みなさん、こんにちは!ソシオネットの長谷川です!
街にはイルミネーションが灯り、クリスマスソングも流れて、クリスマスが近づいてきたことを感じますね🎄
品川区立西大井創業支援センター(PORT2401)にて、10月と11月の2日間にわたり開催された子ども向けワークショップ。
本記事では、そのうち11月9日(日)に行われた回の様子をご紹介します。
当日は、弊社代表がゲスト講師として参加し、デジタルツールを活用したワークショップを実施しました。
代表の社外活動を通じて得た気づきや、当日の子どもたちの反応など、現場ならではのエピソードを交えながらインタビュー形式ご紹介していきます。
10月に開催されたワークショップの詳細は、こちらからご覧いただけます。是非あわせてご覧ください!
――前回のワークショップ「デジタルツールを使ってみよう!」に続く2回目の開催となりましたが、今回はどのような内容に取り組まれたのでしょうか?
山下:
前回は、「2050年の品川・地域がどうなっているか」 を想像しながら、AIにプロンプトを入力して相談したり、イメージを映像化したりと、実際にAIを使ってみる体験が中心でした。
一方、今回のワークショップでは、「起業チャレンジ第1歩」というテーマのもと、こちらが用意したお題に対して、子どもたちが課題をどう解決するかを考えるワークがメインでした。
朝9時半から夕方18時まで、小学4年生から中学3年生までの幅広い年代が参加し、3〜4人ずつのチームに分かれてワークが進められました。
――終日開催のワークショップだったとのことですが、当日はどのような流れで進行したのでしょうか?
山下:
当日は私のほかにも、講師やファシリテーターの皆さんが参加していました。
午前中は、そうしたメンバーが中心となり、グループワークの進め方を分かりやすく説明しながら、参加者同士が自然に打ち解けられる雰囲気づくりをしてくれました。
最初のワークでは、参加者それぞれが 自己紹介カード(名刺) を作成。
グループ内でカードを使って自己紹介を行い、「今、力を入れて取り組んでいること」を共有していきます。
続いて、メンバー同士の取り組み内容を持ち寄りながら、
自分たちのグループならではの特徴を見つけ出すワークに挑戦しました。
さらにそこから発想を広げ、チームの会社名を考えるワークにも取り組みました。
活発に意見が飛び交い、どのグループからも個性あふれるユニークな会社名が生まれるなど、会場は終始、明るく盛り上がった雰囲気に包まれていました。
――グループ名ではなく、「会社名」を考えるという発想がユニークですね。
山下:
そうなんです。単なるグループ名ではなく会社名にすることで、「自分たちは何をしたいのか」「どんなことに挑戦したいのか」を、より深く考えるきっかけになるんです。
午前中のワークでは、さらに 自分たちが取り組みたいミッションを選ぶ時間も設けました。
あらかじめ用意された8つの困りごとの中から、チームごとに「自分たちにとって身近に感じられるもの」を3つ選んでいきます。
<ミッション例>
◇身近な家族や友達に関する困りごと
・食べ物の好き嫌いは本当に悪いこと?みんなが楽しみにできる給食にするには?
・家族みんなが、ゴミ出しやお手伝いを忘れず、前向きに取り組むには?
・離れて暮らすおじいちゃん・おばあちゃんが、元気に毎日を過ごすには?
◇日常生活の中で感じる困りごと
・危険な暑さが続く夏休みでも、安全に楽しく遊ぶ方法は?
・商店街を「また行きたい場所」にするにはどうしたらいい?
・人が多い街で、きれいな環境を保つためにできることは?
子どもたちはチームごとに意見を出し合いながら、「これなら自分たちが本気で取り組めそう」と感じるテーマを選んでいきました。
こうして、活発な話し合いの中で午前中のワークが締めくくられました。
――どれも身近に感じるミッションばかりですね!
山下さんのパートでは、具体的にどんなことをされたのでしょうか?
山下:
午後のワークは、私がメインで担当させていただきました。
午後からは、生成AIを使ったワークに取り組むため、まず AIとは何か、AIでできること・できないことを説明しました。
今回も前回と同じく Gemini を使い、AIを活用する上での注意点やルールも共有しました。生成AIには年齢制限があるため、大人のサポーターがプロンプトを確認してからパソコンに入力するなど、安全面も徹底しました。
◇AIを使ったワークの流れ
1、やってみよう① 会社ロゴを作る
午前中のワークシートをもとに、会社ロゴを作成。
色やデザインの指定をしてAIに指示を出すと、子どもたちは楽しそうにワイワイ試行錯誤していました。
2、【実験タイム】ロゴの出力を確認
実際にAIが出力したロゴを見て、「指示した文字と違う!」「ただオブジェクトを重ねただけになった」など、イメージと違う結果にモヤモヤする子も多くいました。
でも、この“モヤモヤ体験”こそが、3に続く学びのチャンスです!
