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「デジタルサービスデザイン」って何?(第2回 ユーザーエクスペリエンスマップ)

三越伊勢丹のデジタルサービス開発において重要な要素となる「デジタルサービスデザイン」について3回シリーズで紹介します!

- アイムデジタルラボ(IM Digital Lab) ホームページ
- 婦人靴向けパーソナルフィッティングサービス YourFit365

■ユーザーエクスペリエンスマップとは?

前回の記事では、サービスの提供価値を考える手法としてバリュープロポジションキャンバスを利用しました。

次に、どのようにサービスの提供価値を体験してもらうのかを考えるのにユーザーエクスペリエンスマップを利用します。

アイムデジタルラボのミッションは「仕組みを変えて、お買い物を楽しくする」です。そこで、いままでの顧客体験をベースに、どうデジタルサービスを使って楽しくするのか?を考えるようにしています。

三越伊勢丹(小売業)のようにリアルな現場がある場合、デジタルサービスと現場をシームレスにすることで現状の良さを生かしたまま価値を向上させることが可能になります。

■いまのユーザーエクスペリエンスマップをつくる

顧客体験をデザインするには顧客の感情の流れを重視します。これをユーザーエクスペリエンスマップという形式で表現します。書き方に明確なルールはありませんが、体験の流れを整理し、そこでおきるユーザーの感情の起伏を表現する必要があります。

婦人靴のフィッティングサービス YourFIT365をデザインするときに作成したのがこちらです。上から感情(プラスとマイナス)、タッチポイント、行動という順で書かれています。


まず、最初に顧客が体験する時間の流れで、三越伊勢丹とのタッチポイント(接点)を整理します。
- 期待:お店に行こうと考えるフェーズ(家、 車・電車)
- 入店:お店に入っていくフェーズ(入店)
-買い物 :お店の中で買い物をするフェーズ(回遊、セレクト、接客・試着、支払い)
- 退店:お店を出ていくフェーズ(退店)
- 利用:買ったものを使うフェーズ(外で)

そして、それぞれのタッチポイントで、顧客がどういった行動をするのかを書き出します。例えばお店にいく前には「営業時間を確認する」「雑誌やネットで調べる」といったことをしているはずです。

最後に、それそれのフェーズでの行動によって、どんなプラスの感情とマイナスの感情が起きたのかを書き出していきます。感情の強さは中央のベースラインからの高さ(低さ)によって表現します。

このマップは、足に合う靴が見つからなかったケースです。買い物中には「イメージ通りの靴があった!」というプラスの感情もありましたが、最後「やっぱり痛い」というマイナスの感情で終わっています。つまり、見た目はイメージ通りだったので買ってみたのに、履いてみたら痛かったという感情の流れです。靴を買うとき、誰もが体験したことがあるでしょう。

■実現したいユーザーエクスペリエンスマップをつくる

次に、いまのユーザーエクスペリエンスマップに対して、サービスの提供価値を踏まえた上で、どういった感情の流れにするかを整理してきます。

注目すべきは、いまのユーザーエクスペリエンスマップでベースラインから下向きに離れた感情です。これが顧客の体験にとって課題になっていることであり、解決すべき問題だからです。一方で、サービスとは関係がない感情を無理に解決するべきではありません

YourFIT 365は、3D足形計測器を使って足形を計測したうえで、
 1. 計測器で足形を計測する
 2. 計測結果から足に合う靴をタブレット上に一覧表示
 3. その中から試したい靴を選ぶ
 4. シューカウンセラーがフィッティングする
という流れを提供しています。

では、このサービスによってユーザーエクスペリエンスマップは、どう変化するでしょうか。



まず買い物フェーズの行動が「セレクト」から「計測」に変わりました。そこでの行動は「計測器での足形計測」「足形の説明を受ける」「足形情報を登録する」になります。そして「自分の正確な足のサイズが分かった」「足に合った商品がすぐわかる」といったプラスの感情が生まれています。

そして、接客・試着を通じて「気に入ったデザインで痛くない!」となり、さらに利用フェーズで「1日快適にはけた!」というプラスの感情になるようにしました。

ユーザーエクスペリエンスマップを利用することで「顧客に何を体験させたいのか?」という顧客視点の発想が生まれます。デジタルサービスができることだけを起点にしてしまうと、せっかくの機能が体験につながらないことになります。

■顧客の感情をデザインする

YourFit365でお買い場のシューカウンセラーがこだわったのは、なるべく早くプラスの感情を生み出し、そこから靴探しに入っていくことです。

靴を買う上で最大のプラス感情は「よい靴が見つかった」ですが、どうしても買い物フェーズの後ろになります。何足もの靴を試し、デザインや履き心地などから最終的に判断されたあとに、はじめて「よい靴が見つかった」となります。

YourFIT365では、最初に足の計測しますが、すぐにシューカウンセラーが計測結果を見せて足形の説明します。これによって多くの方が「自分の足の特徴がわかった!」「今まで履いていた靴が合わない理由がわかった!」と驚かれます。まず最初に「自分の足のことがわかった!」というプラスの感情を体験してもらうようにしました。

そして、足形の説明が終われば、すぐに足に合う靴の候補が画面に出てきます。いて「足に合った商品がすぐにわかった!」と感情がさらに高くなります。

通常の買い物体験だと、店頭で気になる靴があり、わざわざ店員に声をかけて試着したのに、痛くて履けないということがおきます。これは大きなマイナスの感情になります。YourFIT365の候補リストから選べば、少なくとも、まったく合わないということはありません。

また、手で計測するシューフィッティングだと、足形の説明はしてくれますが、合う靴の候補は、シューカウンセラーがいくつかの候補を持ってくるまで分からず、かつ、数も限られます。

このようにYrouFIT365では、まずサービスを利用すると「自分の足のことがわかった!」、すぐに「足に合った商品がすぐにわかった」と感情を高める、この流れがお買い物が楽しくするのようになっています。実際、多くのお客様が試着を楽しまれています。

このサービスデザインが可能になったのは、シューフィッターが過去の接客から学び、解決すべき対象を理解していたからです。デジタルツールは重要な要素ですが、体験の主役ではありません。シューカウンセラーが接客のなかで活用してこそ、提供価値が伝わるのです。


今回はユーザーエクスペリエンスマップを使い、顧客の感情をデザインすることで、サービス価値の体験プロセスを考えました。
次回はサービスブループリントを使い、より詳細にサービスの提供プロセスを整理する手法を紹介します。ぜひ次回の記事もご覧ください!

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