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【代表インタビュー】ホテルは街に影響力がある~ホテルが変われば、人も街も変われる~

ホテルは街に影響力がある ~ホテルが変われば、人も街も変われる~

-代表取締役 吉岡 明治-

当時の小学校の先生に言われた言葉で自分の考え方が変わった経験から、人に影響を与えられる人になりたいと思っていました。そんな中で中学時代に住んでいた街の駅前が再開発され駅前が変わると、自然と自分のライフスタイルが変わったのを体感し、人と街に影響を与えられる仕事に就きたいと考えるようになりました。

新卒ではホテルやレジャー事業をおこなう企業に就職し、ホテルの現場を3年経験した後ホテルチェーンの本部に異動し、最初は開発の仕事に就くことに。ホテルの開業の際、宿泊客だけでなく地元の人も嬉しそうに足を運んでくれたことが成功体験でした。そこから景気が悪くなり経営改革の仕事をするようになりコスト削減や地方のホテルを閉めないといけない仕事もありました。地方のホテルは地域のコミュニティの場にもなっていて、ホテルが閉まるのを見て街の人と働く人が泣いているのを見てこういう事は二度と経験したくないと思ったのです。

そんな時、目黒にあった古いホテルが、地方の閉めなければいけなかったホテルにそっくりだったのですが、リノベーションして街の特徴をコンセプトと空間に落とし込んだ、デザインホテルに生まれ変わったのを聞いて見に行きました。まずかっこいい空間に興奮しましたが、何よりロビーに賑わいがあり働く人も誇らしく活き活きとしている。ホテルが変われば人も街も変われるのだと衝撃を受けました。こういう事が出来たら閉めた地方のホテルも継続出来たかもしれない、自分はこういう事業をやりたいのだと強く感じ、その会社にアプローチして転職する事になりました。

転職した企業は不動産の建築デザインの企画、設計のベンチャーでホテルの運営事業を開始するタイミングでした。地域やロケーションの強み、建物の強みからコンセプトをつくり、空間デザインに落とし込み、そして運営で育てていく事を大切にしている会社でした。沖縄、石川、京都と移住しながら、ホテルの事業企画を担当し全国を回りました。難しい地域や難しい物件の相談も多く、その中で「さすがにここに宿泊者は来ないのではないか?」と自分がネガティブに見ていた物件がありました。しかし当時の代表が強みを探し出し、コンセプトに落とし、空間で可視化し、ホテルが開業した事で、外国人観光客が全く来なかったエリアにすごく来るようになり、地元の人もホテルに集まるようになり、人の流れが変わったのを体感して、思い切り頭を殴られたような衝撃を受けました。自分は間違っていたと猛省し、そもそも自分がホテル事業でやりたかった事はこういう事だと。地域の強みをコンセプトと空間に落とし込み、運営で育てる。事業のスタートから未来まで、コンセプトと事業性と運営のバランスとりながら、事業を育て継続し、人や街にも貢献する。そんな事業を自分はやりたいのだと確信しました。

地域の強みを発信し共感され自然と生み出されるシェアエコノミー

全国のホテル開発案件を探している中で、以前の間違いの経験から、自分自身で厳しいエリアでもその街と建物の強みを見つけ、物件の開拓から開発、運営まで自分で責任を持って出来るプロジェクトを探していました。そんな中で川崎の駅から少し離れた場所で空きビルがあり、コンバージョンする事で、ホテルとホステル形態のON THE MARKSという宿泊施設の開発プロデュースと開業後の運営を担当する事になりました。企画担当と設計担当のメンバーと川崎の強みについて何度も話し合いました。川崎は音楽の街であること、物件の場所はかつて旅人が行き交った東海道沿いにあったこと。川崎はクラフトビールのブルワリーが多く点在し、また生肉工場もあり美味しい焼肉屋が多い。旅と音楽をコンセプトに取り入れ、肉料理を川崎の食文化と捉え、燻製料理とクラフトビーを提供するレストランとし、川崎の地域性をコンセプトと空間に反映した宿泊施設にしました。客室はインバウンドを意識して少し大型の2段ベッドをメインとした作りにしました。

