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個人プレーからチーム思考に - 鼻をへし折られながら学んだチームワークの大切さ

弁護士ドットコムが運営する日本最大級の法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」は、悩みを抱えている人が弁護士に法律相談をしたり、最適な弁護士を検索できるサービスです。2005年にサービスを開始してから、今では月間1,400万人以上の方々に利用されるサービスへと成長しています。

この「弁護士ドットコム」を運営する弁護士ドットコム本部で、デザイン部の部長を務めるのが金子 剛です。現在は部長としてチームづくりの立役者となっている金子ですが、過去にはチームワークに苦しんだ苦い思い出がありました。そんな金子がどうやってチームワークを学び、なぜ今、弁護士ドットコムで働くのか。お話を聞きました。

語り手:金子 剛
幼少期から父の仕事の影響でPhotoshopを遊び道具にする。PC-98で出会ったRPGツクールにのめり込みこのときに変数という存在を知る。ウェブ黎明期にテキストサイトにハマり、個人サイトを開設。サイト素材などを配布することで人生初のバズを体験。Flasherを目指して上京するも、新卒入社と同時期にジョブズがFlashはもう要らないと発言し、絶望。
その後はコーダー → UIデザイナー → UXディレクター兼プロダクトマネージャーとキャリアを積み、ヤフー株式会社や株式会社サイバーエージェント、株式会社リブセンスを経て、現在は弁護士ドットコム株式会社にて、「ユーザー中心なものづくり」をモットーに奮闘中。
note:https://note.mu/osi_ire
聞き手:石原(人事)

一人で淡々と打ち込むデザイナー少年

— 金子さんは学生時代、どんな風に過ごしていたのでしょうか。

勉強は嫌いで、とにかく絵を描くのが好きでした。小学生の頃にインターネットの世界に触れて、自分の絵をネット上に公開したりしていましたね。父親の仕事の関係もあり、家のパソコンにはPhotoshopがインストールされていたので、Photoshopを使ってポケモンキャラクターの絵を描いたりしていました。田舎に住んでいたせいか、近所にあまりキャラクターグッズが売っていなかったんですよ。だから全て自作していました。攻略本に描かれている絵を参考にしながらPhotoshopでピカチュウを描いて印刷して、下敷きの間に挟んでオリジナルのポケモン下敷きをつくったりして。友達にもプレゼントしていました。なので当時は漠然と、将来はゲームのキャラクターデザインをしたいと思っていました。

高校生になってノートパソコンを買い、自分のパソコンを手に入れてからは、Flashの勉強をしてサイト制作を始めていました。

— 部活には入られていたのでしょうか。

祖父が剣道の師範だったので、その影響もあってか中学では剣道をしていました。が、全然勝てなくて(笑)。高校では剣道がむちゃくちゃ強い従姉妹が剣道部にいたので、気恥ずかしくなり、水泳部に入りました。

— てっきりパソコンばかりいじって、スポーツは全くしていないのかと思っていました(笑)。

はは、でもチームスポーツは苦手でした。剣道も水泳もそうですが、一人で淡々と練習できるスポーツが好きでした。人とコミュニケーションをとるのが嫌いだったんです。

— 今、部長をされていることを考えると、これまた意外なお話。大学の進路はどうしたのでしょうか。

高校生くらいから将来は「デザイナーになりたい」と強く意識するようになりました。世の中にないモノをつくる仕事に憧れ、いつか自分がつくったモノを周りに「これ、自分がつくったんだよ!」と言えたらかっこいいなと思いました。

とはいえ美大はハードルが高く、結局プロダクトデザインの勉強ができる長岡造形大学という地元の大学に進学しました。結果的にはここに入学して本当によかったと思います。長岡造形大学には、自動車や家電、ネットサービスなど、企業のプロダクトデザインに携わっている人が講師として来ていて、芸術の話ではなく売れるモノをつくるためのマーケティングを意識している人たちからデザインを学ぶことができました。

