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取締役が語る!【あすけんのミッション】 食・栄養学 × テクノロジー = 健康

こんにちは!採用担当の本杉です。早いもので、あっという間に年末ですね。

年内最後の記事はasken取締役から、ミッションについてのお話をさせていただこうと思います。

ミッションに込めた想いや背景など、お読みいただけると嬉しいです!


はじめに

みなさん、こんにちは。askenの天辰(あまたつ)といいます。Wantedlyのストーリーに初めて記事を投稿することになりました。ほとんどの方、はじめまして。

私は2007年に、後に「あすけん」になるヘルスケアIT事業の企画を作り事業と会社を立ち上げました。以来、15年以上にわたり「あすけん」に関する様々な仕事をしてきましたが、直近では主に全社戦略の立案や経営に関すること、医療事業などを担当しています。

今回は経営担当がWantedlyに投稿する初めての記事ということで、あすけんのミッションとテクノロジーについて思いを書いていこうと思います。

あすけんのミッション



あすけんのミッションは「ひとびとの明日(あす)を今日より健康にする」というものです。

事業・プロダクトの企画を具体化していく中で「明日の健康研究所」というコンセプトワード的なものが発案され、その略称・呼称のような形で「あすけん」という名前になりました。さらに「あすけん=明日健」という名前を生かす形で端的な言葉にしたのが上記のミッションです。

事業・プロダクトの根っこにあるコンセプト、プロダクト名とミッションがシンプルに連なっていて、個人的にはとても気に入っています。

(余談 :「あすけん」という名前が発案された2007年は、マツケンサンバ(Ⅱ)のインパクトが未だ冷めやらぬころでした。「あすけん」と聞くと、頭の中に「マツケンサンバの歌と踊り、金ぴか着物」が浮かんできてしまい、微妙な気持ちになっていたことは内緒です)

ミッションやビジョンについて、いずれもっと深堀りして記事を書こうと思いますが、今回の記事の本題はこの先なので今日はこの辺で。

食・栄養学とテクノロジーの力で

では、健康づくりをお手伝いするために私たちが何をするのか。健康を実現すれば手段はなんでもよいと考えることもできますが、私たちは「食・栄養学テクノロジーの力で」というテーマにフォーカスしています。

健全な企業・事業・プロダクトのミッション・ビジョンであれば、いずれも「より多くの人を幸せにすること・社会をよりよくすること」という人間活動共通のゴールを目指しています。様々なミッションの違いを、私は「ゴールに至るためのルートの違い」だと捉えています。A社は人との交流を通じて、B社はより快適な移動手段を通じて、C社は環境改善を通じて・・・、いずれにせよ「人を幸せにする・社会をよりよくする」ことを目指すことは変わらず、そのための手段が違うわけですね。

あすけんは「より多くの人を幸せにすること・社会をよりよくすること」というゴールに向かうルートとして、「健康づくり」を選んでいます。さらにその「健康づくり」を実現するために「食・栄養学」と「テクノロジー」を活用するというより具体的なルート・手段も明言しているイメージです。

「健康」と「食・栄養学」と「テクノロジー」が重なり合うところが、あすけんの事業領域です。この重なり合う領域以外のことはしないという宣言でもあります。食に関係ない運動中心のサービスなどを作る予定もありません。

では、なぜ私たちは「健康」・「食・栄養学」・「テクノロジー」に注力しているんでしょうか?

理由①歴史と食

1つ目の答えは、あすけんの成り立ちにあります。たまに誤解されるのですが、asken社(会社名は英語で表記)は独立系のベンチャー企業ではありません。1947年に創業し、2022年には75周年を迎えたグリーンハウス社の新事業としてasken社が生まれ、今でも同社が100%出資している子会社です。

そのグリーンハウスのコントラクトフードサービス(社員食堂・学校給食・病院食などの食事提供形態)には、以下のように素晴らしいリソース・ポテンシャルがありました。

  • 管理栄養士・栄養士が1800人以上在籍していた
  • 栄養指導やイベント等を30年以上続けてきてノウハウが蓄積されていた
  • 大手企業の社員食堂を中心に飲食関連店舗が2500カ所以上あった

