそらく相性は悪くありません。
ZIGの現在地
ZIGはAITuber制作に特化した小規模組織です。
東京都大田区に拠点を置き、AIを前提としたバーチャルタレントのコンテンツ制作を事業の中心に据えています。
現在、制作は1チームで回しています。
カメラマン、編集者、ADといった役割が有機的に連携し、企画から配信までを一気通貫で担う体制です。
今後この体制を2チームに拡張し、制作能力を倍にしていくことを計画しています。
小さい会社なので、肩書きや役割の境界は厳密ではありません。
これは裏を返せば、入社した人の動き方次第で、組織のかたちそのものが変わりうる状態だということです。
なぜ今、主体性の話をするのか
組織を倍にするフェーズは、完成した組織に入るのとは別種の難しさと面白さがあります。
ルールも役割分担も、まだ「仮」のものが多い。
誰がどこまで担当するのか、何をもって完了とするのか、どういう品質基準で判断するのか、そうした問いに対して、明文化された答えがまだない領域がいくつも残っています。
この状態で機能する人材には、ある共通点があります。
それを以下、3つに分解して書きます。
ZIGにおける主体性の定義
1. 役割の境界を自分で引き直せること
2チーム目の立ち上げでは、職務定義書に書かれていない隙間が無数に生まれます。
たとえば既存チームが蓄積してきた制作ノウハウを、新チームにどう移植するのか。
共通で使う資産と、チームごとに独自化する部分をどう切り分けるのか。
こうした問いは、誰か一人の担当にはなりません。
求めたいのは、「これは自分の仕事ではない」と線を引く人ではなく、「ここは自分が引き取ったほうが全体が進む」と判断して動ける人です。
境界は固定された所与ではなく、自分で引き直せるもの、そう捉えられる感覚が、この段階では特に効きます。
2. 「まだ誰もやっていないこと」に着手できること
AITuberという領域は、映像制作・ライブ配信・AI活用が交差するまだ新しい領域です。
参照できる先行事例は増えてきたものの、「こうすれば正解」という確立された型はまだありません。
この環境では、正解を探してから動くという順序では間に合わないことがよくあります。
仮説を立て、小さく試し、結果を見て修正する。
このサイクルを自分の中で完結させて回せる人が、成果を出しやすい環境です。
慎重さと着手の早さを両立できる感覚、と言い換えてもいいかもしれません。
3. 判断を持ち帰らず、その場で仮決めできること
小規模組織のスピードは、個人の判断速度の総和で決まります。
あらゆる判断を全員の承認を経て決めていると、現場は止まります。
求めたいのは、戻せる判断と戻せない判断を区別できることです。
戻せる判断については、その場で仮決めして進める。
戻せない判断や影響範囲が広い判断については、きちんと持ち帰って合意を取る。
この切り分けができる人は、小さい組織では信頼が早く積み上がっていきます。
なぜZIGでは主体性が機能するのか
以上の3つは、どの会社でも一定価値があるものですが、今のZIGでは、あれば嬉しいものではなく、なければ回らないものになっています。
理由は4つの条件が重なっているからです。
小規模組織であること。
AITuberという新領域を扱っていること。
1チームから2チームへの拡張フェーズにあること。
そしてAI活用を前提として業務を設計していること。
この4つが揃うと、決められた手順をこなすだけでは成立しない仕事が大半になります。
完成された組織では、主体性は個人の美徳として評価されます。
ですが今のZIGでは、主体性は組織が機能するための構造的な必要条件です。
この違いは大きい。
逆に、今のZIGが合わない人
正直に書きます。確立された手順とレビュー体制のある環境で専門性を磨きたい方、役割が明確に定義された中で力を発揮したい方には、今のフェーズは向かないと思います。
将来的に2チーム体制が安定運用に入れば、もう少し役割定義もプロセスも整備されていくはずです。
ただ今ジョインしていただく意味は、その安定期の運用メンバーになることではありません。
整備されていない段階で、何を標準にするかの判断に関われること、それが今だけの価値だと考えています。
最後に
2チーム目の立ち上げは、あとから振り返ったときに「あの時期にいた人たち」という固有の世代になります。
既存の型に適応するのではなく、型そのものを一緒につくっていく。
その役割を面白いと感じる方に、この記事を届けたいと思って書きました。
興味を持っていただけた方は、ぜひ一度カジュアルにお話しできればと思います。