運営開始後は初めて支配人をやることになり現場の責任者となりました。しかしターゲットのインバウンドは最初全く来ず、初年度は稼働も厳しく大変苦しみました。飛び込み営業はもちろん、行政に地元の会社の紹介をお願いして営業したり、終電過ぎた頃を狙って駅前でタクシーに乗ろうとする方に法被を着て宿泊割引券を配ったり、飲食店にタクシーで帰られる方に割引券をお渡しいただくようにお願いして代わりに飲食店のカードを受け取ってホテルに置かせていただいたり、台湾の観光博に行ってパンフレットを配ったり、色々と試しました。しかしそれでも厳しく、打つ手が尽き「もうメンバー全員に頼ろう」と考え、社員、アルバイト関係無く、①売上アップアイデア ②かかる費用 ③想定売上の3つのフォーマットを作って、アルバイトにはさすがに求め過ぎかなと思い「良ければ出してね」と軽い感じでお願いをしました。そうしたらなんと全員提出してくれたのです。20歳の学生アルバイトの子がしっかり費用、想定売上をしっかり計算して出してくれたのには感動しました。そこからリーダーとしてはメンバーに「せっかく出したのになんの動きもない」と思われるのは最悪なので、皆からもらったアイデアの出来る出来ないを整理して全員にフィードバックし、出来る事をとにかくやりました。そうしていくうちにメンバーも更にアイデアをどんどん出してくれて、自主的に動いてくれるようになり、とにかく全員で動きました。皆でがむしゃらにやっていたら、あのホテルはなんだか川崎を盛り上げようと頑張っているらしいという噂が広まったようで、気が付いたら行政や地域の企業の方、地域の方が来られるようになり、いろいろな方を紹介いただくようになり、自分たちだけでなく地域の人と人が繋がってどんどん輪が広がっていきました。レストランを借りたいという方も増え、ホテルの場を地域にシェアするようになり、結果シェアエコノミーの場になっていきました。

またインバウンド集客の取り組みは地域団体とのコラボレーションもいろいろとおこないました。ホテルと着物を所有する地域企業と着物の着付け学校と3社で、本格的な着物の着付けをしていただき川崎の街を歩いて楽しむ「KAWASAKI KIMONO WALK」というイベントも行い、最後は海外の方中心に50名くらいまで参加されるイベントになり、地域の方々と共に川崎の魅力を発信することに邁進していました。

そうしていくうちに3年目で稼働も上がり安定稼働になりました。宿泊者のインバウンドは増えてきて少し街の人の流れが変えられたのかなと。インバウンドは当時川崎の平均が1~2割で、3割まで上げる事ができましたが、7割は国内のビジネス、国内の観光の方でビジネスのリピーターもとても多かったのです。

NHKの72時間という番組の取材で、ビジネスのリピーターのお客様が、なぜここに泊まるのかという質問に「ホテルで働くみなさんがいい顔をしているから」とコメントをいただいた時は泣きそうになるくらい嬉しかったです。大変だったけど、皆が楽しみながら頑張ってくれていたので、楽しい雰囲気がお客様へのサービスにもつながっていたのだなと。地域の「強み」をたくさん見つけ、自分たちも「楽しみながら」発信して「行動」していくと、「共感」してもらえて、「つながり」が生まれ、それが「お客様の価値」になり、結果ホテルの「ブランド」をつくり、「数字」が追い付いてくる、それを実感した経験でした。

ホテルを出て街にどれだけ出てもらうかが大事

2019年に川崎でのご縁がきっかけで株式会社リットアップを設立し、川崎で120年以上、街づくりをされてきた歴史ある工務店様よりお声掛け頂き、ホテル縁道(えんみち)の開発プロデュースと運営をさせて頂く事になりました。再び川崎と今回のエリアの強みを探し出す作業に。市役所の裏の土地でしたが、東海道から神社に向かうかつての表参道に位置している。川崎は東海道の2番目の宿場町で旅人を受け入れてきた歴史がある。高度経済成長期においても国内外から労働者を受け入れてきた歴史がある。今でも多様性を大事にしていて、ストリートカルチャーの聖地であり、まだまだ堀りおこすといろいろな強みがある。川崎の強みをさらに見つけ出し、もっとチャレンジしていきたいと考えました。

当時、ホテル業界に「ライフスタイルホテル」というカテゴリーワードが出て、過ごし方が広がるようなラウンジが出来たり、また地域のものを使用し地元の文化を知ることができたりと、魅力的なホテルが増えてきましたが、地域に根ざしお客様にリアルな繋がりを提供できないと、本当の意味での付加価値にはならないのではと考えています。美味しいお店を紹介するだけでなく、何かを体験したいと言う人に対して地域のコネクションを使って紹介して差し上げる。ホテルの中で飲食業を営んでいる手前、少し矛盾してしまいますが、ご宿泊のお客様に地域の飲食店を積極的にご案内しています。お客様にホテルから出てもらい、街を好きになってもらう。ホテル(点)ではなく街(面)で好きになって頂く。そうすれば街に貢献出来て、結果自分のホテルのブランド力が上がり、数字も上がっていくと信じてやっています。