これらのリソースを最大限に生かし、食と健康に関する思いを継承した事業を立ち上げて今も維持しているということが、私たちの縦糸です。

理由②テクノロジーの重要性

「理由①に書いたリソースにITの力をかけ合わせれば、今までにない新しい価値を生み出せるのではないか」という考えからプロダクト・事業を発案したのが「あすけん」です。

食事指導の大事な要素の1つが栄養計算です。「その人がどれくらい栄養を摂るとよいか」というも目標・基準を定め、「その人が食べたものの栄養素はどれくらいか」を計算し、その差分・過不足に応じたアドバイスを行います。

食べたものの栄養計算を人力で行うことはかなり手間がかかります。管理栄養士が対象者の方から、口頭や紙の記録表を通じて把握した喫食情報を、電卓などで計算する必要がありました。

その辺りの大変さについて、病院での栄養指導経験が豊富な、あすけん管理栄養士の黒田さんのインタビューでも触れられていますので引用します。

日々勤務する中で、栄養相談についての課題を考えることが年々増えていきました。患者さんの食事内容について聞き取りをして、その内容を紙に書きとって、電卓を叩いて栄養計算する、超アナログな作業の連続です。そちらにばかり時間がとられて、患者さん自身が今できることはなにかを考えたり、続けられそうな食事療法を見つけ出す時間が短いなと感じていました。

この課題を解決するため、一人一人の最適な目標栄養摂取量を計算するロジックを整備し、メニューデータベースを独自に構築して過不足を計算する仕組みを作りました。

さらには、栄養の過不足状況に応じて自動的にアドバイスを生成するアルゴリズムを開発し、今に続くあすけんの原型ができました。

特に、今では15万件を超える豊富なメニューデータベースとアドバイスの自動生成機能には、多くの栄養士さんのノウハウ・労力・思いが詰まっている、あすけん自慢の機能です。

サービス立ち上げ当初から中核を担っている道江さん(管理栄養士・取締役)が、2010年ごろにこんなことを言っていました。

栄養士がカウンセリングできるのは1日5~6人とかだったけど、あすけんに関わって、ITの力があれば何万人もの人に届くんだってわかってすごいことだと思ったよ。

テクノロジーの価値が、実感を伴った飾らない言葉で表現されていて、10年以上だった今でも印象に残っています。

2007年当時はDXという言葉はありませんでしたが、今でいうDX新事業の立ち上げそのものですね。

昔ながらの方法で丁寧に野菜を作り、手作りの健康弁当をお届けすることなども素晴らしい健康づくりのお手伝いだと思いますが、テクノロジーの力を使わずにスケールさせ"より多くの方に価値をお届けする"ことは難しい。

テクノロジーの力は、人の力を何百倍にも何百万倍にも拡張できることを実感しています。これからもテクノロジーの力を最大限に生かすことで、圧倒的多数の方に食と栄養学の価値をお届けするという点にこだわっていくつもりです。

理由③行動変容における選択と集中の重要性

出発点は食と栄養学ですが、運動・睡眠など近接領域にどんどんと手を広げていくことももちろんできました。が、領域を拡大せず、創業16年を迎える今でも変わらず「食・栄養学 × テクノロジー」にフォーカスし続けています。

大きな理由の1つは、「行動変容分野での選択と集中」が大切だと考えているからです。「食・運動・睡眠・身体情報 etc...を1ヵ所で管理できるヘルスケアプラットフォーム」など総合的なサービス・プロダクトを1つの会社・事業で展開することは得策ではないと私は考えています。理由は以下の2点。

1.リソースが分散し、中途半端なプロダクトになりかねないから

食・運動・睡眠・瞑想・禁煙・排便管理・遺伝子・習慣化 etc…

「ヘルスケアIT」に含まれるサブカテゴリーは多々ありますが、どのカテゴリーにも、そこだけに特化して命がけで挑んでいる起業家がいます。研究者がいます。会社・事業があります。

