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意外と知らないUXデザイン #4 実現するアイデアの作り方。アイデアの具体化のためのフレームワーク

みなさんは「あのアイデア、良かったけど今回のプロジェクトでは結局使わなかったね」といった経験をしたことはありませんか?

ジャストアイデアからクリエイティブなもの、機能的なものまで、どんなアイデアも具体化できなければ実際のサービスに落とし込めずに消え去ってしまいます。A.C.O.が日々取り組むプロジェクトでもアイデアは毎日生み出されていますが、日の目を見ぬまま貯蔵されているものがたくさんあります。

そこで、意外と知らないUXデザインシリーズ第4弾では「アイデアの具体化」について紹介します。主にデザインスプリントやワークショップで出てきたアイデアをどのように具体化し、サービスに落とし込めるようにしているのかを説明していきたいと思います。

「アイデアの具体化」の前段階に必要な「アイデア発散」のフレームワークについての記事「#1 天才じゃなくても良いアイデアは出せる?アイデア出しのためのフレームワークをご紹介」を事前に読んで頂くと、デザインスプリントのプロセスがより分かりやすくなるため、ぜひ合わせてご覧ください。

アイデア発散から具体化までのプロセス

デザインスプリントの工程の1つであるアイデア出しのステップを簡易表記すると、以下のようになります。

この「アイデア」のステップをブレイクダウンすると、準備→アイデア発散 → アイデアの具体化の3つのプロセスがあります。では、各プロセスを詳しく紹介していきます。


1.準備


A.C.O.で開催したデザインスプリント実践セミナーの様子

1)参加メンバーをグループ分けする

まずはアイデア出しのためのグループ分けを行います。意見を集約して合意形成をしていく必要があるため、A.C.O.ではクライアントと社内メンバーを合わせて、最大人数は10名以下にしています。その中でディスカッションしやすい2〜3名ごとにグループ分けを行います。

その際は、できるだけ職種や立場が異なるメンバーでグループを作ることで、さまざまな知見が合わさり多角的なアイデア創出がしやすくなります。

2)問いを作成する

アイデア発散までのプロセスで「課題の定義」と課題を解決するための「問い」を作成します。
参考:「#1 天才じゃなくても良いアイデアは出せる?アイデア出しのためのフレームワークをご紹介

基本的にスプリントルームにいる人は全員ワークに参加することが重要です。限られた空間の中では互いの発言や行動がワークの質を左右し、それがアウトプットに影響するからです。例えば何もしない見学者がいるだけで、参加メンバーの一体感やアイデアを考えるクリエイティブな思考が削がれてしまう可能性があります。

2.アイデア発散


1)アイデアをテキストで書き出す

定義した「問い」に答える形で課題を解決するためのアイデアをテキストで書き出します。出したものはグループごとに発表し、各グループのアイデアを全員で認識合わせします。

ここで重要なことは「どんなアイデアでも否定をしない」ということ。否定からは何も生まれません。最終的にどのアイデアを採用するかを決める時間は確保されているので、アイデア発散のフェーズでは全員が発散する作業に集中することが重要です。

2)最も良いアイデアを決める

発表したアイデアの中から最も良いアイデアをグループ内で決めます。決めきれない場合は他のグループと似ているものから排除したり、どれが良いか他のグループから意見をもらったり、投票で決めることもあります。

3.アイデアの具体化


1)ストーリーボードを作成する

グループ内で決めた良いアイデアを「ストーリーボード」に書きおこします。ストーリーボードについては、次の章で詳しく説明します。

2)グループごとに発表する

ストーリーボードに書きおこしたアイデアをグループごとに発表し合うことで、メンバー全員で認識合わせを行います。アイデアに対する疑問点や改善点について他のメンバーからも意見をもらい、アイデアに対する共通認識をとっていくことが大切です。

