24時間365日、スマートフォンから行政手続きができる「スマホ市役所」を実現するGovTech Expressは、全国360を超える自治体に導入されています。その最前線で自治体と向き合うのが、パートナーサクセスマネージャー、通称PSMです。
Bot ExpressのPSMは、導入後の活用支援にとどまりません。自治体が目指す姿をともに描き、現在の業務を整理し、住民と職員の双方にとってより良い行政サービスを企画する。必要に応じてプロトタイプをつくり、庁内の合意形成を進め、リリース後は住民の利用状況を見ながら改善まで担います。
今回は、リクルートでの事業企画、LINEでの行政サービス企画、スタートアップでのプロダクト開発を経て、現在はBot Expressのパートナーサクセス組織を率いるパートナーサクセス部長乾に話を聞きました。
PSMの日々の実務、サクセスの基準、AIを活用した組織づくり、そして企画から社会実装まで担う仕事の面白さを紹介します。ぜひ、動画でもご覧ください。
目次
プロフィール

株式会社Bot Express パートナーサクセス部長 乾 友輔
リクルート、LINE Fukuoka、ROUTE06にて事業企画・プロダクトマネージャーとして従事。「日本の行政サービスのデファクトスタンダードを塗り替える」というミッションに惹かれ、2025年4月よりBot Expressに参画。パートナー自治体とともに、最高の住民サービス提供のあり方を考え、実装まで伴走している。

株式会社Bot Express 執行役員 PR・コーポレート担当 松尾 明美
前職はLINE国内第二拠点LINE Fukuokaにて、広報・採用組織を統括。企業広報・危機管理広報・PRマーケ、採用など担当。2022年2月より現職。テクノロジーを活用した最高の住民サービスを提供し、日本の暮らしにもっと自由な時間を創ること、楽しくすることを目指している。福岡在住。
対談動画
1. 0→1のプロダクト企画を経て、行政サービスの変革へ
松尾:
これまでのキャリアと、Bot Expressへ入社した理由を教えてください。リクルート、LINE Fukuoka、スタートアップと、プロダクトやサービスの企画に継続して携わってきた経験が、現在のPSMの仕事にどうつながっているのでしょうか。
乾:
新卒でリクルートグループに入り、HR領域のプロダクトにおける事業企画やサービス企画を担当しました。主に0→1のフェーズで、プロダクト企画を担いながら、事業として前に進めていく仕事をしていました。その後、福岡への移住を機に、当時のLINE Fukuokaへ転職しました。そこで担当していたのは、LINE公式アカウントに、どのような自治体向けサービスを組み込むとよいかを考える仕事です。
主に福岡市の皆さんと向き合いながら、どのようなサービスがよいのかを一緒に考え、整理し、形にしていく。さらに、福岡市で生まれたものを、他の自治体へどう展開していくかまで含めて推進していました。当時の役割は、今でいうプロダクトマネージャーに近かったと思います。その後は、より大きな裁量と自由度を求めてスタートアップへ転職しました。同社では、エンタープライズ向けプロダクトの開発に携わりました。
そこからBot Expressへ入社するまでの背景には、自分のキャリアに対する考え方の変化があります。それまでは、自分がどのようにキャリアを積んでいくのか、どのような経験やスキルを得るのかという、内向きのベクトルがモチベーションの中心でした。ただ、これから30年、40年と中長期的に働いていくことを考えたときに、内向きのベクトルだけではなく、何のために働くのか、自分の仕事が世の中へどう還元されるのかという、外向きのベクトルも必要だと感じるようになりました。
公共という領域は、自分自身も一人の住民として、日々行政サービスを受けています。日本という国をどうしていくのかという大きなテーマでありながら、自分自身もユーザーになり得る。自身も生活者として利用する公共領域で、社会への還元を実感しながら働きたいと考えました。公共領域に向き合って仕事をしたいと考える中で、Bot Expressに入社を決めました。
現在は、Bot Expressの中でも最も人数の多い組織である、パートナーサクセスマネージャー組織を率いる立場で仕事をしています。

