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脳性麻痺の私が一人暮らしを楽しめるまで〜「依存先」を探すことが自立への第一歩〜

【ヘルパーに頼む?一人でチャレンジする?】

障害のある人が一人暮らしをする場合、ヘルパーさんを利用するケースが多いと思います。(もちろん、使わない方もいらっしゃいます。)

私の場合は、朝1時間半、夜2時間「居宅介護支援」という制度を利用してヘルパーさんに来ていただいていました。

居宅介護(ホームヘルプ)とは、ホームヘルパーが自宅を訪問して、入浴・排泄・洗濯・掃除などの家事、生活などに関する相談や助言など、生活全般に渡る援助を行います。
(出典:WAM NET 居宅介護(ホームヘルプ))

具体的には、以下の内容をヘルパーさんに依頼していました。

朝…掃除・洗濯物干し

夜…入浴・夕食作り・ベットメイキング

これ以外のことは、ほぼ一人でこなしていました。

当時の1日のスケジュールはこんな感じでした。

7:30  起床

7:40   ニュースを見る

7:50 ~ トイレ・朝食作り

(仕事の日は、同時にお弁当も!)

8:00 〜 朝食・弁当つめ

8:15 ~ 洗顔・歯磨き・洗濯機のスイッチオン!

8:30 ~ 朝のヘルパーさんが来る

(洗濯物干し・食器の片付け・掃除)

9:00  仕事へ

17:00 終業

18:00 帰宅途中に夕食の買い物

18:30 帰宅・夜のヘルパーさんと合流!

19:00 夕食の下ごしらえ・入浴

19:30 夕食の仕上げ

20:00 ヘルパーさんとお話ししながら夕食

21:00 ヘルパーさんご帰宅

(見送った後、台所の片付け)

21:30〜テレビ・YouTube・電話など 自由時間

0:00  就寝

とこんな感じでした。

見てもらうと分かる通り、1日にヘルパーが来る時間が限られているので「自分でできること」「ヘルパーに頼むこと」をしっかりと見極める必要があります。(すべてヘルパーに頼んでいると、時間がオーバーしてしまう)

例えば、洗濯機を回すことは、一人でもできるけれど、洗濯バサミを使って干すのは難しいので、ヘルパーさんにお願いするという感じです。ということで、私は朝の支度をなるべく一人でこなしていました。(寝坊したときを除く)

そのおかげで、簡単なお弁当なら一人でも作れるようになりました。

【より丁寧にコミュニケーションを!】

一人暮らしの最中、毎日朝と夜に来てくれていたヘルパーさん。毎回、同じ方が入ってくれるわけではありません。人と人との関係なので、中には自分と合わない人もいらっしゃいました。

例えば、私に来た郵便物を勝手に捨ててしまったり「良かれ」と思って、私が1人でもできることを先回りしてやってしまう人もいました。実家ならば、長年一緒に住んでいる両親が「言わなくてもわかる」「暗黙の了解」というように言わなくても伝わることが多かったです。

しかし、ヘルパーさんは当然ながら他人。実家にいるときよりも、丁寧にコミュニケーションをとることが求められることにすぐ気がつきました。そこで、NHKの「バリバラ」を視聴し、ヘルパーさんへの指示の出し方を勉強してみました。

例えば、野菜を切ってもらいたいときに「一口大に切ってください」と伝えてみるとか。テレビから得た情報を見よう見まねで真似しているうちにヘルパーさんたちからも「ユイちゃんの指示、わかりやすくなった」とお褒めの言葉を頂きました。

もし、自分と合わないヘルパーさんに会った時もコミュニケーションを取ることが大事と気がつきました。自分の言葉で「やってほしいこと・やってほしくないこと」を明確に伝えるように心掛けました。(実際に私が作ったお弁当です)

【道具を効率よく使う】

私は、上肢にマヒがあるので、細かい作業がとても苦手です。洗濯をする上で、液体洗剤を頻繁にこぼして、床を汚していました。そこでヘルパーさんに相談したところ、「固形状の洗剤」を使えば良いというアドバイスを頂きました。他にも、百均で手に入れたアームバンドを使用することで、洗い物をするときに何度も腕をまくらなくて良くなりました。


(実際のアームバンドです)

実はこの一人暮らしを始めるまで、家事をあまりしてこなかった私。なので最初のうちは、右も左も全くわかりませんでした。しかし、ヘルパーさんのアドバイスをもとに、試行錯誤を重ねることで、自分でできることを増やしていきました。

【新たな楽しみ】

ものすごくさみしがり屋の私。最初のうちは、夜になるととても寂しくなってしまい、実家や男友達に頻繫に電話していました。しかし、ヘルパーさんに料理を教えてもらったり、同級生を呼んで鍋パーティーをしたりと新しい趣味を徐々に見つけていきました。

一人暮らしで一番良かったことは「自分の好きなタイミングでお酒が飲める」ことでした。実家にいたときは、両親ともにお酒を飲まないので、家でお酒を飲むということをしませんでした。だからこそ、自分の好きなタイミングで晩酌ができたことがとても嬉しかったです。

他にも、知り合いと夜遅くまでカラオケをしたり、近所のタピオカ店をめぐって自分のお気に入りのお店を探したりと、自分らしい一人暮らしを満喫していました。


(タピオカ店の看板)

【一人暮らししたい障害者の方へ】

最後になりましたが、これから一人暮らしを目指す障害者の方へアドバイスをしたいと思います。私は一人暮らしを始める前、本当にできるのかとても不安でした。始まって2ヶ月ほどは、「楽しみ」よりも「不安」の気持ちが強かったのを覚えています。

しかし、時間がたつにつれて、上記のような新しい楽しみを見つけることができました。「新しいことに挑戦する不安」は誰もが抱えていると思います。しかし、その不安をいつまでもそのままにしておいたら何も行動できません。

「自立とは依存先を増やすこと」-。これは、脳性麻痺の小児科医、熊谷晋一郎さんの有名な言葉です。実家にいたころは100%両親に依存していましたが、実家を出て、ヘルパーさんや友人など、いろんな人に頼っていく中で、この意味を理解することが出来ました。なので、一人暮らししてみたいけれど、不安という方は「どこに依存すればいいのか」を探し始めるところからスタートしてみましょう。

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