あすけんは食に特化しているわけですが、食生活改善プロダクトで中核要素の1つであるメニューデータ(あすけんでは15万以上)を独自に構築するだけでも○○人が配置され合計○○時間がかかっているんです!!!・・・と書きつつ、具体的な数値は企業秘密です。すみません。一つの要素を極めるだけでも大変だというイメージを感じていただければ幸いです。。。

それぞれの分野に命がけのプレイヤーがいる中、総花的に広い要素をカバーするようなプロダクトを開発しても、1つ1つの領域の練度・完成度で勝てないんですね。膨大な資金があり優秀なメンバーが多数いれば何とかなるかというと、案外とそうでもなく。

数々の事業撤退を見てきましたが、長く生き残っているプロダクトはおおむね1つのカテゴリーで独自の価値を提供し、ファンづくりに成功しているものだと考えています。

askenもまだ50人を少し超えた程度の企業規模です。強みが生きづらい領域に次ぎ次ぎと手を広げるよりも、食・栄養学領域という中核の価値を磨くことに圧倒的なプライオリティを置いています。

2.「何でもできること」はユーザー価値に結びつかない。なぜならユーザー側のリソースも限られているから

仮にどのサブカテゴリーについても素晴らしい機能を持った総合ヘルスケアシステム・アプリを作れたとして、それが本当にユーザーさんたちの役に立つ・広がるかというと、それでもなお課題があると考えています。

ユーザーさんには時間・経済力・意志力といったリソースが限られているからです。

  • 「このサービスを使うには、始めに遺伝子解析を行い、ウェアラブルや体組成計を買い、サブスクリプション型でサプリを買い続ける必要があります」などとなれば、料金はもちろん高額になる
  • 料理・運動・睡眠・瞑想など、それぞれ大なり小なり時間を投下する必要がある
  • 行動を変えるには意志の力が必要。意志の力は無制限ではなく、有限のリソース
  • 単一の行動を、かなりの期間、反復的に実行し続けることでようやく習慣になる

経済力と時間はわかりやすいと思うのですが、見落とされがちなのが「意志力」が有限のリソースだという観点です。

意志力に関する本では、ロイ・バウマイスターさんの『WILLPOWER 意志力の科学』やケリー・マクゴニガルさんの『スタンフォードの自分を変える教室』が有名です。健康・生活習慣改善の文脈で意志力をとらえれば、誘惑に耐えてよい行動をする/わるい行動を止める力と言えると思います。

重要なのは、この意志力は有限で、使うと消耗してしまうという点です。朝起きてランニングを始め、好きだったお菓子を止め、夕食はお米も減らして低炭水化物ダイエットをしよう!資格の勉強も始めて・・・などの、いくつもの新しいことに取り組もうとすれば、あっという間に意志力を使い果たしてしまいます。

健康のためには、「たまによいこと」をしてもほぼ無駄です。大切なのは習慣化して長く続けること。歯磨きのように習慣になってしまえば、たいした意志力を使わずに行動できるようになります。逆に言えば、習慣になるまでは毎回意志力を消耗します。具体的にどれくらいの期間継続すれば習慣になるかについては諸説ありますが、1つの健康習慣が身につくまでにはかなりの期間がかかります。

健康づくりのためには、様々な面で生活習慣を変える必要があることは事実なのですが、そのためには1つ1つの健康行動を長い期間かけてじっくりと習慣化していく必要があります。

「総合ヘルスケアサービス」から、なんでもかんでも一気にダメ出し・改善アドバイスを受け取っても、「結局は何も健康習慣が身につかなかった」という結果になりがちだと考えています。

終わりに

初投稿ということもあり、書きたいことが盛り沢山になってしまいました・・・。こんな長文を読んでくれる人がいるんだろうかと心配ですが、ここまでたどり着いてくださった方、本当にありがとうございます。

あすけんのミッションと事業領域やこだわりについて少しでもご理解いただければ幸いです。

次回以降、もう少しテクノロジーやビジネスなどについて具体的なことを書いていきますね。

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