川崎のホテル縁道では、近隣にあるブルワリーのクラフトビールを食堂で提供することによって、お客様がブルワリーに直接足を運んでいただくきっかけになったり、宿泊プランでは東海道にあるガラス工房で切子ガラスを作る伝統工芸が体験出来るプランを販売し、実際にフロントや食堂にも切子ガラスの作品を飾ったり使用することで、コンセプトやガラス工房を紹介するきっかけをつくったりと、お客様に街に出ていただく様々な仕掛けを施しています。神社にお参りし、ガラス工房で世界に1つだけのマイグラスを作り、ブルワリーや居酒屋でマイグラスにてお酒を楽しんで、ホテルに帰ってベッドにダイブなんて過ごし方もお客様に提案しており大変好評です。

また、ホテルのホームページの「つながり」というページでは、川崎の街で実際にホテルメンバーが自分達で直接見て、体験して、魅力を知り、自分の目線で街のお店やイベント等を紹介しています。そうするとお客さまに紹介するときにも自分の言葉で伝えることが出来るし、取材と通して地域のつながりも作れてお客様とのご縁をつなぐ事ができる。やはり、リアルな体験や繋がりをもってお客様にご紹介すると、ご満足いただけて、ホテルやお店の常連さんになってくれる可能性が高いです。今度は、その常連さんが別のお客さんを連れてこられて、また泊まりに来てくれたりします。フロントも食堂も常連さんとメンバーの楽しい会話があり、お客様であり、家族、友人ではないけれど、温かみのある空間になっている気がします。

「自分ゴト」で考え、会社を使って成長してもらえる組織にしたい

自分がどのようなキャリアやライフスタイルを築きたいかは人それぞれなので、自分が将来やりたいことに対して、会社を使って、経験を積める組織にしたいと考えています。ホテル業なので、やりたい事として、接客をしてお客様に喜んでもらい信頼を得るというビジネスである事が前提にあります。更に、日々の業務の中でホテル、チームの課題を「自分ゴト」として捉え、課題を自分で見つけて、改善策を考え提案し皆で議論し、答えを出し、判断して実行する。「自分ゴト」とは常に自分がリーダーだったら、支配人だったら、社長だったら、「最終責任者」が自分だったらと考える事。そのためには自分で考えまず答えを出す。そして仲間や先輩に提案して議論しブラッシュアップして最適な改善策を出す。ホテル業に限らず、将来やりたい事に向けて、この「自分ゴト」はとても大事で「最終責任者」が自分だったらと考える事が、自己成長につながり、チーム、会社に貢献し、給与が上がり、結果、自分の将来やりたい事に近づける成長が出来ると思います。そういった意味でフラットな空気感で年齢、経験、雇用解形態に関係なく意見を言いやすい雰囲気つくりをしています。私自身も今は最終責任者ですが、メンバーによく自分の案については相談をします。理由は2点で、①違う強みを持ったメンバーからの意見は参考になり、もっと良い策に出来る。②相談したメンバーも「自分ゴト」で考えてもらえるのでメンバー育成にもつながる。将来経営をしたいと考えている人にとってはこの考え方はとても大切だと思っています。

働き方については、現在運営ホテルが1拠点であり、まだ新しい組織なので、みんなで今考えている段階です。結婚して子供ができ子育てをしている方や、将来はホテル業周辺の分野に興味を持っている人など様々なキャリアビジョンがあると思います。目標としては今後運営拠点を増やし展開していく事と、ホテル運営のみならず周辺ビジネスも視野に入れる事で、将来的にはホテルの現場だけでなく例えばコンサルタント業など働き方の選択肢を増やすべきだと考えています。 リットアップの組織は社員、アルバイト、年齢、経験関係無く、課題を見つけ改善提案をして良い事はどんどん実行していきますので、ぜひ新しい事に何かチャレンジしたいポジティブな方に入ってきていただきたいです。実際にアルバイトから社員になり、店長や副支配人になっている20代のメンバーも活躍しています。また既にリットアップから独立して自分で事業をしながら、リットアップの仕事も手伝ってくれているメンバーも1人生まれました。将来の夢に向かって会社という場をうまく使って成長してもらえると、私個人としても嬉しいですし、独立して会社を卒業する事になっても、繋がりを持ち続けながら、お互いの事業の発展のために協力できる関係を持ちたいと思っています。

ぜひ、少しでも興味がある方は会社見学からでもお気軽にご連絡をもらえると嬉しいです。長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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