チームの信頼を得られない悔しさ

— 新卒で入社した会社ではどんな仕事をしてきたのでしょうか。

ヤフーでウェブデザイナーとしてコーディングやFlash制作を担当していました。当時はスマートフォンが出始めたタイミングで、ウェブサイトをスマホ対応させようという動きが活発でした。ヤフーでは、展開しているあらゆるサービスサイトを「すべてスマホ対応させるぞ!」と掲げられたため、そのおかげで新人の自分にも新規のサービス立ち上げに関わらせてもらうことできました。タイミングがよかったです。

— ヤフーから転職するきっかけはなんだったのでしょうか。

入社して3年くらい経った頃、僕はヤフーが買収したGYAO!に出向していました。その時のGYAO!の環境がものすごく楽しくて。GYAO!はヤフーと比べて大きな会社ではなかったので、デザイナーもエンジニアもプロデューサーも、職種関係なく、みんなで膝を突き合わせて話し合いながらわーっとモノづくりしているのが、とにかく楽しかった。「こんな働き方があるのか」と思い、ベンチャー企業で働きたいと考えるようになって、サイバーエージェントへ転職することにしました。当時、サイバーエージェントは「新規事業を104個立ち上げる」と言っていて、「アツい!」と思ったんです。

— サイバーエージェントでの仕事はどうでしたか。

いやー、ここで鼻をへし折られましたね。サイバーエージェントでは全く自分のバリューを出せなかったと思います。

— えっ、何事ですか!

いやですね、チームで働くということが全くわかっていなかったんです。自分のバリューを出そうと必死になっていて、「俺が俺が」状態。でも出しゃばるわりにはなんの能力もなくて。扱いづらい第二新卒だったと思います(笑)。

関係性を築くのがとにかく苦手で、スクラムとか始めるとメンバーから自分に対する不信感を痛烈に感じました。フィードバックでも、「金子さんは野心が強いけど、信頼はされていないよね」って言われて。ダメだなぁと痛感しましたね。「成果を出さなきゃ」と思えば思うほど空回って信頼されなくなる…そのループに陥っていました。

でも、サイバーエージェントでメタメタに折られたからこそ、チームワークや信頼関係の大切さを学ぶことができました。これだけメタメタだったからこそ、自分自身「ちゃんと考えないと」と意識できたと思います。

— 自分の考えや振る舞いを変えていくのって、すごく難しい課題だと思います。どうやって変えていったのでしょうか。

次に転職したリブセンスで、変わることができたと思います。僕がリブセンスに入社した時は、まだリブセンスではウォーターフォール型のモノづくりを行っていて、その文化を変えることができたのが自分のターニングポイントではないでしょうか。

サイバーエージェントのモノづくりはすごくモダンだったので、まずその考え方をリブセンスのデザイン組織に輸入しました。「こうやってスクラムを始めるんだよ」とか「職種横断的にモノをつくろう」とか、皆に伝えて少しずつ文化を変えていきました。元々エンジニアがそういった改革を先行して進めていたので、わーっと盛り上がってどんどん文化が変わってきました。

— 金子さんにとって、リブセンスで一番の経験はなんでしょうか。

転職支援サービスの「転職会議」にジョインさせてもらったことです。当時はまだまだ発展途上のサービスでしたが、コミュニケーションはうまくいかないことだらけ。メンバーは尖った人ばかりで、社内ではスラム街なんて呼ばれている部署でした(笑)。

コミュニケーションがうまくいってない様子を見て、サイバーエージェントの頃に周囲とうまくいっていなかった頃の自分が言われたことを思い出し、「信頼関係を築くことや職種越境型で仕事をすること」、「会話を大事にすること」、「皆でモノづくりすること」をメンバーに伝えていきました。そうすると次第にチームもまとまってきて。チームがまとまっていくと自然と業績も伸びていきました。これが僕の成功体験ですね。苦かった経験をひっくり返して、「クズからちゃんとしたデザイナーになれた」と自信が持てました。

同じ価値観の仲間と一緒に

— 弁護士ドットコムに転職したきっかけはなんでしょうか。

実は、リブセンスから転職する気は全くなかったんです。サイバーエージェントでは跳ね返っていた自分も、リブセンスでリーダーを任されるようになり、人望が得られてきた頃でした。