2. 入社後に実現した二つの変化。AIによる業務改善と、新しい行政サービスづくり
松尾:
2025年4月の入社から1年あまりを振り返って、これまでの経験を生かし、価値を還元できたと感じる仕事について教えてください。
乾:
大きく二つあります。一つは、これまでのキャリアで培ってきたものを、比較的早いタイミングで会社全体へ還元できた取り組みです。具体的には、AIを活用した技術的な問い合わせ対応の仕組みづくりです。Bot Expressでは、導入いただいているパートナー自治体の皆さんから、日々さまざまな技術的な問い合わせをいただきます。
パートナー自治体自身が、問い合わせ前にAIへ質問し、自己解決できるようになったことで、技術的な問い合わせ件数は前年同月比で約25%減少しました。回答を待たず、聞きたいタイミングですぐに解決できる体験にもつながっています。定量的な効果だけでなく、パートナー自治体の体験も変わりました。PSMがどれだけ早く回答したとしても、問い合わせを受け取ってから返答するまでには、一定の待ち時間が発生します。AIを活用すれば、聞きたいタイミングで聞き、すぐに回答を得られる。
実際に、AIへ聞くことで解決できたという声も届いています。パートナー自治体が手続きをつくる体験にとっても、非常に有用な仕組みになっていると感じています。
もう一つは、パートナー自治体のサクセスに直接向き合い、一緒に行政サービスを形にした仕事です。熊本県合志市では、公共交通の課題に対し、デマンド型の交通サービスに取り組んでいました。決まった時間に、決まったルートを走り続けることが、経済面でも、運転手不足という面でも、今後どこまで持続できるのかという課題があります。
そこで、需要があるタイミングに合わせて運行する形が考えられるのではないか、という方向性が見えていました。その構想をどう実現するかというご相談をいただき、利用を希望する方が、どの時間帯に、どのルートを希望しているのかをシステム上で把握し、希望者へLINEで通知したり、やり取りしたりできる仕組みを一緒に整理しました。
新たなシステムを別途導入するための予算を取るのではなく、既存のGovTech Expressの仕組みの中で、新しい手続きをつくることができました。費用面や効果面でも評価いただき、定量的な成果も生まれています。
パートナー自治体の「こういうことを実現したい」という思いに対して、一緒に考え、形にし、実際に公開され、良い変化が生まれる。自分が介在することによって、新しい行政サービスを生み出せたという点でも、価値を還元できた仕事だと感じています。
3. 14名のPSM組織。パートナーへの伴走と、全体を支える基盤づくり
松尾:
PSM組織の体制について教えてください。現在は何名で、どのような役割を担っているのでしょうか。また、メンバーのバックグラウンドや強みについても聞かせてください。
乾:
現在、PSMは私を除いて14名です。すべてのパートナー自治体をサクセスへ導くという共通目的のもと、担当自治体に伴走する役割と、知見を蓄積して全体へ広げる基盤づくりの役割があります。
担当するフェーズは異なりますが、共通する目的は、すべてのパートナー自治体をサクセスへ導くことです。多くのメンバーは担当自治体に継続して向き合い、企画からリリース、改善まで伴走しています。同時に、各自治体で得られた知見をナレッジやテンプレートとして整理し、次のパートナー自治体へベストプラクティスとして展開できる仕組みづくりも進めています。
メンバーのバックグラウンドはさまざまですが、元自治体職員が多いことが特徴です。行政サービスを住民へ届けてきた経験があるため、現場の職員目線で、どのような運用が使いやすく、続けやすいかを具体的に理解しています。自治体特有のネットワーク環境や国の方針など、行政への解像度が高いことも強みです。
一方で、元自治体職員ではないメンバーも、カスタマーサクセスやクライアントワーク、プロジェクト推進の経験を持っています。利用状況を定量的に捉え、サクセスまでの道筋を描きながら、次のアクションを高速に実行してきた経験は、この仕事でもそのまま生かされています。

2026年1月開催したパートナーオフライン交流会。定期的にリアルで集まる場を開催。
レポート:https://note.bot-express.com/n/n76e3434b6d62
4. サクセスの基準は、つくった手続きの数ではなく「住民利用率」
松尾:
Bot Expressでは、自治体がサクセスしている状態をどのように定義していますか。PSMが最も重視している成果指標について教えてください。
乾:
サクセスは、いくつかの定量的な指標を使って判断しています。その中でも、私たちが最も重要視しているのが住民利用率です。「こういう手続きがあったらいいよね」と考え、実際につくって公開した。それだけでよかったとは考えていません。公開したものが、実際に住民に使われているか。それによって、住民と職員の双方がより良い状態になっているか。そこが重要です。
そのため、手続きをいくつ作ったかという数よりも、公開後に住民がどれだけ利用しているかを見ています。予約や申請、ポイントの付与、給付金の受け取りなど、GovTech Expressはさまざまな行政サービスに利用できます。それぞれの用途で、住民が実際にどれだけスマートフォンから手続きを行っているか。それが、本当の意味でのサクセスを測る指標だと考えています。

