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キーワードは「集合知」。ウィズコロナ時代にCINRAがはじめたこと


こんにちは。CINRAの人事・採用を担当している康(かん)です。

新型コロナウイルスは、多くの人に不安で不自由な毎日をもたらしました。この「前例のない脅威」は、世の中や人々の価値観にも、大きな影響を与えています。

私たちが身を置くクリエイティブ業界に対しても、「いかにかっこいい見た目のものをつくるか」ではなく、「いかに価値のあるものを残せるか」というコミュニケーションがより求められるでしょう。

これまでカルチャーの力で幾度となく課題を解決してきたCINRAも、この数か月、「いま自分たちにできること」を考え続けてきました。

今回は、コロナ禍でCINRAがとった変化や、新しい取り組みについてお話しします。

取材・構成:市場早紀子、服部桃子(CINRA)


康あん美

2015年入社。EC事業部のディレクターとして、バイイング、商品企画などを担当。2018年7月から人事を務める。


ここぞというところで勝負する。キーワードは「ハリネズミ」?

いまは、事態の長期化や身近な人の感染など、あらゆることが「絶対に起こらない」とは言えない状態です。

ウィズコロナ時代に必要なのは、不安におののくのではなく、リスクを正確に評価し、最悪の事態を起こさないための判断をスピーディーに行うことではないでしょうか。

そこで、代表の杉浦が突如持ち出してきた解決策が「ハリネズミ」でした(最初はみんな、「え?」という反応でしたが……)。これは、ジム・コリンズの著書『ビジョナリーカンパニー』に載っている、狐とハリネズミの寓話からヒントを得ています。

狐はハリネズミを仕留めるためにさまざまな作戦を取るが、ハリネズミは身体を丸めて対抗し、狐はそれを見て諦めてしまう。狐は賢いがゆえに作戦を複雑に考えすぎてしまうのに対し、ハリネズミは、命を守るために単純で研ぎ澄まされた行動を取るからこそ勝利できる、という考え方です。

CINRAではその概念をもとに、コロナ禍だからこそ、自分たちのこれまでを見直し、やるべきことを研ぎ澄まして集中していこう、というコンセプトを掲げ、以下の3つのアクションを設定。2、3週間ほどのスピードで進めていきました。


【CINRAがとった3つのアクション】

1.スピーディーに環境を整備する

2.我慢」を「チャンス」に変える

3.新たなビジネスを開発する


私たちがモデルにした、神話に由来する「ハリネズミの概念」は、ジム・コリンズ著『ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則』に記されている(画像提供:shutterstock.com)

1.スピーディーに環境を整備する

事業への被害を最小限に抑えるためには、いかなる事態にも対応できる基盤づくりが不可欠です。そこで、社内ルールから見直すことにしました。

・ガイドラインの設定

会社はほかでもなく、社員やその家族の健康のうえに成り立っています。まずは「社員の生命維持」が最優先。緊急事態宣言前は特に、危機意識が社内外でも人それぞれだったため、社としての早急な統一が求められました。特にCINRAは、メディア運用が多く、取材や撮影も多いので、取材、打ち合わせ、出社などあらゆるシーンでのガイドラインをいち早く策定し、全社に周知しました。

・毎朝のチェックイン

チームごとに、毎朝オンラインで15分間、自由に話をするという「チェックイン制度」を導入。業務を完全リモート化したことで、コミュニケーション不足による孤独や不安の声が出るようになりました。個人差はありますが、このような精神的ストレスは、無意識のうちに大きな負担となり、「自分は大丈夫」と思っていた社員でも突如状況が変わってしまうリスクがあります。

そのため、1日の始まりに「会話」を習慣化することで、社員たちのモチベーション向上や、健康的な生活リズムを保つきっかけになればと思い、取り入れた制度です。

・バックオフィスのリモート化

CINRAはいち早く完全リモートワークへ移行しましたが、最も苦労したのが総務や経理などのバックオフィスです。ここでは、総務部メンバーがすばらしいオーナーシップを発揮してくれました。「捺印対応など、出社が必要な作業をどうする?」といった問題点を洗い出し、新たなツールを導入するなど、率先して環境づくりに奔走してくれたのです。

さらに、おつき合いのあるクリエイティブ企業と「バックオフィスのリモート化」をテーマにオンライン座談会を開くなど、ノウハウ共有の動きも進んでいます。

総務メンバーによる自宅作業の様子

ほかにも、スピーディーな情報共有をするために、コロナウイルス対策用の業務情報共有チャットや危機管理チャットを立ち上げたり、在宅勤務支援金制度を導入したりするなど、柔軟な対応をしています。

2.「我慢」を「チャンス」に変える

コロナ禍のリスクに対し、まずはスピーディーに環境整備をしたところで、次はより具体的なフェーズにうつり、事業ごとの課題解決に着手しました。

現在、CINRAが自社運用している事業(ブランド)はウェブメディアの「CINRA.NET」をはじめ、5つあります。収益の仕組みの改善や、コスト抑制、一部サービスの停止、オンライン施策への切り替えなど、ブランドごとの対応を見直し、今後の運用方針を固めました。

各ブランドはこれまで、メディア運用に重きをおきながら、読者やユーザーに直接想いを届ける場として数々のイベントを企画してきました。しかし、いまは開催を「我慢」するとき。