そんなある時、ユーザー体験のためにリブセンスが運営する「転職ドラフト」にアカウント登録してみたところ、佐伯さんからスカウトメールが送られてきたのが弁護士ドットコムを知るきっかけでした。それはそれは素敵なラブレターで(笑)。「そこまで言ってくれるなら1回に会いに行ってやるか」くらいの気持ちで面談に行ったら、入社する流れになってしまいました(笑)。

佐伯さんはデザインを非常に広義のものとして捉えていて、これまでUX設計やデザイン思考に知見のあるデザイナーの上司と働いたことがなかった自分にとって、「こんな人と一緒に働けたら!」とワクワクしました。リブセンスでは自分が旗を振ってモダンなデザイン文化に変えようと、言わば戦いのような生活でもありました。それが、佐伯さんのようなデザイナーが、デザイナー組織をつくっているということに衝撃を受けたんです。これまで自分の考え方はデザイン組織の中でマイノリティーだったのに対して、弁護士ドットコムではすでにベースの考え方となっている。そこに感動しました。カルチャーを変えていく戦いよりも、同じ価値観を持ったメンバーとつくりあげていった方が、自分自身もっと成長できるなと感じたんです。佐伯さんがいなければ、僕は弁護士ドットコムに入社することはなかったと思います。

— 実際に入社してみてどう感じましたか。

弁護士ドットコムのデザインカルチャーは入社してからも実際に感じました。自分の持っている技術について話をすると、反発されることもなく、「教えて教えて」というリアクションばかりで、すごい会社だと思いました。ほかにも、たとえばエンジニアとデザイナーで一緒にワイヤーを描こうと提案した時も、皆「やりたい!」と集まってくるのは、弁護士ドットコムのカルチャーだと感じています。

— 今伺ったお話は、デザイナーだけでなく、会社全体の文化のようにも感じます。

はい、弁護士ドットコムのボトムアップありきの考え方は社風ですよね。採用面接で社長の内田さんと話をした時にも感じました。内田さんとの話の中で「経営者は2種類いる」という話があったんです。それは、一つは「自分の実現したいことをプレイヤーとして引っ張っていくタイプ」、もう一つは「社員をサポートして組織自体を育てていくタイプ」。内田さんは後者のタイプで、「ちゃんといい組織をつくれば、ちゃんといいプロダクトが生まれていくよね」と言われ、弁護士ドットコムで働くことで自分のやりたいことを実現できそうだなと思いました。

— 弁護士ドットコムでの新しい挑戦って何かありますか。

これまでは、事業を成長させて売上を伸ばすことが中心のデザインをしてきましたが、「弁護士ドットコム」は「専門家をもっと身近に」というビジョンを実現したら、究極的には役目を終えるようなサービスで、考え方が異なります。儲けられればよいというだけのビジネスではないので。根本的な価値をつくって世の中に浸透させていくにはどうすればよいのか、難しいなと日々感じています。

— これから金子さんはどんなチームをつくっていきたいですか。

まず、自律的な組織にしていきたいと思っています。「こうやりなさい」と誰かに指示されるのではなく、一人一人がやるべきことに向かって進んでいって、チームワークできるような組織を目指しています。カルチャーもあって、ビジョンもあるので、あとは人だけ。採用活動もそうですが、よい人たちを集めて育てて、よい仕事をしていれば、よいモノをつくれると思うので。

あと、よく相談をする先輩がいて、昔言われたことがあるんですが、「自分があるポジションに立った瞬間に次やることは、そのポジションに立つ人を育てていくこと」だと。だからどんどん種を植えて育てて、自分は早く押し出されて、ゆっくり余生を楽しみたいと思っています(笑)。

— 学生時代はチームスポーツが苦手だとお話しされていましたが、今はめちゃくちゃチーム思考ですね(笑)。

そうですね(笑)。当時はチーム戦の中で自分がミスしたらどうしようと思うと責任を感じてやりたくなかったんですが、今はなんで部長をやってるんでしょうね(笑)。成長したのかな(笑)。


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