3、やってみよう②
対話しながらロゴを作る &【実験タイム】ロゴが決まったら画像を保存
AIと対話しながらロゴを調整していきます。
最初から完璧なプロンプトを送るのは難しいため、AIに質問しながら修正する体験が重要となります。
例えば「ロゴを作るにあたり必要な情報があったら聞いてください」とAIに質問を投げかけ対話していくことで、自分たちのイメージに近いデザインに仕上げることが可能です。
ロゴが決まったら画像を保存して、チームの成果として完成させました。
――なるほど!AIといえども対話しながら作ることが大事なんですね!ロゴが決まったあとは、いよいよ最後のワークですね!
山下:
最終ワークでは、予め用意されたスライドにアウトプットをまとめてもらいました。スライドには、チームで作った会社ロゴを載せたり、メンバー紹介・会社紹介、そして選んだミッションに対して「自分たちはどう取り組むのか」をAIを使いながら整理し、最後にプレゼンとして発表を行いました。
テーマで「給食のフードロスを減らすには?」を選んだグループを例に挙げると、フードロスが起きる要因として、「苦手な食べ物のヒミツを知らない」ことに着目し、そこで“ゲーム感覚での食育”というアイデアが生まれました。
カードゲーム形式で学べるようにし、完食(=ゲーム内のアクション)するとポイントが増える、といった楽しく学べる仕掛けを提案しました。
子どもたちがAIを使って描いた「ゲーム感覚の食育」のサンプル画像
課題解決のアイデアを考える場面では、AIの使い方がとても役に立ちます。AIには図のように大きく3つの使い方があります。
今回は特に、この3番目の“ワード探索型”が大活躍しました。
例えば、
「給食のフードロスに関連しそうなワードをランダムで10個出してください」とAIに投げるだけで、
・バイキング給食
・地産地消
・コンポスト
・栄養アレルギー対応
・食べ残しゼロ運動
…など、子どもたちだけでは思いつかない視点が一気に広がります。
さらに、
「バイキング給食に関連するキーワードをください」
と続けると、マインドマップのようにどんどん視野が広がり、アイデアのタネが増えていきます。
子どもは経験値が少ない分、どうしても視野が狭くなりがちですが、AIを使うことでそれを補完できます。また、大人でもブレストは偏りが出やすいので、AIがその偏りをほぐしてくれる。まさに“対話しながらアイデアを広げる相棒”として、AIをうまく活用できたと感じています。子どもだけに限らず、大人にとっても「思考の幅を広げる存在」としてAIは非常に有効だと思いますね。
――今回のワークを通して、AIを活用することの価値について、どのような発見がありましたか?
山下:
今回あらためて感じたのは、AIは「答えを出す存在」ではなく、発想を広げてくれるパートナーになり得るという点です。
年齢による利用制限はあるものの、大人がそばでサポートすることで、子どもたちは普段の生活ではなかなか出会えない視点や考え方に触れることができます。
それは大人にとっても同じで、アイデア出しの際に陥りがちな思考の偏りを、AIがやわらかくほぐしてくれる感覚がありました。
教育は、知識を一方的に伝えるだけでは成り立ちません。
環境づくりや心の動きへの理解、そしてプロセスを丁寧に設計することが欠かせないと感じています。
今後は、子どもも大人も一緒に参加しながら、意図を持ってAIを活用する学びの場をつくっていくことが重要になってくると思います。
AIによって思考の幅が広がることで、子どもたちは新しい体験を得て、大人は固定観念から解放されていく。その積み重ねが、将来的には起業や創業といった挑戦につながっていくのではないかと期待しています。
AIとともに挑戦を支える環境が、新たな可能性を育んでいく――そんな教育の形に、これから大きな可能性を感じています。
――インタビューありがとうございました!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、ワークショップ「起業チャレンジの第1歩!〜キミの発想力で世界を変えるデジタルワークショップ〜」の様子を、インタビュー形式でご紹介しました。
大人の立場になると、「AIに仕事を奪われるのではないか」と不安を感じることもありますが、AIは単に答えを得るための存在ではなく、新しい思考や経験の幅を広げてくれるツールだと感じます。
今回のようなワークショップに限らず、今後は教育の現場においても、AIの活用がさらに広がっていくことを期待したいですね。
使い方次第で可能性は大きく変わるからこそ、これからも上手に活用しながら、AIと向き合っていきたいと思います。