私たちは、この状況をチャンスに変えて、新しい価値を提供することはできないかと考えました。例えば、渋谷のライブハウスで5月16日に開催予定だったイベント『CROSSING CARNIVAL』を、急遽オンラインに切り替えたことも大きな挑戦のひとつ。それぞれのブランドが「新たなかたち」にチャレンジしています。

「She is」では、新型コロナウイルスと向き合い行動するための「She is Safe Project」をいち早く立ち上げた

「CINRA.NET」主催のライブイベント『CROSSING CARNIVAL』。「#カルチャーはとまらないとめられない」という方針を象徴する取り組みとなった

当日は「#CROSSINGCARNIVAL20」のハッシュタグで感想を集めながら、出演者や見ている方とともにイベントをつくりあげていった

3. 新たなビジネスを開発する

最後のアクションは、ハリネズミのコンセプトに沿って「ここぞというときに勝負する」ための新たな事業の武器を生み出すこと。そこで、「集合知アンケート」と題し、全社員から以下の3種類のアイデアを募りました。

・キャッシュアウトを最小化するアイデア

・コロナ禍だからこその瞬発力のあるビジネスアイデア

・いまこそ将来のためにやっておきたいアイデア

CINRAは現在約80名の社員がいますが、なぜこうしたアイデアを全員から集めたのか。

その理由はふたつあります。ひとつは、CINRAには、カルチャーだけでなく、アジアの都市にまつわる情報やクリエイティブ業界のことなど、幅広いジャンルに精通した社員が揃っているから。あらゆることにアンテナを張り巡らせている社員たちこそ、「いま一番大切なことは何か?」を知っていると考えたのです。もうひとつは、代表の杉浦が創設当初から「一人ひとりと話したい」という考えの持ち主だから。

このふたつにより、全社員へのアンケートを実施。最終的に、CINRAの「集合知」と呼ぶにふさわしい150件を超えるアイデアが集まりました。

(画像提供:shutterstock.com)

全員から寄せられた「集合知」を見てみると、所属部署やメディアにある既存の枠組みを越えてチャレンジしたいという、みんなのやる気に満ちた想いであふれていました。そして、数あるアイデアのなかで、あるプロジェクトが立ち上がることになりました。

CINRA全員でつくり上げる。その名も「カルチャーオンラインクラブ」

そこでスタートしたのが、「人と芸術の関係性を新たに創造する」ことをミッションに掲げた「カルチャーオンラインクラブ(以下、COC)」という社内プロジェクトです。

感染防止対策のため、多くのイベントがオンラインに移行しました。しかし、それらをオフライン体験の劣化版としてやるのではなく、オンラインだからこその双方向感やフラットさを活かし、21世紀らしい、新たなカルチャー体験を生み出したい。そんな杉浦の想いから結成されました。

メンバーは、社内の各事業部から、4名のプロジェクトメンバーが抜擢。リーダーに任命されたのは、International Comapny事業部のプロデューサー、柏木良介です。さまざまな意見に対してつねにオープンな姿勢と、みんなをモチベートできるパーソナリティーが抜擢の理由。ちなみに、COCの名前の由来は、彼が集合知アンケートに書いた名前がもとになっています。

COCリーダーの柏木良介。いかに社内全体をモチベートしていけるかが課題と語る

ほかのメンバーは、頼れるベテランから、豊富なネットワークを持つ若手、独創的なアイデアの持ち主まで、キャリアだけでなく個性も含めてバランスの取れた布陣です。さらに、全員が強いイニシアチブの持ち主なのも頼もしいところ。

COCメンバー

COCは発足当日に、決起ミーティングを実施。みんなのアイデアが止まらず、5時間にもおよぶ盛り上がりをみせたそうです。その後も、社員へのヒアリングや企画のブレストを繰り返しながら、アウトプットのかたちを思案しています。

また、社員みんなが自由にアイデアを出せるように、社内のチャットツールに専用のグループを用意。さまざまな意見が寄せられ、新たな企画の種になっています。CINRA特有のフラットな関係性のうえに生まれる、「みんなで一緒につくり上げる」感覚こそが、COCの醍醐味なのかもしれません。

メンバーの動きはとてもスピーディーで、発足から2週間あまりで、いくつかのオンライン企画を実施しています。

Instagramライブで5人のアーティストが5分間の朗読を披露した、「CINRA.NET」の配信イベント『5x5 Night Reading Club』

Ginnさん(バンコク / Faustusドラマー / dessin the world主宰)と「HereNow」プロデューサーのオンライン対談『コロナ以降のアジアはどうなっている? バンコク編 Produced by HereNow』

田汲洋さん(インフォバーングループ)、稲田ズイキさん(僧侶)とともに、「CINRA.JOB」の連載「若手クリエイターのお悩み相談室」をオンライン版で開催

リーダーの柏木は企画を振り返り、「とにかくいまは手探りでもやってみることが重要。トライアンドエラーを積み重ねるプロセスと、そこに生まれる問題意識をメンバーと共有できたので、得られた成果は大きい」と話します。

プロジェクトは走り出したばかり。COCの取り組みがCINRAの新たなスタンダードになる予感に、胸が弾みます。

今回は新しい取り組みを紹介しましたが、コロナ禍であっても、私たちの「人をインスパイアして世界を想像力で満たす」という想いに変わりはありません。

状況は刻々と変化しています。世の中に溢れる不安を、私たちが持ちうる知性と想像力で「変化する力」に変えていきたい。これからも「CINRAだからできること」を模索していきます。

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