「面白いな、だけで技術に没頭できる」。大手キャリア・外資ベンダーを経てISL Networksへ。チーフエンジニアが語る、裁量とスピード感が生む開発のリアル
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モバイル通信技術の深い知見を持ち、大手通信キャリアやグローバルベンダーでRAN(*1)開発の最前線を歩んできたHさん。現在はベンチャー企業ISL Networksのチーフエンジニアとして、O-RAN技術などを活用した新たなソリューション開発をリードしています。大手にはない裁量とスピード感を求め、技術探求の自由を求めてISL Networksに辿り着いたそうです。この記事では、彼のキャリアパス、現在の挑戦、そして大手からベンチャーへの転職を考えるエンジニアに伝えたいメッセージを伺いました。
*1 RAN: Radio Access Networkの略。無線アクセスネットワーク。携帯電話などの端末とコアネットワークを繋ぐ基地局側のネットワーク全体を指す。
プロフィール紹介
Hさん/ チーフエンジニア
長年にわたりIT業界、特にシステム開発・情報通信分野に従事。国の研究機関でのネットワーク・プロトコル開発からキャリアをスタートし、エリクソン、KDDI/UQコミュニケーションズなどでモバイルネットワーク(RAN、トランスポートNW)の開発・導入業務を歴任。グローバルベンダーと国内オペレーター双方での経験を持つ。現在はISL Networksのチーフエンジニアとして、技術アドバイザリーやO-RAN関連の技術支援などを担当。
目次
プロフィール紹介
キャリアストーリー:大手、スタートアップ、そしてISL Networksへ。「しがらみのなさ」を求めて
現在の業務内容:技術アドバイザリーからO-RAN試験まで。幅広い経験が活きる現場
組織文化・働き方:裁量、スピード、そして「飽きさせない」環境
ビジョン・将来展望:技術の深化と、新たな挑戦への意欲
「やりたいこと」を追求できる場所
キャリアストーリー:大手、スタートアップ、そしてISL Networksへ。「しがらみのなさ」を求めて
ーーこれまでのキャリアの流れを教えていただけますか?かなり多様なご経験をお持ちですよね。
H:そうですね、もう20年以上この業界にいます から(笑)。 はじめはラボで、ネットワ ー クやパケット交換機、ス パコン間の通信( loT) や標準化、プロトコル開発などをやっていました。 その後エリクソンでちょうどLTEが始 まる前くらいのタイミングで、モバイルRANのプロジェクトを担当することになりました。 これがモバイル通信 との本格的な関わりの始まりですね。
その後、オペレータでRANやネットワークの開発業務に携わりました。 さらにその後、知人が立ち上げたス タ ー トアップを経て現在に至ります。
ーーISL Networksへはどういった経緯で?
H:今のISL Networksの代表である久保田さんからお声がけいただきました。
これは良い機会だと思い、ISL Networksの立ち上げから参加 することにしました。
ーー大手への転職という選択肢もあったかと思いますが、なぜ再びベンチャーを選ばれたのでしょうか?
H:大手さんは正直、あまり心が動かないですよね大手は、何かをやるにも稟議書を書いて、予 策やアー プ(*2)への影響を説明して...と、 プロセスがとにかく長い。
「面白いな」という興味本位だけでは動けない* のが、 自分には合わないと感じています。
*2 アープ(ARPU): Average Revenue Per Userの略。1ユ ー ザ ー あたりの平均売上高。通信事業者などで重要視される指標。
現在の業務内容:技術アドバイザリーからO-RAN試験まで。幅広い経験が活きる現場
ーー現在、ISL Networksではどのような業務を担当されていますか?
H:チーフエンジニアという肩書ですが、小さな会社なので何でもやります(笑)。メインは、他の企業さんが進める研究開発や製品開発のための実験などに対する技術的なサポート、いわゆる技術アドバイザリー業務が多いですね。社外のプロジェクトが9割、自社製品関連が1割くらいの比率です。あとは、O-RAN系の認証試験に関する技術的な部分も担当しています。
ーーコンサルティングというよりは、実際に手を動かす役割が大きいのでしょうか?