京都府長岡京市様事例
スマホ市役所事例BOOKより抜粋。

兵庫県明石市様事例
スマホ市役所事例BOOKより抜粋。
5. テンプレートでは解けない。だからこそ、人が介在する価値がある
松尾:
自治体をサクセスへ導くうえで、特に難しいのはどのような点でしょうか。
乾:
難しさの一つは、パートナー自治体ごとに状況が異なることです。同じ施設予約という手続きでも、自治体が直接施設を管理している場合もあれば、外部へ委託している場合もあります。抽象化すれば同じ予約業務でも、運用や関係者、意思決定のプロセスが違うので、同じ仕組みをそのまま当てはめても、うまくいくとは限りません。
ベストな手続きの形を定義し、テンプレートとして提供したとしても、実際にリリースするまでには、自治体ごとの整理が必要です。PSMがフロントに立ち、どこがボトルネックになっているのかを一つずつ拾い上げ、自治体の皆さんと一緒に解消していきます。
もう一つは、私たちの力だけではサクセスを実現できないことです。住民に使われる状態をつくるには、自治体の皆さん自身が、その取り組みに前向きである必要があります。「この形の方が絶対に良い」と心から同じ方向を向き、一緒に進めていく関係をつくらなければなりません。行政サービスをリリースする際は、一つの部署だけで完結するケースは多くありません。DXを推進する部署と、実際に業務を運用する部署が異なる場合もあります。複数部署をまたぎ、さまざまな関係者とワンチームになれるかどうかが、公開後の住民利用率にも影響します。
単にサービスをつくるのではなく、関係者の合意をつくり、住民に使われるところまで進める。そこが難しさであり、PSMの介在価値でもあります。