全体を通してかなり細かく時間を切り、かつタイトに進めていくので、クライアントには「考え、議論し、認識を合わせる」というそれぞれの作業をスピーディーに行うことが求められます。 時間制限を設定することで、速く考える力を引き出し、速く決定し、速く形にすることができる。これがデザインスプリントの最大の特徴であり最大のメリットでもあります。

ストーリーボードとは

ここからは「3.アイデアの具体化」のステップで登場するストーリーボードについてご説明します。ストーリーボードを使ってユーザーの利用シーンを描くことで「アイデアとユーザーのタッチポイント」と「アイデアによってユーザーがどのような価値(満足)を得られるか」を見える化できます。

この2つを明確にするために、4つのステップに沿ってストーリーボードを描きます。


①問題の状況:ユーザーが直面している問題がある状況

ex)満員電車の混雑で遅延しており、降りたら遅延証明書をもらわないといけない状況

②アイデアとユーザーのタッチポイント:アイデアがどのようにユーザーと接点を持つか

ex)改札でスマホをかざすと自動で遅延証明書と限定クーポンが発行された

③アイデアの効果:ユーザーがアイデアによって具体的にどのようなことを得られるか

ex)スマホで遅延証明書の確認ができ、会社にもスマホから提出できる。もらったクーポンで、期間限定でバスに無料乗車できる

④ユーザーが到達した状態:アイデアの効果によってユーザーは結果的にどう思ったか、何を良かったと感じたか

ex)満員電車は辛いけど遅延証明書を自動で発行してくれると、窓口で並ばなくて良いから時間短縮できるし、手間が省ける。無料クーポンがもらえることで、別の交通機関をお得に利用できるのは嬉しい。

このステップを踏むことでアイデアの価値を具体化することができ、自分以外の人ともアイデアについて共通認識を持つことができます。

ゴールは絵を上手く描くことではない

ストーリーボードのフレームワークを紹介すると、絵を上手く描かなければいけないと身構える人がいます。もちろん上手く描けるとシーンが分かりやすくなるし、人にも伝えやすくなります。

でもそれは直接的なゴールではありません。達成しなければいけないことは、ユーザーが生活の中でアイデアにどのように触れ、どのような価値ある体験ができるのかを明確にすることです。

これらのステップをストーリーボードを使って説明できることが重要です。そのため説明力が大切になってきます。ストーリーボードはあくまでも参加メンバーと認識合わせを行うためのツールなのです。

アイデアを実現するためにブラッシュアップしていく

ワークショップでは、1つのグループが作ったストーリーボードに他のメンバーの意見を反映してブラッシュアップしていきます。

アイデアを実現するために改善した方が良いことは何か、部分的に別の方法を採用した方が良いところはないか、実際に開発する際の障壁はどのようなことか、など、他の人の知見が混ざることでより実現性の高い良質なアイデアへと昇華させることができます。

そのためワークショップに参加するメンバーの専門性や組み合わせにも配慮しましょう。

たくさん出たアイデアから今実現すべきものを取捨選択することが最後の大仕事

アイデアの具体化における大切なポイントが少しでも伝わったでしょうか?

アイデア発散から具体化のプロセスでは、さまざまな粒度のアイデアが多岐にわたって出ることが多いです。すぐ実現可能なものから、将来的に条件や環境が整った時に実現できるもの、サービスが拡大した時に実現できるものまで多種多様です。

そのため、クライアントにとってはどのアイデアを最初に開発し、実装するのかを決めることが重要になります。良質なアイデアが出れば出るほど、すべて作りたくなってしまうのですが、限られた予算と開発期間でできる範囲に絞る決断をしなければなりません。この決断を下すフェーズについても本シリーズ内で紹介していきます。

また他にも、IoTを初めとした技術やデータを活用したサービスを考えるためのアイディエーションフレームワークも開発中なので、こちらも出来次第お伝えしていきます。

今後も「意外と知らないUXデザイン」シリーズにご期待ください!

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