H:そうですね、コンサルティングというよりは、実際に手を動かして、アジャイル開発チームの一員としてプロジェクトに入っていく感じです。お客さんの環境で動かない時に原因を調査したり、ネットワーク構成に合わせて再設定したり、障害の切り分けを行ったり。時には、外部の技術者の方とチームを組んで、4〜5名体制で動くこともありますが、基本的には1人で担当することが多いですね。
ーーこれまでの多様なご経験は、現在の業務にどう活かされていますか?
H:未知のトラブルに遭遇した時や、なぜかうまくいかない時に、「当たりをつける」スピードが速いことでしょうか。ネットワークもサーバーもRANも、一通りやってきましたから。コールフローやOS、プロセスの動きなど、問題が発生した時に、どこに原因がありそうか、多角的に仮説を立てて検証できるのは強みだと思います。トラブルシュートで試行錯誤している時が、実は一番楽しかったりもしますけどね(笑)。RPGで言えば、ただ街から街へ移動するより、バトルしながら進む方が面白いじゃないですか。
ーーなるほど(笑)。ISL Networksの技術やサービスは、新しい分野を扱っていますが、難しさや面白さはどんな点にありますか?
H:オープンソースを活用したり、廉価なハードウェアを使ったりするので、日本の従来の感覚からすると「保証はどうするんだ」「止まったらどうするんだ」という懸念が出やすい部分はあります。ただ、海外では「ダメだったら次試そうぜ」という文化が根強い。日本でも、もっと気軽に新しい技術を試せる環境を提供したいという思いが根底にあります。
もちろん、ミッションクリティカルなサービスには、現時点では実績のある大手ベンダーの製品が選ばれるでしょう。我々の役割は、まずは「落ちても大丈夫」な領域から新しい技術の導入を支援し、裾野を広げていくことだと考えています。例えば、工場のシステム開発部門が、本格導入前のPoCや製品開発環境として、高価な専用装置ではなく、我々のソリューションをワークステーションを買うような感覚で導入できる。これは大きな価値だと思います。
組織文化・働き方:裁量、スピード、そして「飽きさせない」環境
ーーISL Networksならではの組織文化や働き方の魅力は何でしょうか?
H:一番は「しがらみのなさ」と「自由度の高さ」ですね。変な社風もないし、面倒な人間関係もない。良くも悪くも、個々人に任されている部分が大きいので、自分の裁量で仕事を進められます。リモートワークが基本なので、割り当てられた仕事さえこなしていれば、他の時間に何を勉強していても文句は言われません(笑)。働いていてストレスがほとんどないのが良いですね。
ーーCTOの久保田さんとは、前職からのお付き合いとのことですが、一緒に働かれていていかがですか?
H:久保田さんは、モバイル業界では世界的に見ても第一人者の1人です。クアルコムで開発に携わり、多くの特許を持ち、モバイル通信の標準化団体である3GPP(*3)の活動にも長年関わって、5Gの仕様策定時にはリーダーも務めていました。今でも3GPPに参加しているので、標準化の最前線の情報や、その裏話なんかを聞けるのは非常に面白いし、勉強になります。
*3 3GPP: 3rd Generation Partnership Projectの略。モバイルブロードバンドシステムに関する標準仕様を策定する国際的な標準化プロジェクト。
ーーチームメンバーとはどのように連携を取っていますか?基本リモートとのことですが。
H:Zoomやチャットツールで頻繁にやり取りします。基本的には自律的に動くことが求められますが、誰かに頼られたり、一緒に課題解決に取り組んだりするのは嫌いじゃないです。まずは自分で考えて、試してみて、その上で「これで合ってますか?」と相談してくれるのは大歓迎です。
ビジョン・将来展望:技術の深化と、新たな挑戦への意欲
ーー今後、エンジニアとしてどのようなスキルを身につけたい、あるいは挑戦したい分野はありますか?
