◆ 理想のキャラクターになりきるという考え方
本書の中で印象的だったのが、「自分の理想のキャラクターなら、この場面でどう行動するか?」という問いを常に持つことの重要性です。
たとえば、今の自分が不安や迷いから行動できずにいるときでも、
「もし自分が“憧れのあの人”だったら?」「自信に満ちた自分だったら?」と考えることで、自然と選ぶ行動や判断が変わってくるのです。
このように、「自分がなりたいキャラ」を演じるという方法は、
ただ夢を見るだけでなく、現実を少しずつ動かしていくための力強いフレームだと感じました。
◆ 人は無意識に現状維持を選びやすい
私たちは、本来「現状維持」を好む生き物だといわれます。
不安や変化を避けるため、いつの間にか“いつも通り”の毎日を繰り返してしまう。
でも、『物語思考』では、その状態から抜け出すための5つのステップが明確に提示されています。
これらを実践していくことで、無意識に繰り返していた日常を、自分の意思で塗り替えていける感覚が得られそうです。
◆ 物語を進める5つのステップ
① 思考の枷(かせ)を外す
まずは、自分の頭を縛っている“無意識の制限”に気づくこと。
「どうせ無理」「自分にはできない」といった思い込みを手放し、“自分がどうなりたいか”を言語化することから始めます。
興味深かったのは、過去から今を考えるよりも、未来から逆算する方が今の行動を変えやすいという点です。
② 理想のキャラクター像を設定する
なりたい未来の姿が見えてきたら、それをもとに「キャラクター(理想の自分)」を作っていきます。
これは、単なる理想論ではなく、「どんな雰囲気の人か?」「どんな言葉を使う人か?」と、具体的にイメージしていくことが大切です。
現実に存在する憧れの人物を参考にするのも有効な方法です。
③ キャラクターになりきって行動する
理想のキャラを思い描いたら、あとは実際に“そのキャラになりきって”動いてみることが大切です。
最初はぎこちなくても大丈夫。
「こんな自分だったらどうする?」と想像しながら、一歩ずつ行動に移していくことで、現実が少しずつ変わっていきます。
④ キャラが活きる環境を整える
理想のキャラを保ち続けるためには、そのキャラにふさわしい環境や人間関係も重要です。
もし今の環境が足を引っ張るようであれば、少しずつでも自分に合うコミュニティに身を置くことで、キャラがより自然に振る舞えるようになります。
⑤ 小さな成功を積み重ね、物語を転がす
そして最後は、「キャラとしての成功体験」を積み重ねていくこと。
これは大きな目標でなくても構いません。
「今日は自信をもって話せた」「行動に移せた」など、日々の小さな達成感を物語の名場面として記録していく。
その積み重ねが、やがて人生全体のストーリーを豊かにしてくれるのだと思います。
『物語思考』は、人生をどう生きるかに迷ったとき、「自分の物語を、自分の手で紡いでいこう」という前向きなヒントを与えてくれる本でした。
「今の自分」ではなく、「なりたい自分」を起点に、日々の行動を見直してみる。
それだけで、人生は少しずつ変わり始めるのかもしれません。