ある企業で、長く営業を続けている二人の社員がいました。
一人は、誰よりも商品知識が豊富で、
説明も論理的で、ミスも少ない。
もう一人は、特別に優れているわけではないが、
なぜか顧客からの紹介が絶えない。
結果として評価されていたのは、後者でした。
周囲は不思議に思い、理由を探しましたが、
大きな違いは見つかりません。
しかし、ある日その差は、
とても些細な場面で明らかになりました。
それは、商談の帰り際のことです。
前者はこう言いました。
「何かあればご連絡ください。」
一方で後者は、こう言いました。
「今日お話しいただいた内容をもとに、
御社に合いそうな情報があれば、こちらからご連絡してもよろしいでしょうか。」
ほんの一言の違いです。
ですが、この違いは決定的でした。
前者は「判断を相手に委ねている」のに対し、
後者は「相手のために動く前提をつくっている」のです。
人は、自分に関心を持ってくれる人を信頼します。
そして、その関心は
“行動する前提の言葉”として現れます。
評価されない人は、能力が低いのではありません。
ただ、相手の立場に立った“次の一歩”を、
自分から差し出していないだけなのです。
信頼は、大きな成果から生まれるのではなく、
こうした小さな姿勢の積み重ねから生まれます。
もし今、思うように評価されていないと感じているなら、
まず変えるべきはスキルではなく、
「相手のために、自分から動く前提をつくれているか」
その一点なのかもしれません。