H:個人的には、AI系の技術に興味があって、少しずつ勉強を始めています。最終的には、自分の代わりにメールの返信とかをしてくれるAIクローンを作れたら面白いな、なんて考えています(笑)。自分の思考パターンを学習させて、定型的な業務を任せられたら、もっと面白いことに時間を使えますからね。
ーーモバイル通信の分野で、今後活躍するエンジニアに必要なスキルやマインドは何だと思われますか?
H:一つは「忘れる力」ですね。技術標準や規格はどんどん変わりますし、お客様ごとに最適な構成も異なります。3GPPの標準だって、数ヶ月単位でアップデートされていく。古い知識や、過去の成功体験、失敗体験に固執せず、常に最新の情報を取り入れて、過去は忘れていく。そのくらいの柔軟さが必要だと思います。
もう一つは「諦めない心」。誰かが「できる」とか「やりたい」と言っている技術は、世の中のどこかには情報があるはずなんです。標準化ドキュメントを読み込んだり、海外の事例を調べたり、粘り強く探求すれば、必ず道は開ける。答えがないように見えても、どこかにヒントはあるものです。もちろん、そのためには英語のドキュメントを読む力なども必要になりますけどね。
ーー会社の将来性については、どうお考えですか?
H:ビジネスとしては、やはり大手と真っ向勝負するのではなく、隙間を狙っていくことになると思います。モバイル通信事業者さんのような要求レベルが高いお客様は、我々の現在の体制では難しい面もあります。でも、これまでモバイル通信技術を必要としていなかった業界、例えば工場や倉庫などで、DXを進めるために無線化したい、5Gを使いたい、というニーズは増えています。
そういったお客様が、開発段階や小規模な導入で、手軽に我々の製品を使ってくれる。そこで実績を積み重ねていけば、さらに面白い展開があるかもしれません。産業DXみたいな大きな話はCEOの井上さんの方が得意ですが、個人的には、技術的に困難な課題を解決していくプロセスそのものに面白さを感じていますね。
「やりたいこと」を追求できる場所
ーーISL Networksには、どのような人が向いていると思いますか?
H:まず、「自律している人」ですね。「何をやったらいいですか?」ではなく、「こういうことをやりたいんですけど」と、自分で考えて動ける人が来てくれると嬉しいです。もちろん、やりたいことがあって、そのために周りを巻き込んだり、相談したりするのは全く問題ありません。
次に、「技術への探求心がある人」。新しい技術を学ぶのが苦にならない、むしろ楽しいと感じられる人。モバイル通信の分野は変化が速いので、常に学び続ける姿勢が重要です。
そして、「しがらみなく働きたい人」。大手のような複雑な人間関係や稟議プロセスに疲れた人、もっと自由に、スピード感を持って開発に取り組みたい人には、とても良い環境だと思います。
ーー最後に、応募を検討しているエンジニアへメッセージをお願いします。
H:ISL Networksは、自分の興味があるスキルや技術をとことん追求できる会社です。これまで培ってきた経験に加えて、「こんな技術と組み合わせてみたい」「こんな製品を作ってみたい」というアイデアがあれば、それを実現できるチャンスがあります。「やりたい」という意思があれば、会社はそれをサポートしてくれますし、それを実現するための時間も確保しやすい。
大手メーカーの枠の中で物足りなさを感じていたり、もっと技術のコアな部分に裁量を持って関わりたいと思っていたり、あるいは単に「面白いこと」を追求したいと考えている方なら、ぜひ一度話を聞きに来てください。ストレスなく、技術と向き合える環境がここにはあります。
いかがでしたか?
大手での安定か、ベンチャーでの挑戦か。多くのエンジニアが悩むこの問いに対し、Hさんの「しがらみのなさ」「自由度の高さ」を重視する姿勢は、一つの明快な答えを示唆しています。技術への純粋な探求心を持ち続けたい方にとって、ISL Networksは理想的な環境かもしれません。