6. 不確実な状況でも、自ら考え、動ける人と働きたい
松尾:
今後、契約いただくパートナー自治体はさらに増えていく見込みです。PSM組織も増強していく必要がありますが、どのような方に加わっていただけると、私たちはさらに前進でき、その方自身もこの仕事を楽しめると思いますか。
乾:
まず、私たちの事業やミッションに共鳴していただいていることが前提だと思っています。行政サービスのデファクトスタンダードをアップデートし、より良い仕組みを提供することで、日本を良くしていく。その実現に本気で取り組めることが大切です。
PSMは、まだ目指す姿が明確ではない自治体に対して、「こういう形がよいのではないか」と提案し、一緒にあるべき姿を定義するところから始まります。そこから複数の部署やステークホルダーと合意形成を進め、リリースまで伴走します。人が介在しなければ前に進まない場面も多いため、不確実性の高い状況でも、自分なりに考え、手を動かし、必要であれば現場へ足を運び、アクションにつなげられることが求められます。
うまくいかなかった結果も次のアクションにつなげ、サイクルを回し続けられる方に加わっていただきたいです。
7. これから1年で強化すること。AI活用と、サクセスプロセスの型化
松尾:
これから1年ほどの期間で、パートナーサクセスチームとして強化して取り組んでいくことを教えてください。
乾:
強化して取り組みたいことは、主に二つあります。一つは、AIの活用です。人が特段やらなくてもよい仕事はAIエージェントに任せ、PSM一人ひとりがサクセスそのものに、よりフォーカスできる仕組みをつくっていきたいと考えています。そのためには、ナレッジをどのように蓄積し、どのような形で参照できるようにするのかが重要です。単に情報を貯めるのではなく、どのような設計や思想でつくるのかを、PSMのメンバーとも議論しながら進めていきたいと思っています。
もう一つは、パートナーサクセスマネジメントの型を、より強固にすることです。サクセスに導くためであれば、幅広いアクションを取れる仕事ですが、何も分からない状態で、がむしゃらに動き続けるのは非効率です。パートナーが今どのような状態にあるのか。その状態に応じて、どのようなアクションが必要なのか。新たにパートナーになっていただいた後、どのようなプロセスを踏めば、よりスムーズにサクセスへ至るのか。
現在、360を超える自治体の皆さんにパートナーになっていただいています。これまでの取り組みで得た知見をあらためて整理し、サクセスに至るまでの形をつくり、より強固にしていきたいと考えています。
8. PSMをDream Jobにするために
松尾:
私たちは、メンバー一人ひとりにとって、Bot Expressで働くことがDream Jobであってほしいと考えています。自分の人生をかけて取り組む意味のある仕事ができているか。無駄をなくし、合理的で高いパフォーマンスを発揮できる環境があるか。自分の取り組みに対する評価に納得でき、胸を張って働ける会社になっているか。
乾さん自身にとって、今の仕事はDream Jobと言えますか。また、PSMのメンバーにもそう感じてもらうために、大切にしていることは何ですか。
乾:
私自身にとっては、Dream Jobだと思っています。Bot Expressへ入社した理由とも重なりますが、自分が介在することによって、世の中がより良くなるという価値を実感しやすい環境だからです。日々、パートナー自治体からの声や、住民の声が届きます。自分たちが一緒につくったものが実際に使われ、変化が生まれていることを感じられる。その点で、今の仕事は自分にとってDream Jobだと捉えています。
ただ、全員がすぐに「これがDream Jobだ」と感じられるような、劇的な変化を一つの施策でつくるのは難しいと思っています。前提として、今いるメンバーは、世界から面倒をなくすことや、行政サービスのスタンダードをアップデートすることに共鳴し、同じ船に乗っている状態です。その方向性に対しては、皆さん迷いなく取り組めているのではないかと思っています。
そのうえで、日々仕事をしている中では、「もっとこういうことができるのではないか」「会社として、こういう方向へ進んだ方がよいのではないか」と、それぞれが思っていることがあるはずです。
そうした一人ひとりの思いを定期的に把握し、お互いの認識をすり合わせていく。地道ではありますが、それしかないと思っています。会社として、Dream Jobと感じられる機会を提供できているのか。本人が望んでいることと、会社が期待していることにずれがないか。定期的に確認する場をつくり、もしすれ違いがあれば、どうすれば解消できるかを一緒に考えることが大切です。
PSMの仕事は、今日取り組んだことの結果が、明日すぐに分かる仕事ではありません。パートナー自治体に伴走し、要件を整理し、リリースし、実際に住民に使われる状態になるまでには、少し長い時間がかかります。だからこそ、自分が介在したことで、住民の反応や職員の行動が変わったことを実感できる。その成果を事例として発信し、「自分の手でパートナー自治体と一緒につくった」と胸を張って言える。
そうした手触りのある仕事ができれば、自然とやりがいを感じられると思っています。そのための仕組みを整えていくことが、私たちが本質的に取り組むべきことだと思っています。

Bot ExpressのPSMは、行政サービスを企画し、社会実装まで担う仕事です。プロダクトマネージャー、事業企画、サービス企画、カスタマーサクセスの経験をお持ちの方は、採用サイトをご覧ください。カジュアル面談も歓迎しています。
Bot Express 採用特設サイト | Notion1. Bot Express ミッションbot-express.notion.site
編集後記
本記事の企画・編集を担当した、PR・人事部長の松尾です。
乾さんとは前職同じチームで仕事をしてきました。Bot Expressへ入社するとき、「もっと良い日本の未来は、自分でつくる」と話していたことを、今でもよく覚えています。
入社から1年3か月。その言葉どおり、一つひとつの自治体と向き合いながらサクセス事例を生み出し、360を超える自治体の知見をもとにサクセスの型を模索し、さらにAIを活用して組織全体の力を高める仕組みづくりにも取り組んできました。組織にも、事業にも、確かな変化が生まれています。とても信頼できる仲間です。
Bot Expressが目指しているのは、自治体職員の皆さんが持つ「もっと住民のために良くしたい」という思いを形にし、社会へ届けること。そして、それを誰も追いつけない速度と品質で実現することです。乾さんの話に共鳴し、この挑戦に少しでも興味を持っていただけた方、ぜひ一度カジュアル面談でお話ししましょう。
